思いだした過去
そうして時間は現在に戻る。
「これが真実」
全てを正確に話したわけではないが、それでも二時間くらいずっと話っぱなしだった。
「そんなことがあったんだ」
「うん、これが俺が今までしてきたこと」
「なんか話が壮大過ぎてついて行くのが難しいわ」
颯太君が頭を抱えていた。
「まあ現実離れしてる話だからな」
そこで一つの疑問が私には思いついた。
「十五歳くらい前の記憶がないんじゃなかったっけ?」
「思いだしたんだ」
「どうやって?」
「文化祭の時にアリシアが来てたろ?」
「ああ、あの美人?」
舞がギラっと颯太君に視線を向けた。
「いやいや、でも本当のことだぜ」
「もういいや」
「それでどうやって思いだしたの?」
「USBだよ」
「USB?」
「うん、そこに全てが入っていた」
「何が入っていたの?」
「俺の家族が殺された理由と俺の目について」
「その目って誰でも関係なく感情が見えるの?」
「うん、ただ普段はこの眼鏡を使って目が発動した時だけサングラスが出るって代物だよ」
「そんなものがあるんだ?」
「うん、最初に警察に協力する際に特注で作ってもらったんだ、それからもインターポールでも研究してもらってバージョンアップしてる」
「へー」
「今はそれは良いじゃない、それでUSBには何が入っていたのか聞いても良い?」
舞は眼鏡よりも内容が気になっているみたいだった。
「先ずなんで俺の家族が殺されなければいけなかったのか」
「そんな大切なことが入ってたの?」
「うん、俺の父は普通の会社員だったって話は安藤にはしてたな」
「うん」
「でも知り合いに雑誌記者がいてその人がマラクに潜入取材をしていてそれでサマエルが開発してたとある薬の事実を知ってしまったんだ」
「薬?」
「ああ、神鹿狼奈が自分と同等の頭脳を引き出すことが出来る薬を開発していたが、その実験は失敗し続けた。その結果頭脳ではなく人の感覚を一つでも超人的に引き上げることで成功率を上げるようにしたんだ」
「人じゃないわね」
「そうだな、でも失敗続きの実験も諦めるはずだった、だがそのことに気づいた父の知り合いはそれを記事にしようとしたが上から圧力がかかり知り合いである父に相談を持ち掛けた。その時に証拠としてUSBを渡したがそれすらも神鹿狼奈は気づいた。そして最後の実験として俺を選んだんだ」
「なんで河上君を選んだの?」
「分からない、でも気まぐれだったのかもな。それで俺の家族を殺して俺を離島に誘拐して薬が充満した島に俺を一週間、幽閉して気を見て自らに警察に通報して俺は介抱された」
「なんで自分から通報を?」
「多分警察との関係性を持たせたかったのかもしれな」
「そっか」
「ああ、まあこの話もこの辺にしよう。暗い話も終わりだ」
「分かった」
それから河上君と颯太君は同じ部屋で私と舞で同部屋だった。
ベットで寝転びながら二人で喋ったいた。
「あの二人寝たかな?」
「さあ、分からないけど離れてたから積もる話もあるんじゃないかな?」
「そっか」
「うん」
「さくらはさっきの話どう思った?」
「さっきの話って河上君の?」
「うん、多分全部本当だろうけどなんか私達が普通に生活している裏で大変なことが怒ってるんだなって」
「そうだね、私も河上君に会うまで信じれなかったけど、あの人は嘘をつくような人には見えないな」
「そうだよね」
「うん」
「話しますか」
「何を?」
「何って恋バナよ」
「え?」
「河上君とはどうなの?」
「どう言うこと?」
「だって日向とは色々あったでしょ、でもそんなさくらを支えてたのって河上君でしょ?」
「まあそうかもしれないけど」
私の脳裏にはあのテーマパークのでことが駆け巡っていた。
「うーん、でもなんか恋愛感情とは違うんだよね」
「でも特別な感情はあるってことでしょ?」
「まあ、なくはないかな」
「えー、良いじゃん」
「なんかね、力にはなりたいけど私が出来ることはないかなって」
「そんなことないよ、多分近い将来河上が必要な時が来ると思う」
「なにそれ、予言?」
思わず笑ってしまった。
「そうかも」
「ほら、馬鹿言ってないで寝るよ」
「はーい」
そうして眠りについて、目を覚ました時は真っ暗でまだ深夜かと思ったが時計を見ると朝の五時だった。
水でも取りに行こうと思ってリビングに行くと、玄関が開く音がした。
強盗でも入ったのかと恐る恐る手に取った水のペットボトルを持って玄関に行くが誰もいない、そうして玄関を開けると少し遠くに河上君が歩いて行ったのが見えた。
私はこのまま戻って舞を起こしてしまうかもしれないと思い追いかけた。




