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宰相ルーク⑬

いつものように書類や書状を捌いていると血相を変えたダルクが飛び込んで来た。


「騒がしいなダルク」

「それどころじゃあありませんよ!

 マォ殿が山菜採りに出掛けて戻って来ないそうです!」

「なんだと!」


城門が閉まる刻限はとっくに過ぎている。

アルノーが付いているので刻限に遅れる事は無いはずだ。

何かあったと考えるべきだろう。

ピアスで連絡を試みるも反応が無い。


「山菜採りはどの山に行ったのだ」

「城下を抜けてすぐ、北西に位置する山らしいのですが」

「ならば十分に日帰りできる距離だし通信魔道具の範囲内のはずだな。

 何かトラブルがあったと思うのが妥当であろうな」


すぐさま騎士団に連絡を入れ捜索隊を編成し四方に別れて出発した。


「ダルク、私は西の部隊に加わる」

「では私も閣下とご一緒しましょう。他の方では閣下を止めれませんからね」

「そのようなことは・・・」


「親父殿俺も西に加わる」

「東と北はどうするのだ、南は砂漠地帯だし可能性は低いか」

「北はモルトがいるし東にはサブレを加えた」

「サブレはリオルの騎獣ではないのか」

「だからだよ、状況が把握できるようにしておかないとな」

「ああ、なるほど。騎士団の中にも古狸の子飼いがいるからな」

「そう言う事だ、後はカカオの暴走を止める意味合いもあるんだ」

「カカオ? 何故カカオが暴走を・・・」

「騎獣の中でマォ殿と一番仲が良かったからな」

「あー・・・理解した」


散策と違い捜索となるとモファームでは進入できない場所もあるので今回はモファームは留守番となる。

心配そうにオロオロしていてかわいそうだが仕方が無い。


陛下も捜索に加わろうとしたのだが、必死に止めた。

一国の王が先陣切って捜索に加わるとか勘弁してくれ。

「陛下が行かないのであればわたくしが参ります!」

妃殿下が言い出した時には陛下とダルクと私の3人がかりで引き止めた、物理的に・・・

陛下といい妃殿下といい、もうすこし自重してもらいたい・・・


「そうは言いますけどね

 宰相ともあろう者が捜索に加わるというのも前代未聞なんですからね」

「それは仕方が無いだろう、私にとってマォ殿は家族も同然なのだから」

「は? いつからそのような関係に?」

「ん?・・・ そのような関係とは?」

「あー・・・ もういいです。気にしないでください。

 この無自覚唐変木に聞いた私が馬鹿でした」

「今しれっと失礼な物言いをしなかったか」

「気のせいですよ、さっさと捜索にいきますよ」


なにか誤魔化された気がする。


私とリオルはカカオに乗って出発しようとしたのだが、何故かカカオが私を咥えて走り出した。

「は? 待てカカオ。ちょっと待てーいっ」

慌ててリオルがカカオの背に飛び乗るもダルクは乗れずに落ち・・・てなかった。

足にしがみついていた。なんだか哀れである(苦笑)


ビシバシと枝葉が顔に当たる。


「カカオ。 もう少しだな うっぷ 道らしい場所を イタッ

 せめて障害物は避けて ぐへっ・・・

 だったらダルクを拾い上げてやってくれぇぇ」


聴こえていない、それだけ必死に探しているのだろう。

私は諦めて大人しくすることにした。すまぬダルク。


後続の騎士達の事を考慮する事もなく

カカオは木々を飛渡り聳え立つ崖を這い上り湖にもぐ・・・待て待て! 

カカオ待て!私は水中で呼吸は出来ぬし長時間息を止める事もぁぁぁあああ・・・

ぶくぶくぶくっ・・・


(親父殿、魔法で顔の周りに空気の玉を・・・)

(ああ、その手が・・・)


急いで魔法を発動させ顔を空気の層で覆う。

これで呼吸は確保できた。

湖を横断した後、すでに国境付近にまで来ていることに気付く。

西には居ないと言う事だろうか・・・

いやそもそも道なき道を猛スピードで進んだのだから見落としがあるかもしれぬ。


「親父殿、カカオに限って見落としをする事は無い。

 触肢が広範囲の情報を読み取れるからな。

 それにササミが近くに居れば気配で察する」

「そうか、騎獣は人間より感覚が鋭いのだったな」


そろそろ日が暮れる。後続の騎士達も待たねばなるまい。


「リオル、ダルク、ここらで騎士達の到着を待とう。

 このままでは騎士達の方が迷う事になりかねん」

「彼等が乗っているのは魔馬を改良した軍馬だから山岳地帯には不向きだろうな」

「ましてやカカオの様に木々を飛び渡るとか水中に潜るとかも無理であろう」

「そりゃそうだ」(苦笑)


そうして休憩を取りつつ騎士達が合流するのを待ったのだが、思ったよりも早く合流出来た。


「リ・・・リオル団長。

 申し訳ないのですがカカオ殿に、もう少しお手柔らかにとお伝え願えませんか。

 馬達が・・・  湖に突っ込んで大変だったのです・・・」


言われてみればどの騎士達もずぶ濡れである。

はて、軍馬とは泳げたであろうか・・・


「いえ宰相閣下。軍馬達は・・・ よりにもよって湖底を駆け抜けたんですよ」

「「 は? 」」

「自分達もまさか湖底を走るとは思わず・・・

 慌てて魔法で気泡を作ったからよかったものの・・・

 光の届かない暗闇の水中を走るとか、恐怖でしかありませんでしたよ」


あー・・・ それは私も経験したくないかもしれない。

取り敢えずリオルがカカオに話しをするも


「お前達はマォが心配ではないのかと逆に説教をくらったんだが・・・」


騎獣に説教をくらう私達っていったい・・・

それでも騎士達はせめて軍馬が通れる場所をと懇願していた。

カカオ 「貴方達が散々馬鹿にして来た虫ケラに出来る事が出来ないだなんて。

     大した事ないのね、馬も人間も。 フンッ」



読んで下さりありがとうございます。

リアクションを付けて下さった方も有難うございます(*'▽')

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