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一応領主なルーク②

拠点から30分の場所にダンジョンがあると言う。

私とダルクも若い頃は何度かダンジョン攻略に出向いた事はあるが。

この地のダンジョンがどのくらいのランクなのかは不明である。

私達が経験したのは中級までだった。


ダンジョンは毎回リセットが掛かり中の通路も出て来るモンスターも変化する。

したがって攻略地図もなければ、そこにいるモンスターも情報もない。

行って見なければ何も解らない状態なのだ。

楽しみなようで不安もあるが、このメンバーであれば大丈夫であろうと思う。

経験豊富なアルノーが居て、腕っぷしのつよいリオルが居てマォが居る。

などと考えていたらどうやらダンジョンに到着したようだった。




「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!」

      りゃぁぁぁ 

       ゃぁぁぁぁ

        ぁぁぁぁぁぁ


マォの叫びがこだまする。

気持ちは解らなくもない。

私とて叫びたかったのだから。

まさか腹足類や節足類がひしめき合ってるなど想像もしていなかった。

出だしからこれだと気がめいってしまうではないか。


「か、か、かかか 閣下! 今すぐ焼き尽くしてください!」


ダルクが青白い顔をして私にしがみつく。

そう言えばダルクはヌメヌメ系が大の苦手だった。

いや私も苦手だがな。


「落ち着けダルク、これらを燃やし尽くすような炎をだせばすぐ酸欠になる」

「あ・・・」


とは言え可能であれば接近は避けたい。

どうしたものかと考える。


「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ

 なんか当たってもぉた!」


マォの声と同時に細い閃光が駆け巡り、モンスター達はピクピクと痙攣している。

何の魔法だろうか、雷?・・・


「おかーんっ!魔法撃つなら言ってくれ!」

「あー、私の髪がっ!」

「ぶっ ダルクの髪が・・・ ぷくくっ」

「笑い事じゃありませんよ!リオルの毛だってなってるじゃないですか!」

「ぶ・・・すまん・・・」


ダルクの髪がチリチリ?縮れている。

いやダルクだけではない、マォ以外の全員がだ。

と言う事は私もか!

そっと頭に手を当てて確認すれば、やはり縮れていた。


「マォさすがにこれは恥ずかしいのだが。なんとかならぬか」

「えー・・・

 んじゃリペアとか?」


ジュワッと音がして髪は元に戻った。戻ったのはよいのだが・・・


「リオルだけ何か微妙に違うような?」

「んな訳・・・ぶっ。

 なんでリオルだけソフトモヒカンにっ!ぶははっ

 いや似合うけども!」

「ソフトモヒカンてなんだ?

 って似合いといいながら笑うんじゃない!」

「まぁでもおかんのお陰でモンスターが痺れてるな。今のうちに倒してしまおう」

「んむ、そうだな」

「いやいや親父殿もアルノーも流さないでくれよ」

(ルークあれは直視したらだめだ)

(わかっておる、さっさとモンスターを処理してしまおう)

「いやいや、スルーするなよ!」


火力を押えて1匹ずつ処理していく。

アルノーはさすがと言うべきか、斧でばっさばっさと切り捨てている。

リオルも大剣で切り捨てている。

ダルクは・・・私の後ろで目を瞑っていた。そこまで苦手か?・・・

コレットは留守番にしてよかったと思った。

来ていたらパニックになっただろうと思う。


その後は順調に進め、最深部に到着すると再びマォの叫びがあがった。


「ぶぅぅぅっ

 鼻毛とかもぉ訳解んねぇぇぇぇぇぇ!!」


今回のダンジョンボスは 見たままの毛玉と鼻毛だった・・・

初めて見れば衝撃であろうと思う。

私も初めて見た時は絶句したからな。

ちなみによく見れば、ものすごーくよく見れば小さな手足がちゃんとあったりする。が、それが機能しているのかは疑問に思う所ではある。


そしてマォがあっさりと毛玉を倒してしまった。


「なんとなくは解りますが一応聞きますね。

 マォ殿 今のはアレですかね・・・」

「んだ、アレだね・・・」

「アレってなんだ」

「固有スキルだよ」

「・・・」


皆がサッと股間を手で覆った。

ん?

毛玉がぐちゃ?

毛がぐちゃ? 玉がぐちゃ?

ハッ! 玉か! そういう事かぁぁぁぁぁ。

なるほど、どうりで鑑定結果の時にダルクが私の耳を塞いだ訳だ。

などと感心している場合ではない。まだ鼻毛が残っている。

フンゴフンゴと鼻息を荒くした鼻毛が襲ってくる。

この鼻毛の攻撃はやっかいというか 小汚い。

粘着性の強い鼻水を飛ばしてくるのだ。


「うぇぇぇぇ、きったねぇぇぇ。

 もぉやだこいつ!」

「マォ殿ここは我らにお任せください!」


獣人達が張り切って応戦している。

私も魔法で応戦していたのだが


「燃えた毛が異臭を放つのでやめてください」


と言われてしまった。確かに臭い・・・

ならばと風で獣人達に絡みつく鼻毛を切っていく。

ドスッと重たい音を響かせて止めを刺したのはリオルだった。さすが我が息子。


「おー、皆カッコイイな。儂もカッコイイスキルが欲しかったー」


いやいやマォのスキルも魔法も十分強いと思うのだがな。


「強いのとカッコイイのは別じゃんか」


なるほど、そういうものなのか?


ともあれ、戦利品を回収して帰路につく事にした。

一度殲滅してしまえば半日はモンスターも湧かないので難なくダンジョンから出る事が出来た。

外の新鮮な空気をするとほっとする。

マォは入り口を見つめてしゃがみこんでいるが疲れたのだろうか。


「どうしたマォ。疲れたのか?」

「いや、ちょっと洞窟内を換気しておこうかなと思って。

 少し待っててね」


ダンジョン内を換気?

確かにジメジメとしてカビ臭かったが・・・


ゴォォォォと強風が吹き内部の湿った空気を押し出してくる。

(生ぬるいし臭い・・・)

そっとその場から離れ風の当たらない場所に移動した。


「よし!これでちったぁマシになっただろ」


少しの間風を送った後にマォが立ち上がった。

恐らく湿度は関係なくランダムにモンスターが湧くとは思うのだが黙っておこう。


「では戻って戦利品の確認をしますか」


私は心地よい疲れを感じながら もふりんに跨った。

読んで下さりありがとうございます。

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