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戸惑うルーク

ゆっちゃんはすくすくと成長している。

流石獣人と言うべきか、人族よりも成長速度は速い。


「じぃじー!見て見て。ゆっちゃん上手でしょー!」


リオルや他の獣人に教わりながら小枝を振っている。

どうやら剣術に興味を持ったようだ。

読み書きや計算などは私とダルクで教えているのだが、どうも苦手なようだった。

オルガの子や騎獣達とも仲が良く、一緒に遊ぶことも多い。

騎獣達も丁度出産していたので、ゆっちゃんは甲斐甲斐しく世話をしている。

寝床を整えたり、周辺を掃除したり。

良く動く小さな手足は少しぎこちないが見て居て可愛らしい。


「はいはい、閣下。眺めて居たい気持ちは解りますけどね。

 仕事も手早く終わらせているのにマォ殿へのプロポーズはどうなりました?」

「ぐっ・・・」


そう、まだ言葉も決まらずのままなのだ・・・

このままなし崩しでは駄目な事は解っているのだがな・・・


などと頭を悩ませていたある日


「親父殿! スタンピードだ!」

「「 は?! 」」

「前兆などなかっただろう!」

「それが狩りをしていたら急に湧いたんだよ!」

「何処で湧いた?此処までの距離は? 急いで対策を考えるぞ」


せっかく落ち着いたと思っていたのに急に慌ただしくなってしまった。

獣人達も集めて緊急会議を開く。


「此処から近いな・・・」

「前回俺は幼子で、ただ見て居る事しかできなかったが。

 あの時と違って俺はもう大人だ、俺が先陣を斬ろう」

「馬鹿を言うな、リオルには守るべき家族が居るだろう」

「皆でこの居住区を守るんだ」

「ああ、例え死んでも・・・」

パコーンッ! ゲシッ

「あふぉか!死を前提に考えるんじゃねぇわ!

 皆せっかく家族と平和に楽しく暮らしてんだろうがよ!

 西の山側でスタンピードが起こっているなら

 西の出入り口に半数を集めて防衛戦を引け!

 残りの半数はいつでも出発出来るように準備して待機!

 儂が騎獣達と一緒に斥候として出る」


は?! マォは何を言い出すのだ。そんな事させる訳にはいかぬだろう。

獣人達やアルノーも慌てている。


「心配はいらん、儂ランクⅠと言えど全属性なのは皆知ってるだろ?

 それにほら、必殺タマ潰しもあるし?

 単騎で動く方が遠慮なくぶっ放せるし?」

「確かにある意味マォ殿は最強ではありますが・・・

 しかしですね・・・」

「おかん、せめて俺も連れていってくれ」

「私とて魔法でなら役に立てるぞ」

「なにさ、皆儂が負けるとでも?死ぬとでも?」

「「「 いやそうではなくて 」」」

「皆さ、ついて来たいなら来てもいいけど

 後からタマがない!髪が無い!って文句言うなよ?」


皆サッと股間を隠したが私とダルクは頭を手で覆った。

せっかくフサフサと戻って来たのにまた寂しくなっては困るのだ。

だからといってタマが無くてもよいと言う訳ではない・・・


「儂を誰だと思ってる? 

 異界から来た不老長寿で王族どつき倒すババァだぜ?(笑)

 次はどんな噂が流れるのか楽しみじゃね?」

「マォ、やる気満々だな」

「久々に暴れたいんですかね?

 解りました、マォ殿にお任せしましょう。

 では念のために女性と子供達は食堂に集めておきましょうか」

「ダルク」

「はい」

「言葉使い・・・」

「はっ・・・」


「んじゃ行ってくる!

 合図の花火が見えたら来てね!

 毛毟り取ってタマ潰しまくってくれるわ!うひゃひゃひゃひゃ」

「「「 おかんが悪役に見える・・・ 」」」

「これはあれですかね、魔力の多さを生かして乱発しまくる気でしょうか」

「マォだからなぁ。纏めてドカンッとかやりそうではあるな」


マォの案通りに、半数を西の防衛へと廻し、残りの半数をいつでも討って出れるように待機させる。

ドンッ! ドドンッ と思い音が響くと同時に地面が揺れる。


「閣下、あれはやはりマォ殿の魔法でしょうか」

「だろうな、ダルク。確認の為聞くがランクⅠだったんだよな?」

「ええ、そうですよ。そうですけどね? 何かおかしいきがしますよね」

「どう見てもあれはランクⅠの魔法ではないような・・・」

「ですよねぇ」


火の玉が降り注いだ後は雷鳴が響き渡り、再び地面が揺れた。


「あの辺りは丸コゲなのだろうな・・・」

「森を復旧させるのが大変そうだな」


パンッ パパンッ


空砲のような音が響き渡った後、空に色鮮やかな輪が5つ浮かんだ。

あれが合図だろうか。 確かに目立ちはするがなんと言うか・・・


「お、おかんからの合図が上がったぞ」

「なんだあれは。カラフルで目立つなぁ」

「まぁ行こうか」

「そうだな、急ごう」

「おかんの事だからまたなんかやらかしてそうだしな」

「「「あー・・・」」」

「アルノー、リオル。皆を率いて向かってくれ」

「「 おう、任せろ! 」」


逸れたモンスター達がこちらに向かってくる気配は無さそうだった。


「よしダルク。皆を各家に戻しても大丈夫だ・・・ろ・・う?」


ダルクが居ない。あいつ、しれっとアルノー達と一緒に向かいやがったな。

私も向かえばよかった・・・


「ルーク父上、残ってここを守るのも大事だろ?」

「そうそう。おとんはここで皆の帰りを待ってりゃええんよ。

 どうせ腹空かせて戻ってくるじゃろうし。

 おかんなんかは下手すりゃ張り切り過ぎて腰やってそうじゃし」

「なるほど・・・ではすぐ眠れるようにベットを整えておくか」

「腰痛の薬もね!」

「お、おぅ」


千秋に渡された薬を持って寝室に向かう。


「ブッ・・・」


今まで2つだったベットが1つになっていた・・・誰がやったのだ。


「いい加減1つのベットで寝んさいや」(笑)


千秋の仕業だった・・・


読んで下さりありがとうございます。

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