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真実

それからは色々と説明されたけどよく分からなかった。

俺が見えているのは、感情が色となって見えると訳の分からない夢でも見ているのかと思わせるくらいだった。

でもこの斎藤さんと言う人が言うには、眼鏡をつけてないと感情が見えすぎて脳が情報を処理できなくなって強制的に意識が保てなくなり眠ってしまうと言うことだった。

斎藤さんと言う人はその事実だけを言って去ってしまった。

九重先生が言うには、まだ安定してないと言うことで外部の人と接触は許されなかったのでそれ以降、数日眼鏡を常につけていれば看護師さんなど数人だけとの接触で数日を過ごした。

その生活が続いて数日経ったある日、とある警察官が俺の病室に現れた。

二回ノックがあり、「どうぞ」と言うと中年男性がスーツを着て入って来た。

「初めまして、私は警視庁刑事課の京野です」

そして名刺を渡された。

「どうも」

「河上心太君であっているね」

「はい」

「それで、聞きたいことが沢山あるだろうから、こちらから話すよりも先に話してもらった方がいいね」

「それじゃあ、僕の質問を全部答えてくれるってことですか?」

「ああ、出来る限り答えよう」

ここ数日気になることが溢れていたので、それを聞くことにした。

「まずは、僕の家族はどうなったんですか?」

「全員亡くなった」

今の俺にはその事実は辛いものだった。

「そうですか」

「河上君の家族は謎の組織によって命を奪われた」

「謎の組織?」

「ああ、この先について話すのは河上君が我々に協力してもらうことが条件だ」

「まだまだ聞きたいことがあるんですけど、それでもだめですか?」

「うん、これから先の話は一般人に話せるものではない」

京野さんは目を細めて、話しを続けた。

「いいか、君は全世界を巻き込む大きな渦に巻き込まれたんだ」

「大きな渦?」

「ああ、だからこれ以上を知りたいのなら君は警察の協力者として動いてもらう。それに協力してもらえたら君の安全は保証するよ」

そして京野さんは一枚の紙を渡された。

「これは?」

「契約書だ、それにサインしてほしいが書いてあることを読めば分かるが。話した方がはやいな」

そう言われたので紙を見ながら、話しを聞くことにした。

「まずは、君の目についてだがそれは聞いたか?」

「はい、なんか人や物の感情が見えるとか」

「そうだ、だが使いかた次第では良い使い方も悪い使い方もできるが。現状ではその眼鏡をかけてないと危険だ」

「危険?」

「ああ、君が監禁された場所でなにか気掛かりなことはなかったか?」

そう言われて思いつくと言えば、あの霧だった。

「そう言えばピンク色の霧が島中を充満していたような」

「君がその異質の目を持つことになったのはそのピンク色の霧だと思われる」

「え?」

「まった、その先は私が話すよ」

そう言って病室に現れたのは九重先生だった。

「そのピンク色の霧は人間の視覚を限界まで引き上げる効果があると思われる」

「視覚を?」

「うん、今科捜研など色々な研究機関が勢力を上げて調べてはいるが、その実態はまだ謎が多い」

「じゃあ僕がこうなった原因はまだ分からないってことですか?」

「そうなるな」

「もう一つ河上君に言わないといけないことがある。それはその目を使い続けるといつか視覚は色を認識出来なくなりそして他の四感、「触覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」が段々と薄れて行って最終的には感覚がなくなってしまう」

「そんな」

「それにいつその目が発動するか分からないから、その特注の眼鏡をかけとくんだ」

次々と語られる真実についていけなかった。

だがこの眼鏡はつけはじめて数日かかって分かったことだが、この眼鏡は目の能力が発動すれば丁度良い具合に見えるし、普通に生活していれば眼鏡をかけてないときと同じ風に見えるのでただの俺にとってはただの眼鏡に変わりはないが使い慣れてないと、視角は真っ黒で何も見えないだろう。

「分かりました、それで協力者って言うのは?」

「私は説明を終えたから行くぞ」

「あ、ありがとうございます」

九重先生は去って行った、普通なら協力者とか言うと気になるだろうが九重先生はそのワードを気にもしなかった。

「協力者について聞くと言うことは、その紙にサインしてくれると言うことかな?」

「えっとまだじっくりと見たわけではないので、説明を聞こうかと」

「そうだな、まず。君の家族を殺したのはサマエルだ」

サマエルと言うと世間を賑わせている、犯罪者集団だとニュースで見たことがある。

それと俺の家族に何が関係あるのだろうか?

「なんでそんな大きな組織に僕の家族は?」

「それが分からない、それに君が監禁された島の場所も匿名の口コミだったのでそれ以降の情報はない」

「そうですか」

分からないと言うのは気持ちが悪いものだ。

「そこでだ、君は自分の家族が殺された犯人を知りたくないか?」

「そりゃ知りたいですけど、でもそんなこと僕にできないですよ」

「それが出来ると知ったら?」

そんなことは一目瞭然だ。

「やりたいです」

「分かった、ならその紙にサインすることだ」

「これにサインしたら何が出来るんですか?」

「警察の協力者として警察の捜査に、関われる」

「そんなこと出来るんですか?」

「ああ、総監が決めたことだ。それに君にはその目がある。だからその目を使い捜査に協力してほしい」

そう言われて素直に嬉しいと思った。勉強もできなければスポーツだって出来る部類ではない。だからここまで人に必要にされたことがなかった。

「ただ、さっき九重が言ったように自分で制御出来る出来ないと言えど、目を使うと言うことはどう言うことかは分かるな」

「はい、俺はどうなっても良いです」

「そうか、分かった。じゃあその神にサインして渡してくれ」

そう言われてサインをして渡した。

「ありがとう、これから君は逮捕する権限はないが捜査する権限は与えられる、まあその辺はまた今度総監に聞いてくれ」

「俺はこれからどうすれば?」

「まあ九重次第だが、退院したら警視庁に来てくれ。その時に詳しく聞くだろうしそれにその紙のコピーも渡さないといけないからな。それからこれ」

渡されたのは名刺だった。

「退院の目途がついたらここに一度連絡をしてくれ」

「分かりました。あの?一つ聞いても良いですか?」

「なんだ?」

「九重先生って何者なんですか?」

「まあ、あいつは俺ら御用達の医者だ」

「そうなんですね」

「じゃあそう言うことで」

「色々とありがとうございました」

「ああ」

そう言って京野さんは帰って行った。


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