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一応領主なルーク⑥

誤字報告、とても助かります。ありがとうございます!

コレットの入れてくれたココアを飲みながらゆっちゃんはニコニコと嬉しそうにしている。


「本物のイケメンのおじちゃんはやっぱりイケメンじゃね。

 ゆっちゃん嬉しいー!

 こっちのワンコみたいなのもゆっちゃんのおじちゃんなん?

 おー、もふもふじゃぁー。

 じゃぁこっちのイケメンがじぃじになるん?」


じぃじ・・・ そうか私はじぃじになるのか。


「ばぁばのダーリンじゃからじぃじでええんよね?」

「「「ぶぅぅーっ」」」


皆で吹いた。


「ダーリンて、どこで覚えたんかね」

「ママが言いよったよ」

「千秋や・・・」


マォが何処か遠くを見つめていた。

否定するのも何か違う様な気がしてそのまま聞き流すことにした。

そのうちゆっちゃんがウトウトしたのでマォのベットに寝かせることになった。



解っているのはゆっちゃんが教育現場の庭で遊んでいて、気が付いたら空を飛んで此処に来たという事。


「いったいどういう事なのでしょうね」

「さっぱり解らん、けど娘も心配しちょるじゃろうし

 ちと頑張って夢で会えんか寝てみる。寝れるかわからんけど」

「睡眠魔法でも掛けてみます?」

「んなのあるん?」

「私には無理ですけどマォなら出来るんじゃないですかね?」

「物は試しでやってみるかぁ。

 羊が1匹 羊が2匹 羊が3匹・・・」

「何故に羊を数えておるのだ?」

「知らん。けど儂の世界だと眠れない時に羊を数えるといいって言われちょる」

「ほう・・・」


皆で聞いていたら寝てしまっていた・・・


どのくらい寝ていただろうか。

目を覚ませばマォもソファで眠っていた。

無事に夢の中で娘に会えているだろうか。

マォに掛ける毛布を取りにマォの部屋へ向かう。


「は?・・・」


ゆっちゃんの体が透けて半透明になっている。

いったいどういう状態だこれは。

私は急いでマォを起こしにリビングに戻った。


「マォ、おい!マォ!起きろ。目を覚ませ!」


ゆすっても目を覚ます気配が無い。


「どうしたルーク」

「ああ、アルノー。ゆっちゃんが消えかけているのだ」

「は?何を寝ぼけて・・・・見て来る」


確認しに行ったアルノーは物凄い勢いで戻って来た。


「どう言えばいいのか解らないが、あれはマズイんじゃないのか」

「だからマォの目を覚まさせようとしているのだが」

「起きないのか。

 おかん!おかん!!起きろ!目を覚ませ!ゆっちゃんが!!」


マォの体がピクリと反応しゆっくりと目を開けた。

寝ぼけたような顔をしていたがすぐに我を取り戻したようだった。


「ゆっちゃんがどうしたって?!」 ゴツッ


勢いよく起き上がったマォの頭が私の顔面にぶつかった。

思い切り鼻に当たったので痛くて涙目になる。


「はやくゆっちゃんの所に!」


声が出ない私の代わりにアルノーが叫ぶ。

走るマォの後ろを私も鼻を押えながら追う。

ゆっちゃんの姿をみたマォは絶句していた。


「ばぁば。ゆっちゃんもう行く時間なんだって~。お迎え来たって。

 ゆっちゃんと亀さんと鯉さん、死んじゃったんだって。そんでね・・・

 お迎えが来る前に亀さんと鯉さんがばぁばんとこに連れて来てくれたんて。

 ゆっちゃん、ずっとばぁばに会いたかったん。

 イケメンおじちゃんの本物も見て見たかったん!

 ばぁば、いっぱいありがとう!ばぁば大好き!

 ゆっちゃん またママんとこに産まれるけぇ待っちょってね!」


そうしてゆっちゃんは笑顔でゆっくりと消えて行った。

本の数時間の出来事に頭も気持ちも付いて行かなかった。


「冗談キツイわぁ・・・」


マォはそう呟いてそのままベットに倒れ込んだ。

どう声を掛ければいいのか言葉が見つからない。

眠ったのか意識を失ったのか。マォはそのまま目を覚まさなかった。

その間、私達もなんとも言えない気持ちのまま過ごした。

逢えたと思えばあちらの世界では死んでしまっていて最後に会いに来たなど・・・

辛すぎるではないか。


丸2日が過ぎた時にマォの声が聞こえた。


「アルー。ルークー」


アルノーと終わて手駆けつけると


「目が開かん!」

「「 ぶっ 」」


マォの目がパンパンに腫れていた。

笑っては駄目だと思うと余計に笑いが出てしまう・・・


皆に話があると言うのでリビングに向かう事にした。

抱きかかえようとしたら「絶対笑いが止まらんこなるだろうからおんぶにして」と言われた。

否定出来なかったので背負う事にしたのだが。


「ルーク肩が震えちょるよ・・・」

「すまない・・・」


リビングに到着すると皆が声をかけるのだがやはり笑いを耐えている。


「マォ殿!起きてだいじょ・・・・ぶふっ」

「ちょ・・・その顔・・・」

「まず目を冷やした方が・・・」

「マォ、こういう時こそヒールの出番ですよ」


ダルクに言われてマォがヒールを試みる。

今回は痛いの痛いの飛んでいけではないらしい。


「おぉぉ、眼が開いた!見える。やったぜぃ」


目が開いたのは良かったが、まだ充血していた。

マォはホットミルクを飲みながら話してくれた。

四神獣とは?守護仏とは?

解らぬ用語が出てきたが、要するにあの阿呆のせいで世の理とやらに歪が出来てゆっちゃんに影響が出たと?


「可愛いゆっちゃんがこうなったのはアレが発端だと?コロソウ今すぐコロソウ」

「落ち着けコレット」

「しかし参ったな。陛下への報告はどうする?」

「しない方がいいだろうな」

「だがアレへの厳罰を求めるとなると」

「陛下には伝えない。厳罰も求めない。儂が鉄槌を下してやる。

 次元が違えど家族が生きているからと思って渋々だけど我慢してきた。

 さすがにもぉ我慢しなくていいよね?」

「今回はさすがに私も止めません、むしろ私も殴りたいくらいです」


珍しくダルクが怒りを露わにしていた。

コレットは包丁を振り回して・・・止めぬか!危ないであろう!

勿論私やアルノー、リオルだって腹立だしい。


「皆の気持ちはありがとう。でもね。

 あんなんでも一応は陛下と殿下の子な訳だから生かしてはおくさ」

「ではどうするつもりだ?」

「え? それ聞いちゃう?

 決まってるじゃーん、こう・・・グチャと    ね?」


マォが目の前で何かを潰すように手を動かす。

リビングに居た一同は皆無意識で股間を押えた。勿論私もだ。

読んで下さりありがとうございます。

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