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一応領主なルーク③

誤字報告ありがとうございます!

拠点である居住区に戻って見れば・・・

一風変わった見慣れぬ家屋が3軒立ち並んでいる。

マォは早速オルガの案内で中を見て回っているのだが、元気だな。

私とダルクは座って休憩を取っている。


「やはり多少体を鍛えねば」

「ですね。我々は体力が無さすぎですね」

「んむ」



夕食はコレットが用意してくれていた。

疲労回復によさそうな野菜たっぷりのスープとマォレシピの生姜焼きだった。

つい食べ過ぎそうになるので、我慢するのに苦労した。

ダルクも同じだったようで空になった皿を名残惜しそうに眺めている。


「ダルク我慢だ。腹八分目が良いそうだぞ」

「でも腹八分目とはどういう事でしょうか」

「8割くらいの事だそうだ」

「なるほど」


そして食後、戦利品の確認をしていく。

マォは初めてだからか不思議そうな顔になっていた。


「なんでこねぇなちっこい箱からデッカイ剣が出てくんだよ!」

「は?槍とか普通に入らんだろ!」

「ちょ、鍋?! なんで鍋!」


1つ開ける毎に驚き叫んでいる。

そして我々が使い方が解らなかった物についてもマォは使い方を知っていたようだが


「こないなもんどうせぇと!」


どうやら日常使いの物では無かったらしい。

一応は説明して貰った。餅と言う食べ物が手間がかかるのは理解したがそういった物なのかが想像つかなかったので機会があればやってみたいと思う。


次の日はケイルまで買い物へ出かける事になった。

せっかく家が出来ても布団が無かったのだ。すっかり失念していた。

ゾロゾロと大人数で行くのも悪目立ちしそうなので3人ずつで向かう事になった。

出掛ける前に家屋の中を確認する。

マォの説明によればマォの国では古民家と呼ばれる家屋だそうでマォが住んでいた家を模倣しているらしいとの事だった。

異世界の家屋が作れるオーガなど聞いた事がないのだが。

いや、マォだし何が起きても気にしては駄目なのだろう。きりがなくなりそうだ。



そしてケイルに着いてみれば何やら町人がざわめいている。


「あの貴族が居なくなった途端に道が復旧したらしいぞ」

「しかも崩落対策までしてあったと言うじゃないか」

「俺みちまったんだよ。あの貴族の体に行き成り傷が現れるところを」

「森の住人であるオーガに手を出したんだったよな、天罰じゃ?」

「貴族がいなくなったタイミングで道が復旧されたのも神の御業か?」

「いやもしかしたら大魔導士様が来て下さったのかもしれんぞ」

「なににせよ感謝しなければな」

「ああ、そうだな」


などと言った会話を耳にしながらスェイキョウ商会に入る。

まずは布団を・・・


「マォ・・・

 あまりキョロキョロするでない。

 そしてヌイグルミは後で買え。まずは先に布団をな」

「あ、はぃ」


子供の様に目を輝かせて店内をキョロキョロ見回すマォは可愛い。

そう言えばマォにとっては初めての買い物か。

ならば好きにみさせてやりたかったが、あの様子だと本来の目的を忘れてしまいそうな気がしたので先に布団売り場へ案内する。


「ルーク、このセンベイ布団ってなに?」

「ああ、これはセンベイって鳥の魔物の羽で作った布団だよ」

「なるほど、魔物の羽の布団か」


聞けばマォの世界でセンベイ布団と言うのは使い古して薄くなった布団の事を指すらしい。

さすがにそのような物は売っていないと思う。

各々で好みの寝具を買いそろえてモファームにくくり付ける。

その後でまた店内に戻り他の物を見て回ったのだが。

コレットは見事なまでに調理用具ばかりを購入していた。

マォはしっかりとヌイグルミを買っていた。あれは猫か?

私はというと、マォには気付かれ無いように髪留めを買っていた。

銀細工の普段使いによさそうな物だ。

きっとマォなら高級な物よりもこういった物を好むであろうが喜んでくれるだろうか。

店員が気を利かせて愛らしくラッピンクをしてくれたソレをそっとポケットに仕舞い込む。

渡すタイミングが難しそうではあるな・・・


スェイキョウ商会を出た後は商店街も見て回った。

小さいながらもそこそこに活気づいている。

八百屋と果物屋で少しばかり買い物をし拠点へ戻った。


どん、どどんっ 

と家が更に増えていた。仕事が早いな、さすがオーガ一族。

家や広場にも木が増えていて感心してしまう。

なんと言うべきか、異国情緒あふれる拠点となりそうだった。

本格的な冬が訪れる前に完成したのには感謝しかない。


更に2日が過ぎ、拠点はすっかり完成していた。

いや拠点ではなく一応領都になるのか。

森との境目という割と近くにオルガの家も出来上がっていた。

そうやらオルガの家族も少し離れた森の中に引っ越してきているようだ。

頼もしい隣人が出来たと思う。

この日の夜はオルガ一家を交えて焚火を囲んでの完成祝い兼慰労会をおこなった。

コレットとマォが張り切って肉を串に刺したらしい。

オーガ用には少し大きめに切った肉が用意されていた。

この数日ですっかり獣人や騎獣とも打ち解けているようだった。



これから本格的な冬支度が始まる。

とは言え私とダルクは薪拾いになるのだが。

他に出来そうな事といえば・・・川で釣りでもしてみるか。

読んで下さりありがとうございます。

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