頑張るルーク①
「ここを町に?」
「それなら国から職人を呼ぶことも出来るな」
「俺達の家族も呼べるし、いずれ彼女もこっちに来るしな」
「うちの両親も来たがっていたしな」
「だがあまりに大人数になっても駄目だろう」
「そうだな、まず大まかな人数と必要な職種や店を・・・」
夕食後に獣人達を交えて話をする。
皆前向きな考えではあるが、ここはじっくりと考えたい。
盛り上がるのはいい、いいと思うが皆忘れていないか。
こんな話していたら拗ねそうなのが1人居る事を・・・
そう思いマォを見ればマォも気が付いたらしい。
「でもさ・・・
これ町つーか村でもいいんだけど、出来たとするじゃん?
陛下が知ったら来そうじゃね?・・・」
「「「 あー・・・ 」」」
「陛下まで来てしまったらそれはもう村とか町ではなく国になってしまう」
「それは駄目だろう・・・」
「ここはなるべくひっそりと事を勧めねば・・・」
一同容易にエルフィンがニコニコとやってくる姿が想像出来てしまい遠くを見つめる。
それならいっそ領主不在の国有地でエルフィンに領主を押し付けるのでもよいかもしれぬ。
まぁその場合、誰が国のトップに収まるのか。
エウリケに押し付けるのは酷な気がする。
とは思うが今考えても仕方があるまい。
物事が動き始めたら考えようと思う。
なんて考えてた数日前の私を叱咤したい・・・
「ルークはおるか!」
行き成りモファームに乗ったエルフィンが地中から現れたのだ。
私達は庭の手入れをしていたので当然驚く。
パコーンッ!
「普通に現れろ普通に!!」
「いたたたっ、俺一応国王なんだがな、マォ殿・・・」
「国王が普通地中から現れるかぁー!!」
マォに怒られて当然だと思う。
万が一にも鍬や鎌が当たったらどうするのだ、まったく。
このまま庭で話す訳にも行かず家の中に入るよう皆を促す。
「それでエルフィン。急にどうした?」
エル「それがだな・・・何から話すべきか。そうだ噂だ噂!
お前達いつから不老長寿になったんだ?
どこもかしこもその噂で持ち切りなのだが」
「「「「 は?! 」」」」
マォ「なんだそりゃ、どっからそんな噂出たよ」
エル「それは今調査中なのだが・・・
やはり我等から見れば不老長寿に見えなくもないなと。
実際、ルークやダルクも若返ったようにすら見えるんだが?」
ルー「そうか? そう言えば健康的にはなっているような?」
ダル「確かに最近は頭頂部のお散歩もなくなりましたね」
マォ「バランスよく食事して適度な運動もしてストレスフリーでぐっすり眠れば・・・
若返ったと言うよりも今までが心身共に不健康過ぎただけじゃね?」
エル「なるほど、食事に気を付けて心労を無くせば良いのか」
ルー「まぁ政に関わってる限り心労が無くなる事はなさそうだが」
エル「だな。問題はその噂を真に受けてマォ殿が住んでいる場所に
自分達も住みたいと言い出す者が居る事だ。
平民の中でも職人が多いのだが一部の貴族連中からも嘆願書が出ておるのだが
俺にどうしろと!俺が一番ここに来たいのだが?」
((( やっぱり・・・ )))
マォ「却下だ却下。
そりゃね?職人は少数なら欲しいと思ったけども。
んな不老長寿目的とか甘い汁だけ吸いたいとかんな連中いらんがな。
だいたい人が増えたら村どころかデカイ街とかになっちまう」
ルー「いや下手に人口が増え過ぎたらむしろ国になりかねん・・・」
マォ「うげぇ・・・」
それにしても何故そのような噂が広まり、それを真に受ける者が多いのか。
「兎に角だ、我らは此処で穏やかに過ごしたいだけだ。
誰でも受け入れる訳でも無ければその気もないぞ」
「解っておる。取り敢えずまた何か解り次第連絡を入れるから
余り目立つような事はするなよ。あ、俺も引退したら此処に住むからな?」
「陛下が?・・・
えー・・・・ メンド・・・ゲフンゲフン」
「マォ、一応あれでも国王な訳だから・・・」
「一応とか言うなよ!」
それならばとマォに課題を出されたエルフィンは名残惜しそうにしながらも戻って行った。勿論地中をである。
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