取材
ライブから数日経って、夏休みも終わり学校が始まった。
「舞、宿題ちゃんと終わったんだね」
「当たり前でしょ、それに大学も見に行ったしもうばっちり」
「そっか」
「それより、河上君に話した?」
「何が?」
「文化祭の話しだよ」
「それね~」
実は残り少ない夏休みに、河上君と一緒に文化祭の準備に行ったけど河上君は行きたくないって言っていたけど無理やり連れて行って、そこで颯太君と一緒だった時にお互い気まずい感じで直ぐに帰ってしまった。それもあって文化祭での一緒に周るなんて言えなかった。
「この前、颯太君と一瞬一緒になった時に、なんだか気まずい感じで一言も話さないで帰っちゃったから言うに言えないんだよね」
「そっかー、颯太にはもう言ったけど確かに乗り気ではなかったんだよね」
「そうだよね」
どうしようかと考え込んでいるとこういう時にいつも、一人だけ話しかけに来てくれる人物がいたが今はもういない事を再認識した。
家でもあれ以来、河上君とあまり話していない。
ライブの日以来、なんだかピリピリしている感じだしなにかあったのかと聞いても答えてくれないし、なにかがあったのは分かるのに、ここでも私の知らない事が進行している。
「舞~、帰ろう」
「は~い」
学校も終わり、一人で帰る。
いつもは決まっている駅で帰りは一緒に帰るけど、最近は学校にも顔を出さない。
それについてはこちらも介入しないようにしているけど、たぶん河上君の代わりに霞ちゃんが近くにいると思うけど周りを見てもいないのでたぶん気配を消しているのだろう。
「只今~」
「お帰りなさいませ」
家に帰っても河上君はいない、霞ちゃんに聞いてもはぐらかしてしまうのでも聞かない事にした。
「ねえ、霞ちゃん」
「どうされました?」
「河上君って今どこにいるの?」
「病院だと思います」
「病院?」
「はい、知人のお見舞いに行くと言っておられました」
「知り合いの人が何か病気かな?」
「どうでしょう、分かりませんが安藤様はあまり気になされなくても大丈夫ですよ」
「そうだよね」
あまり介入しない方がいいかなと思った瞬間、家のインターフォンが鳴った。
「河上君帰ってきたのかな?」
「私が出ます」
霞ちゃんはインターフォンの方向に行ったが、覗いたらなんだか困っていた。
「あの安藤様?」
「どうしたの?」
「神谷様と言う方に身に覚えはありますか?」
「神谷?さあ、知らないけど」
「そうですか、ではお帰りいただきましょうか」
「ちょっと待って私に用があるの?」
「それもあるみたいなのですが心太様に用があると」
「そっか、ちょっと待って」
インターフォンの方に行き画面を見てみると、見たことあるような無いような顔が見えた。
「あの?安藤ですけどなにか用ですか?」
「安藤さん、私同じ学校の三組の神谷なんだけど」
「ああ、報道部の」
「そうそう」
「それでなにか用?」
「実は河上君に用があるんだけどいない?」
「うん」
「それじゃあ安藤さんに少し取材させてもらいたいんだけど」
「私?」
「うん」
まあ、河上君もいないし自分を取材したいと言われるなんて、光栄だと思ったし中々ないことだと思い家の中に入れる事にした。
それはそうと神谷さんはどうやって私の家を知ったのだろうか、それと河上君と一緒に住んでいることも。
「いらっしゃい」
「お邪魔します、いや~立派な家に住んでいるね」
「神谷様は何を飲みますか?」
「え?様?って言うかメイド服?!」
神谷さんの反応が普通だ、私たちが通っている学校はぼんぼんだけど普通の家庭には執事やメイドなんていないのが普通なんだ。
「この人は霞ちゃんって言って河上君が雇っているメイドさんだよ」
「は~、あの人金持ちだったんだ。じゃあ私は珈琲で」
「かしこまりました」
霞ちゃんはキッチンに向かって行った。
確かに河上君は金持ちだけど、それも知らないで取材するのかと色々と疑問が沸いたが神谷さんはどんどんと質問をしてきた。
「それでなんで安藤さんは、河上君と同棲を?」
「それは色々あって」
「もしかして付き合っているとか?」
「え?!」
「その反応はまさかまさか」
「いや、付き合っているとかそう言う事はないです」
神谷さんはなんだか楽しそうだった。
「まあ、日向にあんなことされたら恋愛なんて考えられないよね」
嫌なことを思い出させるなと思った。
「それでなんで此処が分かったの?」
「それは企業秘密ってやつだよ、私は記者だからね」
「記者」
「まあ、本命は河上君だから安藤さんは気にしないで」
この言い方は河上君が来るまで、私に適当な質問をさせて時間を潰そうとしているのかもしれないし、なんだか河上君に申し訳ないことをしてしまった。
それから、私には親の会社のことを聞かれたりしたが親がどんな仕事しているなんて知らなかったからあんまり答えられなかったし、そうなったら今度は、日向の時の事件を深堀してきたのであんまり話しすぎないようにしていたら、時間が結構過ぎていて次はどんな質問をされるかと疲れて来た時に、河上君が帰ってきた。
「只今」
「お帰りなさいませ、心太様お客様がお見えです」
「客?」
「初めましてじゃないけど、話すのは初めてかな?神谷彩乃です」
「誰?」
「河上君、この人は同じ学校の三組で報道部の人だって」
「報道部?」
「はい」
高坂さんも一緒に帰ってきたが何やら、顔つきが怖かった。
「心太様少しこちらに」
二人は玄関先で話をしていた。数分経って戻って来たと思ったら私に話しかけた。
「安藤」
「なに?」
「少し神谷と二人にしてくれ」
「分かった」
私は二階に行って自分の部屋に行った。
河上君と神谷さんがどんな話をするのかが気になったので一度ドアを閉めたふりをして階段の視角になる所で聞き耳を立てた。
「所で安藤さんを上に行かせたと言う事は、取材はオッケーってことかな?」
「取材は受けない」
「そうか、残念だな」
「お前は大手の出版会社の社長の娘だろ?」
「調べたんだ、そうだよ、私の父は若くして記者として働いて今では社長まで上り詰めた人だ」
「って事はお前は記者の卵ってことでいいのか?」
「そうだね、私は将来雑誌記者になる」
「なら話は簡単だ、やっぱり取材は断る」
「いいの?私は河上君の家を自分で調べたしそれに、河上君についての情報を握っているよ」
「ほう、じゃあその情報を判断してからにするよ」
「とっておきだからね、これは河上君に対等に取材する為にまだもっと聞きたかったんだけどしょうがないね」
「情報によってはお前を警察に届けるからな」
「せっかちだな~、まあいいや。河上心太君、貴方は半年前に死んでいるよね?」




