世界政府
モーガンは話を続ける。
「この組織はとある上位の人間の組織と直結している」
「上位の人間?」
「世界政府だ」
「世界政府?」
そんなもの漫画や都市伝説でしか聞かない組織があるとは思わなかった。
「俺ですら接触は世界政府の側近の人間を返してでないとできない」
「そんな組織が本当にあるのか?」
「ああ、ただ今回はイレギュラーだ」
「どう言うことだ?」
「世界政府は君に会いたがってる」
「俺に?」
「ああ、世界中探しても君しかそんな人間はいない」
「分かった、で何処に行けば良い?」
「簡単だ、この下だ」
「え?」
「世界政府がいる場所は都度変わるが、今はこのインターポール本場の地下にいる」
「分かった」
「では早速、入ってくれ」
モーガンが少し声を大きく言った後に部屋のドアが開いた。
「失礼します、では河上様。ご案内致します」
そう言ったのは中年の男性でアフリカ系だった。
後ろを歩きながら少し気まずい感じだったので、会話をしようと試みた。
「あの~」
「はい?」
「お名前は?」
「私に話せる名はありません」
「そうですか、ではご年齢は?」
「先ほどから会話をしようとしてますか?」
「あ、はい」
「あまり詮索はしない方がよいかと」
「と、言いますと?」
「世界政府の方はそう言う詮索を兎に角嫌うのと失礼になります」
「なるほど」
それからエレベーターで地下に向かった。
男性がエレベーターのボタンの下を下にスライドすると、指紋認証システムがあることが一目で分かりそして男性は指紋認証と、暗証番号で承認するとモニターから「-1」と書かれた数字が出てきて男性は迷いなくそれを押した。
エレベーターが地下に着くと、男性は迷いなくコンクリートの道を進んで行く。
俺はそれに何も考えずに着いていく。
「着きました、このドアをお開けになってください。既に集まっておられます」
「分かりました」
ドアを開けると、厚さ数十センチの防弾・防音ドア。開けた瞬間、冷たい空気と微かな白檀の香りが漂う。
部屋全体は漆黒の大理石の床と真っ白なカーテンで覆われており、反響するような静けさ。
そして、天井は高く、間接照明のみでほの暗い。中央だけが円形に明るく照らされている。
部屋の中央には、円形のガラス製テーブル。
その奥に、白い布で覆われた巨大なパーティションがあり、人影だけがぼんやりと透ける。
布は光を通し、影は不気味に歪む。誰が何人いるのかすら確定できない。
テーブル上には、紙もペンもなく、ただ一台のタブレットと赤いシールの貼られた極秘ファイルが置かれている。
「そこに座りなさい」
どこから声が聞いこえたのか分からないが日本語だった。
布は厚手で顔の輪郭は見えず、声はスピーカーを通して変調されている。
「此処での目の使用は禁ずる」
「分かった」
「なんだその言葉遣いは、目上の人間に対する敬意はないのか!!」
「最初から敬う気はないのでね」
「なんだと?」
「まあまあいいではないか、彼を呼ぶことに承諾したのは目だけではなく、普通ではない人柄だからではないのか?」
「それはそうだが」
「それで、お前らの話し合いに付き合うつもりはない」
「君は失礼と言う言葉はしらないのか?」
「ああ、暗殺組織を容認している奴らにはないな」
「そうか、では本題に移ろう」
「分かった」
「ターゲットはイブラヒム・マラク。元傭兵で、世界中の紛争で裏の兵器取引を仕切っている」
「場所はドバイ、超高層ホテルのスカイラウンジで秘密の商談中の時に対岸のビルの屋上からライフルで狙撃」
「分かった」
「では、直ぐにフランスを出てドバイに向かえ」
「分かった」
俺は部屋を出た。
一方世界政府の会話では…
「あんな子供を暗殺をさせるとはな」
「いずれそれが神鹿狼奈を殺すか生かすか、どっちにしろあれをなんとかできるのはあの少年しかいないだろう」




