頑張るルーク⑦
「では話し合っていきましょうか」
防音魔道具を発動させたエルフィンの部屋で私達は今後の予定を話し合う。
新たなウォール領となるのはケイル・エルム・エムム・エヌムの4町、隣接するウォーカー領それに我がウォーカー自然保護領となる。
領都はケイルの町が立地的にもいいだろう。と言うかエルフィンがケイルがいいと譲らなかった。
理由はマォの近くだからというのもある。
フィーンにエルムを任せようと思ったのだが、これまた兄上と離れたくないと・・・
ならば侍女長にと思ったがこれまた妃殿下と離れる気はないと言われてしまった。
おのれ我儘ばかり言いおってとも思ったが私も我儘を通しているので強くは言えないでいる。
弟 「エヌムはウォーカー領と隣接しているし叔父上に・・・」
ルー「叔父上もケイルが良いと言うだろうな・・・」
弟 「では現町長をそのまま据え置きにします?」
エル「あー、それだがな。
どこの町長もダメだ。税の二重搾取、禁制品の密輸入、
あげくに人身売買いわゆる奴隷商ときたもんだ」
弟 「4町共ですか?!」
エル「んむ・・・
エルムなんぞ町ぐるみだったらしいぞ」
「「 ・・・ 」」
ルー「エルムはケイルの南だったな、ならばあの騎士爵の青年に任せてはどうだ」
エル「なるほど、いずれはエルムが国境になるだろうし良いかもしれぬな」
ルー「アルノーに言えば信頼出来る部下も選定出来るだろうし」
弟 「ならばケイルとエルムは決定で、残り2町。
エムムは農民が多かったはずなので二日目のご夫婦はどうだろう」
ルー「ああ、あのしっかり者の細君!確か夫君の方が記憶力がよかったな」
エル「では任せようか」
弟 「エヌムは、あのご婦人たちはいかがでしょうかね」
ルー「ああ、あの虐待を受けていたご婦人たちか」
弟 「ええ、一緒に保護されたメイド達との関係も良好なようですし
エヌムも自然豊かな町ですからね。
ゆっくりと過ごしていただけるのではないかと。
それにご子息は領主教育も受けてらっしゃったようですし」
エル「あの男さえ居なければ有能と言う事か」
弟 「私自身も会話させていただきましたが、
利発的で優しい少年でしたからね、母親を支えてくれるでしょう」
ルー「それに軌道に乗るまでは私達が手助けしてやればいいだろう。
マォならばきっとそうするはずだ」
エル「では次に条例だな」
条例、いずれは国としての法にもなるのだが、これは他領を参考に抜粋して纏めた。
そこにマォの希望した条件を組み込んで行く。
新たな土地の開拓は申請してもらい審査を行い許可が出た場合のみとした。
また各町に子供達の学び舎も作る事になった。
読み書きと簡単な計算程度を学ばせて、もっと学びたいと意欲がある子はその上の教育もしていく事になる。これもマォの希望だった。最低限読み書き計算が出来れば騙される可能性が減るからと。
そして各町に医師か治癒師と薬師を常駐させる。
各町に自警団も常駐させる事も決まった。この自警団についてはアルノーが代表になって貰う。
ウォール領が小国となった場合は自警団がそのまま騎士団に昇格する予定だ。
エル「あ・・・」
ルー「なんだ?」
エル「いや国名の変更をしておこうかと思ってな」
弟 「あー・・・新天地でウォール国と名乗りたいですもんね」
エル「何かいい案はないか?」
ルー「ストゥーピドでよいのでは?」
「「 ぶっ 」」
ルー「どうせあいつ等は意味など解りはしないだろ」
エル「確かに・・・では周辺諸国に変名の通達を出しておこう」
ルー「後は民達への周知と警告か」
エル「それはすでに手を打ってある。
王妃と侍女長がな、はりきっておった・・・」
「「 あー・・・ 」」
民達への周知は妃殿下や侍女長達に任せるとして。
私達は玉璽や各書類や書籍など必要な物を選定する事にした。
不要な物はすべて燃やし尽くすつもりだ。
弟 「一族の者にも通達を出しておきましょうかね。
領地から出ている者は大至急戻るように伝えないと」
ルー「後は信頼できる者達への通達もだな、まぁ数はそう多くないが」
エル「王族もそう多くは無いからな。
妃の一族は・・・微妙だな。妃に相談するか」
ルー「夏が終わるまでにはすべてを終わらせてしまいたいな」
弟 「ですね、まずはエウリケ殿下も移動させなければ。
まっさきに狙われそうですからね古狸に」
ルー「確かにエウリケ殿下は早めがよさそうだ」
エル「なんと言うか、忙しくなるな」
ルー「まったく・・・私ののんびり隠居生活が・・・」
エル「仕方あるまい、私とてのんびりしたいんだ!」
弟 「そう思うならサクッと終わらせてしまいましょうね」
「「 はぁ・・・ 」」
いったいいつになればのんびりと暮らせるのか。
いや、ここが正念場のはずだ。これさえ終わってしまえば・・・
そう思うとやはり腹が立つのは古狸達の事である。
「おのれクソ狸ー!! 纏めて禿散らかしてしまえー!!」
「ぬおっ」
「兄上!行き成り叫ばないでください!」
「ん? すまぬ・・・」
私の叫びが発端となり 愚痴大会再びとなった・・・
いや、確かに私が叫んだのも悪かったとは思う。
だがな、
愚痴は後にしてさくさく作業に取り掛かったほうがよいのではないだろうか。
読んで下さりありがとうございます。