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同級生

河上君を追いかけて着いたのは、海だった。


「綺麗」


「安藤、来てたのか」


「うん、でもこの時期はまだ寒いね」


「そうだな」


河上君はポケットから煙草を取り出して、火を付けた。


「この時期でも海は良いね」


「此処で吸う煙草が美味い」


「そうなんだ」


「うん」


「修学旅行あと少しだね」


「修学旅行?」


「知らないの?」


「うん、てっきり二年生の時にやってたと思ったから」


「来週に沖縄だよ」


「この時期に?」


「うん、去年は大雨で中止だったし」


「受験とか大丈夫なのか?」


「まあそれは学校が許可出したし、それに生徒からはやりたいって要望があったし、普通はあり得ないけど生徒と保護者が声をあげたみたいな感じ」


「なるほどね、俺行けるのかな?」


「分からないけど、まあ大丈夫なんじゃない?」


「そうか、まあ楽しみにしとくか」


「うん、その方が良いよ」




河上君の長い、辛い過去を聞いても少しも変わることはなかった。


あれだけのことを聞いても、河上君が何者なのか分からないし一度自分を死んだことにしてでも神鹿狼奈を捕まえたことは大きいけど、それでも河上君に対して何か私が河上君に対する印象はそのままだった。




そうして、朝が来て朝日を見て別荘に帰った。


「ただいま」


「お帰りなさい、お二人そろって朝帰りですか?」


舞と颯太君がニヤニヤしていた。


「もう、そんなんじゃないから」


「お二人はどうなんだ?」


「俺ら?」


「うん」


「まあ、人並みにイチャイチャしてるよな?」


そう言うと舞が颯太君にびんたをかました。


「痛って~、なにすんだよ」


「うるさい、お前はもう黙ってろ」


「はい」


時間は七時半になっていた。


「朝ごはんどうしようか?」


「そうだね、食べに行くにしてもまだ店やってないしな」


「じゃあ、作る?」


「作れるの?」


「まあ、人並みにはでも面倒くさいし近くのコンビニで買うのもありかもね」


「じゃあそうするか」


そうして、コンビニに向かったが。


コンビニ内で私は衝撃を受けた。


「河上君」


「なに?」


「朝ごはんこれだけ?」


河上君の籠を見ると栄養ドリンクなどだけが入っていた。


「そうだけど」


「もしかして、高坂さんがいない時とかどうしたの?」


「カップラーメンとかこう言うので済ませてた」


「駄目だわ」


おでこに手を当ててショックを受ける。


「駄目か?」


「どうした、二人とも」


颯太君が来てので説明していたら。


「それは駄目だろ」


「そうか?」


「おう、朝はばっちり食わないと頭働かないし、体も動かないだろ」


「そうか?」


「うん、取り敢えずこれと、これと」


そうしておにぎり二個とお弁当かパスタどっちかを選ばされて買っていた。


レジ前で颯太君は揚げ物を頼んでいて、食べ盛りの男の子は凄いなと思った。




別荘に帰って、各々温めたりしてご飯を食べ始めた。


その際話は修学旅行の話になった。


「修学旅行楽しみだね」


「やっぱり最後の楽しみだしな」


「うん、やっぱり海とか水族館とか楽しみ」


「そうだね、皆で楽しもう」


「うん」


そんな会話をして道が混むことも考えて九時前には別荘を出た。


道中音楽を掛けて歌ったり、映画を見たりしてずっと運転だった河上君は疲れてる様子もなくなんなら楽しそうだと思った。




「じゃあね」


「うん、また学校で」


颯真君と舞は家が近いので舞の家の前で二人は降りて行った。


そうして、河上君と二人で家まで数十分くらいの時間だった。


「そう言えば高坂さんの奥さんと娘さんってどんな人なの?」


「なんだ急に」


「いや、なんとなく気になって」


「そうか、俺が聞いてる限りは優しい奥さんと元気いっぱいの娘って聞いてるけど」


「そっか、二人が会う前に亡くなってたんだっけ?」


「うん、そうだな」


「どうしたの?」


「生きてれば俺と安藤と同い年くらいだったな」


「うん、聞いた」


「だから、安藤を家に引き取るって聞いた時も何も驚かなかったのかもな」


「どう言うこと?」


「高坂は安藤のことを自分の娘だと思ってるのかもな」


そう言う河上君はなんだか思いふけった顔をしていた。

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