神業
ライブが始まる数分前私達は、各々買ったグッズを持ちながら写真を開封しながら時間をまっていた。
「ねえ、藤沢さくらちゃん当たった!!」
「良かったじゃん」
隣で推しが当たって騒いでいるのは、一緒にライブに来ていた舞だった。
「ねえ、まじで神だわー、可愛すぎ」
「運が良いね、じゃあ私も開けよう」
そしてびっしりと梱包されている物を開けると、全部で五枚入っていた。
中には藤沢さくらちゃんだったり、一番嬉しかったのは、大神彩ちゃんが入っていた事だった。
「さくらも藤沢さくらちゃんいるじゃん」
「私も運が良かったみたい」
「いいなー、え?ちょっと見せて」
なんだか舞が開いた口が閉じない様子で見てきた
「どうしたの?」
「これ」
「ん?」
「これだって」
舞が私の当てた大神彩ちゃんの写真をとって見せてきた。
「これ、大神彩ちゃんのサインついている」
よく見てみると本当に書いてあった。
「本当だ」
「なんかそんなに嬉しそうじゃないね」
「そう?でも本当に嬉しいよ」
「さくらって本当の気持ち出さないよね」
「そうかな?」
「そうだよ」
「自覚はないけど」
「それは重症だ」
「重症ってそこまでじゃないでしょ」
「自覚はした方が良いよ、だって本当に嬉しい時に表情に出せないと困るよ」
「今度から意識してみる」
「絶対そうだよ」
「分かった」
私はこのサイン入りの写真を後で河上君に上げようと、バックに丁寧に入れた。
そしてライブが始まった。
最初は歌詞の無い音楽から始まりそこから一気に、爆音がなりアイドル達がステージに出てくる。
私達は、立ち上がる。ライブ会場にいる人達も立ち上がり色々な人達が大声を上げる。
私達も声を出しながらアイドル達を待ちそして歓喜の瞬間であるアイドル達が登場。
会場のボルテージは最高潮になり、そして夢を見る。
河上は、初めてのライブを堪能していた。
「意外と楽しいな」
俺の周りには誰もいないけど、会場の観客全員が友達のような感覚に陥るように暖かい雰囲気だった。
この中では乃木坂の事を嫌いな人はいないだろう、そんな人達が集まっているそれも素敵な景色だと始まったばかりだが思った。
そんな事を思っている時に耳に付いているイヤモニで、高坂から犯人を逮捕した報告が来た。
そして高坂は直ぐに戻ってきた、高坂はライブを楽しみしていたのでいち早くこちらに合流した。
「おつかれ」
「やはり犯人の一人は阿部涼香でした」
「そうか、で犯行は?」
「心太様の予想通り、藤沢さくらの位置をもう一人の犯人に伝える事でした。」
「やっぱりか、で、もう一人の情報は?」
「本人は何も知らないと」
「そうか」
「ただ、以前の履歴が消えるチャットアプリでやり取りしていて相手の情報は知らないと」
「じゃあもう一人は何をしていようとしているのか分からないのか?」
「そうなりますね」
頭の中で描いていたものを整理する、その中で最悪のシナリオと藤沢さくらの位置を確認させることと犯行が一致するものは一つしかない。
「高坂、楽しんでいる所悪いが仕事だ」
「どちらに?」
「次に藤沢さくらがセンターになる曲が来るそこで、狙撃される可能性がある」
「え?」
俺は昨日事前に、狙撃される可能性があることも考慮してポイントを確認していた。
「今から目を使う」
「ここでお使いになるのですか?」
「ああ」
「ですが、ここで使うと脳にダメージが大きいです」
「しょうがない、でも一瞬だ少しはもつ」
「ですが」
「くどいぞ、俺がやるって決めたんだ」
「分かりました」
そう言うと高坂は諦めてイヤモニで京野さんだろうと思われる人に、連絡をいれた。
階段の一番上に上がりそこにも人はいない、ライブに夢中になって観客の視線は当たり前だがステージに向けられている。
それを確認して俺は目を使う。
一瞬で色んな人間の感情と物の感情の色で普通の人間が、見られる景色はもう俺にはもう見えない。
事前にポイントを絞っていたお陰で、一か所だけ色が見えない場所があった。
俺は直ぐに目を使うのをやめて持っていた、双眼鏡で見てみるともう狙撃をしようとしていた瞬間だった。
「高坂!!」
「はい?」
「双眼鏡固定しろ」
俺は直ぐに自前の拳銃で狙いを定める、今誰かにそれを見ている人はいない。
そして再び目を使い、固定された双眼鏡から敵の方向を確認して拳銃を撃つ。
犯人は既にスナイパーライフルで撃っていた、俺は目を使い犯人によって撃たれた射線を確認する色は変わらず見えないが、今この中には沢山の色で溢れているその中で無色なのが逆に目立つ、俺はインターポールでの射撃能力では群を抜いていたので犯人がスナイパーライフルで撃った銃弾を捉えるのはたやすかった。
「どうなりました?」
「銃弾に当てた、藤沢さくらも生きている。京野さんに報告しろ」
「かしこまりました」
高坂は京野さんに犯人の場所を無線で伝える、俺は犯人に追撃し一発犯人に銃弾を当てる。
「撃ったんですか?」
「保険だ、暫くは動けないだろう。で、犯人はどうなった?」
「京野さん達が捕まえました」
「そうか、どうやら俺はここまでみたいだ」
「かしこまりました、ゆっくり休んでください」
「全くあの距離で犯人が撃った玉に、軌道を変えるように銃撃するなんて神業ですね」
そこからの記憶はない、目を使うには人が多すぎた。




