表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/50

頑張るルーク⑤

この日も3組との面談が予定されている。

一組目にはアルノーを同席させた。


「お久しぶりですアルノー殿」

「君は確か・・・何度か戦線で一緒になったか」

「やはり顔見知りであったか」

「ルーク、彼はアタリだと思うぞ。

 生真面目で優しく、体力もある」


まぁ騎士なので体力はあるだろうが

アルノーがわざわざ言うのだから体力おば・・・ごほんっ


「ちょっとした家屋修理くらいなら出来ますし

 頭を使うのは苦手ですが体を動かす事なら任せて下さい」


うむ、やはり体力おばけか。だが私達にとっては好ましい。


「料理と裁縫は母に壊滅的だから手を出すなと言われておりますが。

 他の事でしたら頑張りたいと思います」

「ほう、壊滅的だったか・・・」

「お恥ずかしい・・・」

「同士よっ!」


何故かエルフィンがシッカリと手を握っていた。

ふむ、どうやらエルフィンも料理と裁縫が壊滅的だったらしく侍女長に二度と手を出すなと言われたそうだ。まぁ私も人の事は言えないのだが・・・

マォは肩をプルプル震わせていた。

うまく溶け込めそうでもあるし彼はきっと採用となるだろう。



次に面談したのは・・・侍女長だった。

彼女は末端ではあるが一応王族になるのだが、まさか面談に来るとは思わなかった。


「わたくしは引き続き皆様のお役に立ちたいと考えております。

 特に妃殿下におかれましては皆様もご存じの様に・・・

 時々突拍子もない事をなさいますので・・・ね?」


確かに妃殿下はたまに・・・いやたまに?

まぁ・・・時々?・・・王妃というか淑女らしからぬ行動をとるのでお目付け役は必要かもしれぬ。


「こちらのリストをどうぞ。

 そこに名が挙がっている者達は皆王妃様に忠誠を誓った信頼出来る者達です。

 新天地でもきっと皆さまのお役に立てるかと。

 またこの侍女はスェイキョウ商会の家の出でして、諜報活動に優れております。

 そしてこちらの侍従ですが実家が薬師の家系でして有用かと。

 後は菜園職員のクルシカさんも有用かと。

 現在は王妃様が保護されており、王妃様専用の菜園で働いて貰っております。

 彼、野菜作りの名人ですよ」 ニッコリ

「「「 ・・・ 」」」


皆絶句した。優秀だとは思っていた、思ってはいたがここまで優秀だとは。

最初から侍女長を巻き込めば良かったのではないだろうかとすら思えてくる。

彼女も採用決定であろう、むしろこちらからお願いしたいくらいの人材だ。


そして本日最後の面談者は・・・


「私の父がアレの派閥の筆頭でしたの・・・

 主人は気が弱くて父の言いなりになっていたようなのですが・・・

 子に恥ずかしくない父でいるようにと言い聞かせまして。

 私、幼い頃より父が嫌いでしたのよ。

 自分の子供達ですら駒としてしか見ておらず、使用人や領民も物の様な扱いで

 私から大切なものはすべて取り上げてしまって、友人ですら・・・

 いえ、私の事はこの際いいのです。

 招き人様に対しての悪態や暴言がゆるせませんの。

 同じ女性として母として。子に会えなくなることがどんなに辛い事か。

 アレの言動も諫めるどころか同調するなどクズですわ!クズ!

 あ、それでですね、こちらをどうぞ。

 アレの派閥の相対図とお金の流れが纏めてあります。

 主人に纏めさせました。

 これでも記憶力は確かな人なのでどうかご活用下さいませ」


正直私は椅子から滑り落ちるんじゃないかと思った。

事前調査を行った者達よりも侍女長やこの女性の方が優秀ではないか!

しかも実際にお忍びで農村部にも出かけて農作業も体験してきたらしい。


「実際に農作業を手伝ってみてその苦労とありがたみも解りましたし。

 今の私共には何が出来るのか

 お手伝いできるのは微力でしかないかもしれません。

 ですが新しい1歩を踏み出さなければ何も変わらないと思うのです。

 あの父のお陰で忍耐力だけはあります。

 微力ではありますが招き人様や民の一助となれればと希望したのです」

「言葉での謝罪は薄っぺらく感じるでしょう。

 これからの私の言動を持って償いたいと思うのです。

 その機会をいただけませんか」


幼子も居るがそこは大丈夫なのだろうかと思ったが

どうやら草花が好きらしく心配はいらないそうだ。



今日面談した三組は採用確定だろうなと思う。

明日もこの調子で面談が進めばよいのだがな。


夜の報告会ならぬ愚痴大会ではエルフィンがまだ髪の毛の事を気にしていた。

まぁ私は早々に城から離脱しているので、すこぶる健康的になってきている!


「ルークだけずるいではないか!」

「そうですよ兄上!その毛を分けてくださいよー」

「分けれぬわ!アルノーにでも貰え!」

「は?何故にこっちに振るんですか!俺だって嫌ですよ!」



読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ