表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢なんか

作者: 可零 蹴

 今日やたらはっきりした夢を見た。精神的に病んでいるのか、かなり悩んでしまう内容だけに今でも脳裏に焼き付いている。



 周りは白い壁に覆われ、俺の腰の高さには手すりがあった、左右を見ると先が見えないほど長い廊下のようだ。なぜこんな所にいるか分からないというか、思考能力すら停止しているようだ。

 俺は手すりに腰かけ足下を見ると、OO病院と書かれたスリッパが見えた。「OOってマンガじゃあるまいし」と心の中で突っ込みを入れた瞬間、「ガラガラガラ」という勢いがよい音が耳に届いた。

 左を見るとストレッチャーを中心に白衣をたなびかたお医者さん、家族らしき一団とストレッチャーを押す看護士さん、総勢八人の団体が先の見えない廊下から、こちらに向かって走ってきた。

「おじいちゃん、しっかりして」

 なんかやばい状況だな。よく見ると心電図計に点滴も付随している。俺の三歩手前で心電図計から「ピーー!」という音がした。

「おじいちゃん!」

「先生なんとかしてください」

 先生は手首の脈をとり、首を左右に振った。

 テレビや映画でしか見たことない光景が目の前で繰り広げられれている。俺はどうすることもできず、ただ呆然と事の成り行きを見ている。

 家族はベットに顔を埋め泣きじゃくり、先生は明後日の方向を向き涙を堪えているし、看護士さんは膝から崩れ落ち床に座り込んでいる、亡くなったお爺ちゃんは俺に向かって白い歯を見せて笑っている。年の割には、丈夫そうな歯だな・・・いや違う、何か違う。

 その違和感の謎が解けた時「パキッ」という音と共に俺は我に返った。

「おい生きてるぞ!」

 思わず大声で突っ込んだ。

 そしてピッピッピッと心電図計が動き出した。

「なんやねん・・・」

 俺はそう言い残し、ストレッチャーと進行方向と逆に歩き出した。ストレッチャーの隣に来た時、また「ピーーー」という音が聞こえた。

 やっぱり死んでいたのか。かなり焦りお爺ちゃんを見ると・・・笑いながら俺に向かってピースサインをしていた。

 その時、俺の中で何かがキレた。

「ええ加減にせえよ!」

 俺は叫びながら、なぜか右手に持っていたハリセンを思いっきりお爺ちゃんの顔に叩きつけた。

 また心電図計が「ピッピッピッ」と規則正しく動きだした。

 俺は、その場にハリセンを投げ捨て足早に三歩程進んだ時、また「ピーーー」という音が鳴った。

 今度は騙されてたまるか、無理矢理足を前に出す。しかし後ろからは衣擦れの音をストレッチャーが軋む音が、これでもというくらい聞こえてくる。

 絶対振り向くな、心の中でそう叫びながら走りだそうとした時、腕を誰かに捕まれた。

 びっくりし思わず振り向くと、髪の長い女性が俺の胸にハリセンを押し当てて、涙声で俺に訴えかけてきた。

「もう一度このハリセンでお爺ちゃんを・・・」

 衣擦れとストレッチャーの軋む音の中、俺とその女性は見つめ合ったまま時間が流れた。

 俺はその女性の押しに負け、ハリセンを受け取った。

 そしてそのハリセンを

「ええ加減にせえよ!!」

 という叫びと共にその女性の頭に叩き落とした瞬間目が覚めた。


 やっぱ疲れてるのかな・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ