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腰が抜けたルーク

ある日の午後リオルが嫁を連れて戻って来た。

その嫁を見て私は驚いた。

マォとゆっちゃんを足して割ったような・・・


「まさか・・・」

「やほぉ~、おかん!」

「ゴフッ ゲホッゲホッ」

「「「  マジかー! 」」」

「「 驚いた? 」」


驚いた?ではない!マォが咽返ってしまったではないか!


「マォ、マォ、しっかりしろ!大丈夫か!」

「ゲホッゲホッ グェッ・・・  死ぬかと思った・・・」


そういう私も椅子から滑り落ちて尾骶骨は打つし腰は抜けてしまっている・・・


「アル、すまないが椅子に・・・」


だめだ、アルは魂が抜けたように放心状態になっている。

リオルが抱えあげて椅子に座らせてくれた。


「そこまで驚くとは思わなかったのだが、すまぬ親父殿」

「やっと会えたねおかん。元気じゃった?」

「元気じゃったけど、今死にかけたわな」

「ごめんごめん」(笑)


獣耳と尻尾が付いているが見た目はそのまま千秋なのだとマォが教えてくれる。


「そうかなとは思いはしたが」

「ああ、ゆっちゃんが大人になったような」

「マォ殿が若くなったような・・・」

「そうかね?にちょるかね?」

「2人並べば、いかにも親子!という感じですね」


少し落ち着いたところでリオルが出会いを話してくれた。


新婚旅行中、馬車に落雷?!

気を失っていた千秋を見つけてリオルが救出したと。

ケイルで療養中にあれこれと世話をしているうちにこうなった?

いやこうなったじゃなくて肝心な部分を誤魔化すでない!


「いやぁ~、私雷に打たれるとか人生初めてじゃった!

 そのお陰で前世思い出したし、まぁ結果オーライ?」


いやいや結果オーライではないだろう。

下手をすれば命を失っていたかもしれぬのに。

と、言うか妊婦ではないか!


「あー、これ前の旦那との子なんじゃけどね。

 リオルが絶対ゆっちゃんじゃってゆうけぇ・・・」

「千秋の子ならゆっちゃんだろ、なぁ親父殿」

「ん? おそらくはそうだろうな」

「それにしてもおかん。

 ここぶち寒いね。家の中はええけど、外がやっちょれんじゃん」

「だねぇ、だから冬場はあまり外に出んのよ」

「そうなん? 皆なにしよるん?」

「え?・・・ それ聞いちゃう?」

「へ? なんなん? なんかあったん?」


昨年の出来事を皆で千秋に話して聞かせる。


「ぶぅーっ。

 いやなんかデカい木彫り人形がアチコチよぉけ建っちょるなぁとは思ったけど。

 凄いね、なんちゅーかどこぞの寂れたサファリの休憩所みたいな・・・」


サファリとはなんであろうか・・・


ともあれ、リオルと千秋は一緒に住む事となりウォーカー自然保護領は一層賑やかになった。

冬の間は再び木彫り生活となるのだが、何故か周辺諸国の王から注文が来ている。

魔物避けや厄除けに効果があるとかなんとか・・・


「んな効果付与した覚えはねぇぇぇぇぇ!!」


マォが叫んでいた。


「もぉいっそ我が領の特産品として商品登録してしまいましょうか。

 粗悪な偽物との区別をする為に

 ブランド化してロゴなんかも決めて刻印するといいかもですね」

「なるほど。偽物は出て来そうだしな。そうするか」

「では閣下は書類書き上げて申請しておいてくださいね」

「私か!」

「そりゃそうでしょう。それともロゴ考えます?」

「いや、ロゴは任せた・・・」


今後の事を考えれば特産品の1つくらいは有ってもよいかもしれぬ。

そう思い書類の作成に取り掛かった。

出来上がれば商業ギルドに提出すればよい。


木彫り人形の他には産まれてくるゆっちゃんの為の玩具も皆で作る事にした。

オルガはベビーベットを作ると張り切っていた。

騎獣達も張り切ってなにやら作っているようだったし、新たに住人となった者達も赤ん坊が生まれるとあって楽しそうに何かを作っていた。

これだけ皆に祝福され生まれてくるのだから、今度こそゆっちゃんは幸せになれると願う。

ゆっちゃんが生まれてくるのを楽しみに準備をしていたからか、

この冬はあっという間に過ぎて行った。


春となり、待望のゆっちゃんが生まれた。

クリーム色の犬型獣人。このうえなく可愛い。


「犬の顔だがこれはゆっちゃんだ」

「ああ、間違いなくゆっちゃんだよな」

「今度は幸せに長生きして欲しいものだ」

「まったくだ、俺達で守っていこう」

「「「「おかん殿! 生まれたでありかすかぁぁぁぁぁ!!」」」

「女の子か! よしうちの息子の嫁に!」

「嫁にはやらーーーんっ!」


待ちかねていた住人達が一斉に押し寄せて来る。

リオルなどはすっかり親馬鹿になってしまっている。

そうか、ゆっちゃんが生まれたのか。

私からしてみれば孫になるのか。 孫か!!


「ほぉらじぃじでちゅよぉ~」

「「「 ・・・ 」」」


皆の視線が奇妙な物を見るようなモノになっていた。


「あの宰相が・・・」

「嘘だろ、あの人あんな顔するんだ・・・」

「おい、ダルク。見たか?」


「ゆっちゃ~ん、ダルクおじちゃまでちゅよぉ~」

「「「 ・・・ 」」」


ダルクまでもが叔父馬鹿になっていた。

んむ、ゆっちゃんは可愛いのだから仕方があるまい。

後日、エルフィンや弟を始めとする親族一同が押しかけて来てマォと千秋から説教を喰らう事となった。

その中に姉夫婦までも居たのだが・・・

「ほぉーらゆっちゃん、じぃじでちゅよ~」

「ゆっちゃん可愛いでちゅねぇ、ばぁばでちゅよぉ~」

じじ馬鹿ばば馬鹿炸裂である。

仕事は? と言うか国王夫妻が国抜け出してくるのではないわぁぁ!



読んで下さりありがとうございます。

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