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一応領主なルーク⑪

今日はケイルの町で行われる祭りに来ている。

無事に冬を乗り越え春を迎えられた事を祝う祭りだ。

各家庭が冬の間に作った物を販売したりもする。

我が家からは勿論木彫り人形の出店をする。

それだけだと寂しいからとマォは飴を作ったらしい。

黄金色の見た事が無いような飴と、それを纏った果実の飴だ。

値段的には平民でも気軽に手にする事が出来ると思う。


「素材もダンジョン産だし、別に売り上げがどうこうなんて考えなくていいし。

 お祭りの日の特別感というか自分へのご褒美とかで楽しんで欲しいな」


とマォは言う。

確かに、祭りの屋台なんかは特別感がある。

子供の頃は手にお小遣いを握りしめてワクワクした記憶がある。


獣人達は気を使い留守番をしていると言う。

せっかくの楽しい祭りだし他の町からも人が集まるので驚かせてしまう可能性があるからと。

確かにこのような祭りには阿呆な奴が1人2人は出て来る。

残念だとは思うがなるべくならトラブルは避けたい。

せめて土産でも買って来るか。


街に到着し予め決められている場所に商品を並べる。

マォは手慣れているのか見栄えよく商品を並べていく。

私が作ったコースターも並べられていた。

ざっと見た感じだと 木のカップや皿などはあっても木彫り人形は無いようだ。

なので当然人目は惹いてしまう。

特に子供達は興味を持ったようで

「わぁ~この飴宝石みたいにキラキラしてるー」

「この熊かっこいい!」

「こっちのはかわいい~」

とワイワイしながら手に握りしめているお小遣いと相談しているようで微笑ましい。


「私とコレットで店番してますから、3人は他の店を見て廻ったらどうです?」

「そうだな、そうさせてもらおうか」

「確かに5人でゾロゾロ歩いてもな」


と言う訳で私とマォ、アルノーの3人で他の店を見て回る。

幾つかの店で串焼きやパン、焼き菓子を購入し食べ比べてみたのだが


「「「 ・・・・・ 」」」


「マォの味に慣れたからだろうか」

「なんかこう、物足りないよな?」

「あぁ・・・」


そう、以前なら気にもせずに食べていたはずなのに。

決して旨く無い訳ではなく、どう言えばいいのか。こう、なんとなく物足りないと言うか。

どうやら舌が贅沢になったようだ(苦笑)


その後も店を見て回りマォは幾つか雑貨を購入したようだ。

私はお気に入りの茶葉を見つけたのでそれを購入した。

アルノーは子供が売っていた花束を購入していた。


「慰霊碑に供えようと思ってな」


ああ、確かにいいかもしれない。

とは言え毎回町まで買いに来るのもどうかと思い、花の種を購入しておいた。

待てよ、これ私が植えるのか。

ダルクにガラでもないと笑われそうだ。夜中にこっそりと植えるとしよう。


一通り見て回り自分達の場所に戻れば何やら揉めているようだった。


「どした?」

「丁度いい所に。この人達が飴の作り方を教えろと」

「あんたが店主か?どうだ金貨1枚で飴の作り方を買い取ってやろう」

「「「 ・・・  ハァ・・・ 」」」


3人で大きな溜息をつく。

どこにでもこの手の輩は湧くものなのだな・・・

正直相手にするのも面倒くさいのだがな。


「先に聞いとくけど皆、この人知り合いだったりする?」

「「「「いやまったくの他人」」」」

「だよなぁ。んじゃスルーで。

 関わるのも面倒だし、撤収しようぜ」


皆で頷き撤収作業に入る。


「おぃ、無視するんじゃねぇ。俺を誰だと」

「知るかボケ! 邪魔だ!どっか行けよ」

「このっ・・・」


殴りかかろうとした男をマォは簡単に返り討ちにした。

お見事としか言いようがない。

が、一応はマォも女性なのでそこはアルノーに任せて欲しかった。

私が対応できないのは悔しいが・・・


「3歳の子供でも知ってる礼儀を覚えてから出直してこいや」

「おかん、こいつ気失ってるから聞こえてないと思う・・・」

「あ? あれで気失うとか柔だな・・・

 アル、どっか外にでも捨ててきて」

「お、おぅ・・・」


アルノーはその男を引きずり町の外に向かった。

その間に私達は撤収作業を終えて足早に帰路についたのだが


「おかん、後を付けられてる」

「だねぇ、めんどくせぇ・・・」


あの男の仲間なのかそれとも別のグループなのか。複数人の気配がする。


「うーん・・・さっきの男何処かで見たような・・・」

「どこでだ、ダルク」

「かっ・・・ルークは見覚えありませんか?」

「はて・・・」


「あー!思い出しました。

 さっきの男。どこかで見た気がしてたんですがね。

 指名手配犯ですよ、あれ。

 ほら、あの奴隷商の逃げた用心棒兼誘拐犯の!」

「あぁ、あれか!」

「てことはさ、手加減無用?」ニヤッ

「んむ」「ですね」


マォが()()()()になっている・・・


ぎゃぁぁぁ  ひぃぃぃ くるな!


なにやら森の中で悲鳴が上がる、騒がしいな。


「き、貴様ら何をしやがった!」

「いや見ての通り何もしとらんがな。

 そもそもさ、この森何て呼ばれてるか知ってる?

 魔獣の森って呼ばれてるんだよね」

「魔獣の・・・森・・・」


男が言い終わる前に茂みからひょこりとサブレが顔を出した。


ぎゃぁぁぁぁぁ


男達は白目をむいて気絶した。

こんなに可愛いサブレを見て気絶するとか失礼な・・・


「え?さっきのは食べちゃったの?!

 食べたら駄目だね、ばっちぃからぺっしなさい、ぺっ。

 お腹壊すよ」


ん? 食べた? 何を・・・

はっ・・・ あんな悪党食べるでない!


ケロッ・・・


「まてまてまて、ここに吐くな出すな!

 見えないトコにしなさい!!」

「別に此処でもよいのでは?」

「あふぉう!

 蛇ってのは咀嚼せず丸のみするから消化液が強力なんだよ。

 つまりね、今絶賛消化中なんでかなりえぐい状態にだな・・・」

「「「 グロッ! 」」」 

「うわぁぁぁ、サブレ!まてまて向こうで吐け!」

「さすがに見たくはないですね」

「んむ」


恐らく吐き戻された連中は生きてないだろう。

仮に生きていたとしても顔の判別は無理であろうな。


アルノーとダルクが気絶中の男達の持ち物を確認するもこれといって手掛かりになりそうなものは無かった。


「まぁそういうのは騎士団なり自警団なりに任せればいいんじゃね?

 儂等はあまり関わらん方がいい、めんどいもん」

「それもそうだな」


と言う事でカカオとチョコが簀巻きにして町の入り口に置いて来るらしい。

うちの騎獣達は優秀だ(笑)

この件は城、弟にも連絡をいれておく事にする。

上手く処理してくれるだろうと思いたい。



読んで下さりありがとうございます。

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