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「マモンってあの?」

「間違いない」

画像には空港に写っていた青年とはまた違った顔だった。でも俺の目には同じ色が写った。

「では、あの空港の写真は変装?」

高坂は当然の疑問を口にする。

「分からない、もうこうなればマモンの素顔は好きに変えることができるだろうし特定は難しいだろうな」

「では、心太様が見るしか特定はできないのでしょうか?」

「そうだな、この様子だと変装に苦労はしなそうだからな」

マモンは思っていたよりくせ者で逮捕するには助言がいるだろう。

ここで河上の頭の中でとある仮説が思い浮かんだ。

「なあ?」

「はい?」

「マモンがサマエルの幹部じゃないとしたらどう思う?」

「マラクと言うことでしょうか?」

「いや、あいつがサマエルの幹部と言った以上それはないな。それに優れた射撃能力そしてこの変装技術、サマエルがほっとくわけがない」

「ではどういう事なのでしょうか?」

「また別の組織かはたまた」

「別の組織ですか」

可能性はある、最近ではサマエルやマラクが目立っているが当然他の犯罪組織がないわけではない、ただそういう組織でも移籍というものがあるくらいだ、だからサマエル以上とは言わず同等の犯罪組織にいる可能性はあるだろう。

「考えすぎでは?」

「そうだな」

少しの間で疑問が無くなっていく。

そんな時だった、階段を降りてくる音がなった。


「安藤様、大丈夫ですか?」

「はい」

そう答えた時に私のお腹の音が響いた

「随分と鳴ったな」

河上君はこう言う所がデリカシーがない。

「もう、そう言う事は言わないの!!」

「元気そうでなによりだ」

「うん、ご心配をおかけしました」

「取り敢えず、お風呂に入りましょうか」

「え?匂う?」

「いえ、髪がべたついているかと思いまして」

「そっか、じゃあ入らせてもらおうかな」

「はい、お風呂も沸いているので」

「ゆっくりな」

「うん」

河上君は最初ここに来た時はお風呂が長いとか言っていたのに、今では存在そんな事は言わない。やっぱり成長していると思う。

そのまま着替えを持って脱衣所に行きお風呂場へと足を向ける。

相変わらずでかい。ここが高級ホテルかと思わせる位にでかい。湯船は露天風呂すらある始末、全く河上君の両親はどんな仕事しているのか気になりながらもシャワーを浴びて、露天風呂に入る。

「本当にどんな仕事しているんだろう」

そんな独り言が響く、私がここに来てもう数か月は経つのに、一度も会ったことがないし写真も見たこともない、確か公務員をしているとかって聞いたけど、普通の公務員がこんな豪邸に住めるわけがないのに一体どういう人なのか気になってしまった。

お風呂を出てドライヤーで髪を乾かしながら携帯を見ると結構な数の連絡が来ていた。

恐らく日向のニュースを見て、連絡してきたのだろう。私はその連絡に返信したら舞から直ぐに返信が来た。

〈大丈夫?〉

〈大丈夫だよ〉

〈心配したんだよ、二日も返信来ないし誰も返事来てないって言うし〉

〈ごめんってば〉

〈取り敢えず、電話できる?〉

〈電話?できるけど〉

〈明後日のライブの打ち合わせしよ〉

そう言えば明後日は舞と好きな、アイドルのライブに行く事になっていた

〈分かった、じゃあ後でかけるね〉

〈待っている〉


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