香坂 梓
それから一か月。
三月中旬になり、俺は中学を卒業した。
「心太、じゃあな」
「ああ、青森で頑張れ」
「時間があったらこっちに帰ってくるから、その時があればまた会おう」
「うん、それじゃあ」
これが俺と響が会って話したのは最後だった。
そして俺は新しく仕事をしながら幾度の未解決事件を蒼真君と共に未解決事件専門捜査室として解決してきた。
基本的に蒼真君が車を運転して事件の本質を俺が調べて解いてきたが俺は警察官ではないし捜査の許可しか与えられたない上に、総監そして京野さんしか俺が警察の中で動いているのを知らないでの殆ど仕事の功績は蒼真君が持っていていたが、それは構わないが問題なのが警察内部で蒼真君は捜査能力は殆ど皆無であり、それを不思議に思いこちらを勘繰り始めたのでそろそろ限界かもしれないと思いながら今日も未解決事件で解決できそうな事件の捜査情報をパソコンで見ていると、勢い良く扉が開いた。
「おい河上!!」
そこに現れたのは京野さんだった。
「そんな焦ってどうしたんですか?」
「ちょっと来い」
「え?」
「いいから」
そう言って京野さんは俺の腕を引っ張ってきた。
「蒼真君、ちゃんと資料確認しとくんだよ」
「分かりました、班長!!」
俺は京野さんに腕を掴まれたまま、警視庁を駆け回った。
途中に出会った警察官達は皆、京野さんと俺を見て驚いていたがそれは当然だった。
「ちょっとなんですか」
「いいから、緊急事態だ」
「分かりましたから離してください」
京野さんが腕を離したと思ったら、目の前には重厚な扉があった。
「あの~此処は?」
「特別会議室だ」
「なんですかそれ?」
「重大な事件が起きた時、警察官の上層部が集まる場所だ」
「そんな場所でなんで俺が?」
「いいから、入るぞ」
京野さんは扉を開けた。
そして中には大勢の大人がいた。多分俺には分からないくらいの位の高いそんな立ち位置の人達がいるのだろう。
「失礼します、捜査一課の京野です」
そう言った京野さんのことを無視して大勢の大人は会議を進めていた。
「もっと地域を絞ってその周辺をローラーをかけるべきだ!!」
「だからその地域の絞り込みが出来なくいんだろうが!!」
「しかし!!」
なんか面倒くさそうな展開になりつつあり、俺はさっさと部屋を出ようとした所を服を引っ張られて京野さんに止められて、そのまま京野さんは総監であり一番前に座ってる斎藤さんの所へと連れていかれた。
「総監、連れてきました」
「おお、どうも」
「誰が子供を連れて来た!!」
斎藤さんの所へとただの十代の子供が総監の前にいるのが場違いなんだろう、それに気づいて他の大人も一人一人と俺に不思議な目を向けてくる。
「ええっと、どう言う状況?」
「京野」
「はい」
「説明してやれ」
「総監、良く分からない子供に説明している状況じゃないでしょう」
「現状何も分かってないに等しい、それを切り抜けられることができるとしたらそれができるのは彼しかいない」
「一体、誰なんですか?」
「僕は河上心太です」
「中学生?高校生?どっちか知らないけど此処は君がいて良い場所じゃないよ」
「今年から高校生です、そう言うことなら僕はこれで失礼します」
そう言ってその場を去ろうとしたら斎藤さんに止められた
「ちょっと待った。君の力が必要だ」
「それなら僕のことを最初からこの人達に伝えとくべきでは?」
「君、総監になんて口を!!」
「いいんだ、それより説明をしよう。京野、説明をしてやってくれ」
「はい」
そうして、俺は扉の近くの椅子に京野さんと隣り合わせで座った。
「それで何事ですか?」
「あそこに座ってる女性分かるか?」
京野さんが指をさした所には女性が座っていた。女性は一人だけだったので直ぐに見つかった。
「分かりますけど」
「彼女は監察官として日々警察官に指示を出す、所謂キャリア組だ」
「それで?」
「彼女、香坂 梓の娘が誘拐された」




