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一応領主なルーク⑩

「〇〇自然保護区とかは駄目なん?」


聞けばマォは今この地の動植物と共存を目指したいらしく、無益な殺生を行う貴族連中から守りたいらしい。


「ふむ・・・ 自然保護領なら行けるかもしれぬな」

「素直にウォーカー自然保護領でよいのでは?」

「全員ウォーカーだしな」


言われてみれば、家族なので全員ウォーカー姓である。


「うん、いいんじゃね?」

「むぅ、仕方が無いか。では次に領の紋章を・・・」

「皆絵心ないのにか!」

「いやマォは絵心あっただろう」

「儂だってそこまで上手くねぇよ」

「俺達よりうまいだろ!おかん任せた」

「えー・・・ 家紋じゃないの?」

「家紋とは別に領の紋章が必要なんだ。家紋だと紛らわしくなる場合がな」

「なるほど、だったら自然保護だから動植物系がいいと思う」


マォが下絵を描き、皆で意見を出し合った結果立ち上がり威嚇するベアに決まった。

アルノーの母親「金色の羆」をイメージしたらしいのだが、衝撃の事実が解った。


「母は基本素手だった」

「「「 は?! 」」」


当時から1人で国1つ潰せるのではと噂があった。

誇張されているのだろうと思っていたが、あながち間違いではなかったように思えた。

軍神として祀ってもよいのではないだろうかと呟けば、絶対やめてくれとアルノーに言われた。


領名と紋章が決まったので報告書類を纏めて弟に送る。

領民13名+魔獣・魔物

特産品:無し

領地と呼んでいいのかも解らないような状態なので当然税の掛けようがない。

古狸共から目をつけられる事もないので安心だ。

書類提出から数日で認可証と領印が送られてきたので全員分の身分証を新たに発行する。

身分証についてはダルクと相談し偽造が出来ないよう、魔力もしくは血液を1滴使用し本人登録をするようにした。

身分証提示を求められる場所には照会魔道具があるのでこちらで対策さえしておけば安心である。

ちなみに他領と違い、うちの身分証は肉球が薄っすらと描かれているので紋章と相まって格好良い。

当然マォの案である。



そして1ヶ月が過ぎ恋の季節が終わる頃 獣人達が戻って来た。


「実父から皆にと渡されたんだ」


とリオルが皆に配ったこれは・・・王家発行の通行許可証。

これはきっと義兄からではなく姉上からだろうな・・・


「いつでも好きな時に遊びに来いとさ」


つまりはだ、自分達が出向く訳には行かないので来いと・・・

マォに興味津々というところだろうか。面倒臭い・・・

マォは首を傾げているので状況が解っていないのであろう。


「俺の実父はつまり獣人国の王って事だな」

「俺の姉は王妃って訳だ」


獣人国の場合は王といっても難しく考える事はなく、群れのボスと言った方が解りやすいかもしれぬ。

我が姉ながら、大丈夫なのかと最初こそ心配していたが気の強さが幸いしたのかすっかり馴染んでいる。


マォはどうやって出会ったのかなど馴れ初めに興味を示していたが、マォが思う様なロマンティックなものではない。

園遊会で出会ったと言えば聞こえはいい。

古狸共が獣人達を見下した発言をしたので姉上が制裁を下した(ぶん殴った)姿に一目惚れをしたと・・・

現場に居合わせた私は眩暈がした、私の立場を一応は考えてくれと・・・

両親も最初こそ渋ってはいたが義兄の熱意に押され、気の強い姉上には丁度良いのかもしれないと2人の仲を認めたのだ。

まぁあの姉上が・・・顔を真っ赤にして恥じらった姿などあの1度切りしか見れなかったが。

思い出してニヤけていると


「余計な事は言わないように、と実母からの言伝だ」


リオルに念を押されてしまった。

その後は他の獣人達の土産話を聞きながら久方ぶりの賑やかな夜を過ごした。

何名かは恋人を見つける事ができて、いずれは此処に連れて来たいと言っていた。

此処の生活が落ち着いたら家族を呼び寄せたいと言う者も居た。


「実母達が悔しがっていたな、自分達もここに来たいと」


我が国といい獣人国といい、国王夫妻が移住を考えるなとは思うが。

私としては此処で皆が平和に暮らせればそれでよいのだ。

ただ人数は余り増やしたくはない、面倒事が増えてしまうからな。



読んで下さりありがとうございます。

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