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手料理

俺が世界背府から暗殺の仕事をし始めてからもう二ヶ月程が経った。

それまで、学校もSOにも顔を出さなかった。

学校には色々な説明をインターポールがしているらしく、問題はないがSOにはなんと言っているのか分からなかった。

でも今日暗殺の仕事も落ち着き、SOに行くことになった。

「おはようございます」

「心太!!、ここ二月何をしてたの?」

「沙雪さん」

「仁と相川さんは?」

「今ちょっと外してるけどさ、なにも言わずに何やってたのよ」

「仕事です」

「私達も仕事って聞いてたけどさ、連絡もよこさずに」

「すいません、でも誰かの為になるので」

「そうかい、まあ詳しくは聞かないけどさ」

「はい、すいません」

俺は久しぶりに自分のデスクに着いた。

最初にしたのはメールチェック。

共同でサマエルに関する事件のチェックはするので、夕方の今の時間は殆ど終わっていた。

様々な国からサマエルの犯行ではないかと此処のメールに確認のメールがくるがそれに対して俺は前とは違う考えを持っていた。

逮捕しても国によっては終身刑や死刑にはならず、何年か経てば出てこれるそんな世の中だ。

それに対して遺族や被害者はどんな気持ちなのか、やはり生きている価値がないのではないか?

でもそれは俺がここ数か月やって来たことを肯定するためのものではないか、そんな気持ちで気持ちが悪かった。


「ただいま」

俺は家に帰った、あのまま相川さんと仁には会えずに家に帰って来てしまった。

だが家は前に宗一郎さん達の家ではない。

最初に暗殺をした時にふと自分が復讐される側になってしまっているのではないかと感じて、自分の家をも持つことになった。

ベットに横たわる、そうして俺は暗殺に、いや復讐に汚れている手を見つめる。

ブーー

家のチャイムが鳴る。

此処は宗一郎さん達には何も言わずに来たのでばれることはないが、俺に客とは誰なのだろうか。

「はい」

ドアを開けると見知った顔が一人。

「あ、居たんだ」

「愛さん」

「ずっと学校来なかったから心配で」

「いや、ちょっと仕事で」

「入ってもいい?」

「え、いやちょっと片付いてないから」

「いいから、片付けならやるから」

愛さんは強引に家の中に入って来た。

「え、ちょっとなにこれ」

「何って?」

「何もないじゃん」

確かにこの家には冷蔵庫と洗濯機とベットくらいしかないが、男の一暮らしなんてそんなものだろう。

「普通じゃね?」

「いや、片付ける以前の問題でしょ」

「必要な物とかないし」

「クローゼットは?」

「ない」

「服は?」

「一周週間分くらい」

「信じらんない」

「そこまで変じゃないだろ」

「ご飯は?」

「これ」

俺はキッチン横に置いてある段ボールの中を見せた。

「あー、もうなくなってきたか」

「カップラーメンしかないじゃん」

「俺自炊とかできないし」

「もう、ほんと呆れた」

「カップラーメンは栄養価高いんだぞ」

「そう言う問題じゃない、行くよ」

「行くってどこに?」

「夕食の買い出し」

「なんで?」

「なんでって今日もカップラーメンのつもり?」

「まあ、俺一人だし」

「そうじゃなくて、私も食べるから」

「え?」

「いいから行くよ」

「はい」

俺は愛さんに着いて行って、スーパーに行った。

食材は愛さんが選んで俺は荷物持ちくらいしかできなかった。

そうして家に帰るキッチンに愛さんが立つ。

愛さんはこの数か月学校で起きたことを話していて、俺はそれをただ聞くだけだったが人と仕事以外で話すのは久しぶりだった。


「いただきます」

「どうぞ」

俺は出来上がったオムライスを一口食べた。

「どう?」

「うん、美味い!!」

「そんなに?」

「ここ数か月は殆ど人の作ったもの食べてなかったし」

「そうなんだ」

「うん」


それから学校などでのいつも通りの会話だった。

あの人が最近好きな人が出来たとか喧嘩があってそれを止めるのが大変とか、先生の授業が退屈だとかそんなありふれたものだった。

「ごちそうさまでした」

「お粗末様です」

「片付けは俺やるからもう帰って良いよ」

「なんか嫌だな」

「何が?」

「なんかご飯作りに来ただけって感じで」

「そうじゃないの?」

「なんか都合良い女って感じで嫌だってこと」

「そんなことないけど」

「明日は学校これる?」

「うん、暫く此処にいれるから」

「じゃあこれから毎日ご飯作りに来るから」

「はい?」

「先生から様子見に行けって言われてるし」

「良いって」

「私がやりたいことなの、じゃあそう言うことで」

そう言って愛さんは帰ってしまった。

こんなことを相川さんに知られたらなんて言われるか。

考えるだけでもため息が出てしまう。

「はー」


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