入社試験
「今から捜査するのは、とある誘拐事件」
そう言って京野さんは話ながら写真を置いていく。
「十五歳の都内にある高校に通う高校一年生。斎川唯と言う女の子が誘拐されたことが始まりだ」
その事件には聞き覚えがあった。
「それは今世間を賑わせている女子高校生連続誘拐事件ですか?」
「そうだ、現在誘拐されたのは全員で五人。それぞれ、小野田幸子、豊田麻衣、豊川桜、鮎川穂乃果。この五人だ」
「全員捜索願は?」
「出してある、だが今だに犯人は見つかっていない」
「と言うことは、容疑者の見立てはあると?」
「君、警察みたいな口ぶりだね」
「え?」
「あ、いや気に障ったのなら謝るよ」
「いえ、それは大丈夫ですけど。そんな感じでしたか?」
「まあ、これからは協力者としてだが同業者となるのだから気にすることはないよ」
なんだか、警察って市民は協力するのが義務だとか言って。乱暴な口ぶりになると前にドラマか何かで見たので、この数日でそんな風になってしまったと言うのは少しショックだったが、なんだか前はそんな風な口ぶりだとかになったことはなかったので、変だなとは思った。
「君の言う通り容疑者は二人だ。これからその四人を任意で引っ張ってきて、事情聴取をするから君に見てもらいたいんだ」
「分かりました」
そうして資料と写真を鞄に入れて再び警視庁に戻る。
「部屋の中からこちらは見えないから安心しろ」
そう言われて、連れてこられたのは取調室の隣の部屋だった。
そこには、ガラスが張ってあってドラマなどで見られるような部屋だった。
「どうだ?」
「なにがですか?」
「なにがって、目使えよ」
「ああ、それは良いですけどまだアリバイとか聞いてないんですけど」
「今いる一人目は斎川唯の学校で勤務している教師だ」
「教師?」
「ああ、まあ真面目で人当たりも良い典型的な良い教師って感じだ」
「それじゃあ目使うまでもないじゃないですか」
「まあ斎川唯が発見されてないことに、学校側が心配してさっき警察署に状況を聞きにきたて、帰ってくれないらしく新たに詳しく学校での状況を聞く為に今いる」
「それなら、何故ここに?」
「まあ捜査線上にはいないが用心に越したことはないからな」
「そうですか」
「まあ、俺らの本命は次だ」
そうして、順番に事情聴取されている様子を見た。二人目は老後のおじさんだった。
「どうだった?」
「まあ大体分かりました」
「で、どうだった?」
「最後の人はどんなアリバイと何故捜査線上に?」
「高校の近所に住んでいて、アリバイが無く無職で近所をよく徘徊している様子が気味が悪いと結構、通報通報されているから引っ張った」
「そうですか」
「俺達は一番怪しんでいるがやっぱりあいつか?」
「それは刑事の感ってやつですか?」
「まあ、今の所証拠はないからそうなるな」
「そうですか、あの人の家は見たことありますか?」
「家?」
「はい」
「俺はないが所轄の刑事からは情報はある」
「あのおじさんはの家はどんな感じですか?」
「家の中を様子見をした所、スマホは無いわパソコンもなくて正直、年金でちびちび暮らしてるおじさんだ」
「そうですか、それはそうと現場の防犯カメラを見せてもらえますか?」
「分かった」
そうして、俺は事件現場当たりの防犯カメラを見ることになったが、全部カメラの無い場所で攫わたのか、写っていなかった。
唯一写っていたのは、誘拐された五人の内、四人は家とは反対側のコンビニの防犯カメラに写っているのが最後の姿はだけだった。
「京野さん」
「どうした?」
「あのおじさんは写ってないですか?」
「それがな、俺達が一番危惧していることがあってな」
「なんですか?」
「これだ」
見せられたのは、さっきのおじさんが私服姿の女の子と話していてそれを女の子は避けるかのように走って逃げ去る映像だった。
「俺達はさっきのじじいがストーカーをしたことで動いている」
「それでも逮捕状がでないのは、なにかあるんですね?」
「やっぱり君は刑事に向いてるな」
「また口ぶりがそうでしたか?」
「ああ、それはそうと。逮捕状が出て無い件についてだがなこの会話だけじゃ立件出来ないんだ」
「そうですか」
「最後にそのおじさんは歳は?」
「75歳だ」
「そうですか、最初に誘拐されて捜索願が出されたのは斎川唯のご家族ですか」
「そうだが」
「では、その人の家に行きましょう」
「分かった、じゃあ行くか」
「はい、それでは先に車の準備して来てください」
「なんで?」
「少しパソコンをお借りしてもいいですか?」
「分かった」
そうして俺は京野さんのパソコンで、複数の証拠になりそうなものを見て回った。
時間は十分程経った辺りで、駐車場まで行った。
京野さんを見つけると、京野さんは誰かに電話をしていたが俺を見ると直ぐに電話を切って怪訝そうな様子で俺を見た。
「遅いぞ」
「すいません」
「行くぞ、乗れ」
「はい」
そうして、十五分程車で移動して家に着いたてインターホンを押して、家の中に入れてもらった。
「すいません、またお話し聞かせてもらって」
「いえ、唯が見つかるなら」
リビングには疲れ切った父親と母親がいた。
そこで、色々な話しを聞いた。
話しによると斎川唯と言う子は大人しく、両親の言うことはちゃんと聞き学校での成績も良い、所謂優等生という感じだった。
「あの?」
「はい?」
「その隣にいる子は?」
話しに夢中でいると俺について気になっていたらしく、話しの話題は俺に映った。
「僕はただの中学生です」
「その中学生が何故此処に?」
「ああ、この子は唯さんと同じ学校で情報を持っているということで此処に連れてこいとうるさくて、連れてきてしまい。すいません」
「そうだったんですね」
両親は少し顔色が明るくなった。
「う」
京野さんに足を踏まれた。恐らく話しを合わせろと言うことなのだろう。
「どうかされました?」
「いえ、実は唯さんは学校では優秀だったので憧れていたんです」
「そうなんですね」
「はい」
それから、当たり障りのない話しをして話しを合わせた。
時間は十五分程経ったくらいだろうか、京野さんは両親からもう情報は得られないと感じ帰ろうとした。
「では、我々はこの辺で」
「あの?」
「はい?」
「出来れば唯さんの部屋を見せて頂くことは可能でしょうか?」
「良いですけど、もう警察の方には見せましたので気になるものはないと思いますよ」
「それでも構いません」
「分かりました」
「こちらです」
そうして二階の斎川唯の部屋に入った。
父親に案内されし終えた所で下に行ってしまった。
「おい」
「はい?」
「なんで部屋なんかに?」
「普通の人では気にならないことでも、僕には見えるかもと思いまして」
「そうか、目か」
「はい、では始めます」
そうして俺は目を使った。
目のコントロールは暇だった入院生活で日数は少ないとは言え、鍛えた。
部屋には明るい色で溢れていた。これは生活に充実していて特に勉強机には努力が垣間見える色で溢れていた。
ただ一か所だけ、紫色と赤色が混ざったような色が見えた。
俺が眼鏡をした所で京野さんが話しかけてきた。
「何か見えたか?」
「この机の裏に何かありますね」
「どれ」
京野さんが机をずらしてくれた。
そこにあったのは、一枚のノートだった。
「これは」
「大事になってきたな」
そこには、斎川唯の心の内が書かれていた。
【死にたい】




