生きるっていいな(四季)
生きるっていいな
春は暖かい
桜の道を通りながら散歩をする
ほんのり温かい風に乗った桜の香りが鼻をくすぐる
新しい始まりの予感
花粉症の家族や友人が言う
「〇〇もいつかなるかもよー?だって私も途中からだもん笑」
私はちょっと怯えている
そっとやわらかいティッシュを手渡す
幼い頃、友人がメガネの上から花粉症の眼鏡をしていた
その姿に思わずふふっと笑いを漏らした
今は一体化してるらしい
その頃の話をしながらまた笑い合った
もう人生の大半を共に過ごしてきた
これからも一緒にいたいな
春っていいな
生きるっていいな
夏は暑い
家で扇風機に当たり冷たいお風呂につかる
キンキンに冷えたビールを飲む父を見る
隣でキンキンに冷えたジュースを飲む
一緒にテレビを見る
外でプールに入りながらただ浮かんでみたり本気で泳いでみたりする
田舎だからかまるで貸切みたいだ
人が来たかと思えば知っている顔
少し雑談をして競争をしたりもする
大体負ける
帰り道のヒマワリ
雲一つない青い空
なんて生き生きとしているのだろう
夜はおじいちゃんとおばあちゃんの家
手持ち花火ときらめく星が暗い夜空を照らす
線香花火で対決
地蔵のように動かない兄弟やいとこたちを見て思わず笑いそうになる
危ない!笑ったら揺れてしまう
やることがなくなる
そして縁側に腰をかけてお話をする
たまに上を見上げる
あれじゃなかった?〇〇星!ほらあそことあそこ繋いでさ!
そんな会話や恋バナをする
夏っていいな
生きるっていいな
秋は涼しい、少し肌寒い
紅葉した木々
少し冷たい風を肌に受ける
なんだか少しだけ寂しいような?
いそいそと温かい家へ帰る
ただいま おかえり
秋刀魚を焼いた匂いがする
「あ、サンマでしょ!」『正解!』
『もう食べる?』「うん!お腹すいたー」
母の愛のこもったご飯
とってもおいしい
家族みんなで食べる時もある
でも、帰宅が早い私は大抵フライング
みんながご飯を食べる頃はスイーツを堪能
弟がリンゴを蛇さん剥きしてくれる
上手だね、私はよく途中で切れてしまうから練習中
あとね、身を削っちゃうの...
小さい頃から憧れていたけど中々難しい
家族は全員秋生まれ
冬に少し近づくと私の誕生日
みんなのプレゼントを用意しつつ私ももらう
この季節が私は好きだ
秋っていいな
生きるっていいな
冬は寒い
時々、雪が降る
積もることはなかなかない
積もると喜んで雪だるまを作りに行く
年齢なんて関係ないよ
いつだって楽しい
編んでもらったマフラー
心も体もポカポカ
憧れて毎年挑戦するけどうまくはできない
けれど父は気に入ったらしい
自慢げにつけているけど、ほんのちょっとだけ恥ずかしい
でももっともっとうれしい
来年はもっとかっこよく作ろう
除夜の鐘がなりそろそろ次の年になる
今年も楽しかった
来年もきっと楽しい
みんなのおかげだ
私もみんなも生きてるっていいな
生きてるっていいな
フィクションとノンフィクション(過去の話も含む)を混ぜました。
現実で幸せと感じることと、これからこうしていきたいなーとか理想的だなーとか思うことの両方。