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信念

俺は何度も考えた。

俺は人を捕まえる為に此処まで来た。

そんな信念を曲げてもいいのか?

でもそうしないと、俺の家族を死に至らしめた奴らを手放しになってしまう。

そんな渦が頭の中で渦巻いている、こんなことは誰でも相談できない家族は当然SOの人にも話せない、だから俺は学校でもSOでも集中できなくてミスが連発していた。


「河上君」

「ん?」

愛さんが隣の席で次の授業の準備をしながら話しかける。

「なんかあった?」

「いや、なんでもないよ」

「そう、ならいいけど。あんまり一人で抱え込まないでね」

「うん」

あれから相川さんと愛さんがややこしいので愛さんについては下の名前で呼ぶことになったのだがなんとも絡みずらい。


それから授業が終わり、SOに向かう。これがいつもの流れだった。

「おはようございます」

「おはよーう」

「あれ?相川さんは?」

「また呼び出し」

「そうなんですか」

俺は自分のデスクでパソコンで今日も来るサマエル関連のメールをチャックしていた。

今の所はサマエルの犯行ではなくマラクの犯行だと結論できる、なので俺達の出番ではない。

SOでの仕事の殆どの仕事はこう言うデスクワークなのだが、俺はこの前のモーガンの話しが頭にこびりついて仕方ない。

「休憩行って来ます」

「一服か?」

「うん」

「最近多くないか?」

「そう?」

「ああ、ただでさえ未成年なんだから少しは自重しろよ」

「分かった」


俺は屋上に向かい自販機でコーヒーを買って椅子に座りながら、煙草に火をつけた。

「ふー、どうすればいいんだろうな」

そんな独り言は煙と共に消えていく。

「何がどうすればいいんだ?」

「え?」

後ろに相川さんが立っていた。

「いや、なんでもないっす」

「そうか」

「相川さんは自分の信念を曲げてでも、やらなくてはいけないことがあればどうします?」

「そうだな、信念か」

「はい」

「お前の信念ってのはなんだ?」

「サマエルを捕まえることです」

「それはお前のやりたいことだろ?」

「そうですけど」

「信念貫きたかったら偉くなれ」

「え?」

「途中で曲げることになっても頭のどこかにさえあれば、偉くなった時にやりたいことが出来るぞ」

「偉くなるって、柄じゃないっすよ」

「そうか?」

「はい、俺は現場にいたいです」

「そうか、俺も心太は現場が合うと思うけど、まあ信念持つのは悪くない」

その言葉を聞いて俺の決意は決まった。

「じゃあ俺行きます」

「おう」

俺は決めた、その思いを込めてモーガンに会いにいく。

俺であの暗殺をする組織を消す、それだけで良かった。


「失礼します」

「はい」

モーガンの部屋に行き入る。

「選択は決まったかな?」

「はい」

「それで?」

「やります」

「分かった」

「この組織はいつからあったんですか?」

「私がこの席につく前からある」

「もう俺で終わりにしてもらえますか?」

「それは約束できないが、善処しよう。では説明をする」


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