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僕の好きな女の子は、生まれつき目が見えない女の子。

作者: 七瀬





僕の名前は、一柳渚、小学3年生。

僕の好きな女の子は、生まれつき目が見えない女の子。

彼女の名前は、沢富海鳴、僕と同じクラスなんだ。



『ねえねえ海鳴ちゃん?』

『どうしたの渚くん、』

『今日の空は凄く晴れ渡ってて、いい空気だね!』

『そうね、私は風の匂いが凄く好き!』

『“風の匂い?”』

『“今日の空はどんな色をしているの?”』

『雲がモコモコで、空の色は青色一色だよ。』

『“・・・青色? どんな色なんだろう? 私には見る事が出来ない

色だから青色と言われてもよく分からないわ。”』

『ご、ごめん、そうだよね! 生まれつき目が見えない海鳴ちゃんは

色が分からないんだったね。』

『“私も見えるなら? 色を感じてみたいな。”』

『・・・それを言うなら? 僕には海鳴ちゃんが言う風の匂いがよく

分からなんだ! 一生懸命、スーハ―ってするけど? なんの匂いも

しないしね!』

『“私達、お互い別の世界を見てるのかな?”』

『“僕も海鳴ちゃんの世界を見て見たいな~”』

『私も渚くんのように目で見える世界で、“色”を見てみたい!』

『これからふたりで、お互いの世界を冒険しよう!』

『うん!』






・・・海鳴ちゃんは、小学校を卒業したら? 

特別支援学校に行くらしい。

だから小学校の間は僕はずっと海鳴ちゃんと一緒に居ると心に決めている!

ふたりでいっぱい冒険すると約束したんだ!

今度の日曜日に、二人で“色”の冒険をする。

生まれつき目が見えない海鳴ちゃんが分かるように僕が、海鳴ちゃんに色

を教えるんだ!

海鳴ちゃんにも、もっと色を感じてほしいからね。




『海鳴ちゃーん!』

『渚くん、おはよう!』

『おはよう海鳴ちゃん! 今日はいっぱい“色”を教えるね!』

『うん、お願い!』

『うん!』





今日は凄く天気がいい! 太陽もぽかぽかしてて、風もほとんどない!



『あぁ! “凄くキレイな真っ赤な花が咲いてるよ。”』

『“真っ赤な花? どんな花? 赤色ってどんな色?”』

『赤色がどんな色って? 説明をするのが難しいね! 赤は赤だし!

それに赤色にも200色以上あるんだよ!』

『“赤だけで、200色以上もあるの?”』

『僕が海鳴ちゃんに色をどう説明したらいいか考えたら、海鳴ちゃんは

生まれつき目が見えないから、目が見えない分! 耳とにおいと肌で

色を感じてほしいんだ!』

『“本当に耳とにおいと肌感覚で色を感じれるの?”』

『“例えば? 真っ赤な花の色の代わりに、赤色を海鳴ちゃんに教えるなら?

僕の頬っぺたを海鳴ちゃんの手で触ってみて! 僕の頬っぺたは今、真っ赤

になってるから、“赤色”を感じ取れると思うよ。”』

『うん! じゃあ、いい?』

『いいよ!』

『“冷たッ!?”』

『ごめん! でも渚くんの頬っぺた温かい~』

『“僕の頬っぺたは今真っ赤かだからね!”』

『“これが! 赤色なんだね!”』

『うん今! 海鳴ちゃんは“赤色を感じているんだよ。”』

『これが赤色なんだー! 初めて色を感じたわ。』

『僕も海鳴ちゃんに“赤色”を教えられて嬉しい!』

『“もっともっと私に色を教えて!”』

『うん! 僕も海鳴ちゃんの見えてる世界が知りたい!』

『“今ね? 遠くの方でリスが大きな木にニ匹いるわ!”』

『えぇ!? どうしてそんなことが分かるの?』

『風が教えてくれたの。』

『“・・・風が?”』

『風はヒューヒューって吹いているけど? 私には風の声で聞こえるの。』

『風は、なんて海鳴ちゃん言ったの?』

『“リスが遠くの大きな木の下でイチャイチャしてるよ”って教えてくれたわ!』

『海鳴ちゃん! 凄いよ!』

『・・・渚くんって不思議な子ね?』

『えぇ!? どうして?』

『“私みたいな目が見えない女の子に興味があるし、私の言う事もすんなり

信じてくれるなんて! 変な子か? 変わってるのよ!”』

『“僕はね? 僕の知らない世界を知っている海鳴ちゃんに興味があるんだ!”』

『やっぱり変わってるわね!』

『それならそれでいいよ。』

『“渚くんも風の声が聞きたい?”』

『聞きたい!』

『“じゃあ、目を閉じて心を静かにして風に耳を傾けてみて!”』

『うん! やってみる!』

『どう?』

『聞こえないな。』

『もう少しの辛抱よ。』

『うん。』

『・・・聞こえた?』

『聞こえた!』

『“じゃあ、今! 風は何て言った?”』

『“風は僕に、海鳴ちゃんは僕のガールフレンドかって聞いてきたから、

そうだよって答えたら? ステキな女の子だねって褒めてくれたよ。”』

『・・・私は渚くんのガールフレンドなんだ! 嬉しいけど、』

『でも? 風はそう言ってたでしょ!』

『そうね、私も同じ声を聞いたわ。』

『ヤッタ―――! 僕も風の声が聞こえたぞー!』

『渚くんって、本当に不思議な男のね。』

『じゃあーもっと冒険をしよう!』

『うん!』





僕と海鳴ちゃんは、時間が許すまで思う存分! 

ふたりでたくさん冒険をしたよ。

二人だけの世界を共有しながら、お互いの世界で知らない事を教え合い

ながらたくさん学ぶんだよ。

“この時間は、僕にとってなんて幸せな時間なのだろう。”

もっともっと僕は海鳴ちゃんを好きになっていく。

僕の好きな女の子は、生まれつき目が見えない女の子だけど、、、?

僕からしたら? “他の女の子と海鳴ちゃんは何も変わらない!”

でも? 他の女の子より僕は海鳴ちゃんが大好きだ!

特別な力を手に入れた代わりに、生まれつき目が見えないように神様が

したのだろう。

そんな海鳴ちゃんの見る世界の住人に僕はなりたい!


最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
お互いが自分が触れている世界を伝え合って、改めてこの世界を好きになってくれたら良いですね。
渚くんと海鳴ちゃん! とっても可愛らしくて素敵です!(#^.^#)
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