表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/210

   第九十八話  コイツの出番だな





 新しく取得したスキルの能力は、こんな感じ。


『精密射撃Lv1』 命中率が2倍になる。

『動態狙撃Lv1』 動いている標的への命中率が2倍になる。

『移動狙撃Lv1』 移動しながら射撃した時の命中率が2倍になる。

 銃で戦うなら、実に便利な能力だ。


 あ、この説明じゃ誤解を招くだろうから、命中率2倍について説明しよう。

 たとえば、命中率が80%の人がいるとする。

 その人が、命中率2倍を取得したら、どうなるか。

 命中率が80×2で、160%になる?

 そんなうまい話は無いんだな、コレが。


 命中率80%とは、逆に言えば失敗率20%というコトだよね?

 そして命中率2倍とは、実は失敗率が2分の1になるスキル。

 このスキルを取得したら、百発百中のスナイパーになれるワケじゃない。

 現在の射撃の腕に対する補正してくれるスキルなんだ。

 つまり練習に費やした努力は無駄にならない。

 だからジュン達は、スキルの有無に関係なく銃の練習をしているんだろう。


 もちろん俺もモカも、練習に励むつもりだ。

 といっても今、俺達がゾンビを撃ち倒している距離は50メートルほど。

 この距離じゃあ、スキルの効果は感じられない。

 50メートル程度なら、最初からヘッドショットを決めているからだ。


「ふむ……じゃあ」


 俺はもっと遠くにゾンビがいないか探してみると……いた!

 800メートルくらい先に、ゾンビ発見!


 ちなみに800メートルは、Ⅿ4カービンの有効射程を超えている。

 でもそれは狙って当たる距離じゃない、というだけのコト。(例外あり)

 弾が届かない、というワケじゃない。

 ならスキル補正によって狙撃可能かも。

 というコトで、試しに撃ってみると。


 ボシュ!


 ビシッ!


 ど真ん中、とはいかなかったが、弾はゾンビの頭に命中。

 撃ち倒すコトに成功した。


「なるほど。実力ギリギリの射撃でこそ、これらのスキルの能力は生きる、ってコトか」


 つまり命の削り合いのような戦いでは、スキルの有無が戦いを左右する。

 とくに戦国エリアでは、そんな場面も多いだろう。

 そんな局面では、スキルが絶大な威力を発揮する筈。


 そう思ったら、急にジュン達が持ってるスキルが気になり出した。

 今まで傭兵として戦場を渡り歩いてきた鉄砲撃ち集団。

 彼らは、どんなスキルを取得してるんだろう?

 もちろん鑑定したら1発で分かる。


 でも、それはマナー違反。

 今は、新しく手に入れたスキルを磨き上げるコトに集中するか。

 もちろん、ジュン達の邪魔をしないように。

 なんて考えてたら。


「なあロックにぃ。コレってちょっとマズいんと、ちゃうやろか」


 モカが、そう声をかけてきた。


「マズい?」


 反射的にそう言ってから、俺は周囲を見回す。


 なるほど、現在位置は十字路の真ん中。

 そして前後左右からは、ゾンビの大群が押し寄せて来ている。

 確かにマズい状況かも。


 う~~ん、どうしよう。

 大通連村雨の千斬自在なら、あっという間にゾンビを殲滅できる。

 でも、せっかくアクションサバイバルホラー系ダンジョンに挑んでいるんだ。

 ココはガンシューティングで乗り切りたい。

 と俺が考えを巡らせてると。


「さっき手に入れた、コイツの出番だな」


 ジュンはそう言って、マジックバッグから。


 カールグスタフⅯ3(無反動砲)

 全長   1130mm

 口径     84mm

 重さ    8・5Kg


 を取り出した。

 いや、カールグスタフⅯ3を手にしてるのはジュンだけじゃない。

 カキクケコも、それぞれカールグスタフⅯ3を担いでいる。

 そして。


「カ!」

「は!」


 ドォン!


 ジュンの号令で、カがカールグスタフⅯ3をぶっ放した。

 と同時に、前方のゾンビの群れが。


 ドッカァァァン!!


 数十匹単位で吹き飛んだ。


「ナ、ナニが起きたんや!?」


 兵器のコトは何も知らないモカが驚いてるけど、もちろん俺は知っている。

 ゾンビを吹き飛ばしたのはHE441B榴弾。

 着弾と共に800発もの鉄球をまき散らす砲弾だ。

 でも、1発で終わりじゃない。


「キ!」


 ジュンの号令でキがカールグスタフⅯ3を発射。

 今吹き飛んだゾンビのよりも向こうにいるゾンビの群れを吹き飛ばす。

 続いて。


「ク!」


 ジュンの号令でクがカールグスタフⅯ3を発射。

 更に。


「ケ!」「コ!」


 ジュンの命令と同時に、ケとコが順番にカールグスタフⅯ3を発射。

 最後にジュンがぶっ放し、ゾンビを手前から順番に吹き飛ばした。

 この6連発で、数百メートルの範囲でゾンビを撃ち倒したトコで。


「走れ」


 ジュンはそれだけ言うと、いきなり駈け出した。

 それに遅れるコト無く、カキクケコがジュンに続く。


 へえ、見事に呼吸が合ってるな。

 ヤタガラスの団で、常に行動を共にしてるだけはある。

 もちろん6人とも、カールグスタフⅯはマジックバックに収納してる。

 アメリカ軍正式採用アサルトライフル=ⅩⅯ5もだ。

 その代わり手にしているのはⅯ17。

 アメリカ軍が正式採用している拳銃だ。


 Ⅿ17(=SIGS SAUER P320)

 使用弾 

 9×19mmパラベラム

 40S&Ⅿ弾

 357SIG弾

 45ACP弾

 装弾数 

 9×19mmパラベラム    =17発 

 40S&Ⅿ弾、357SIG弾 =14発

 45ACP弾         =10発


 ジュンとカは9×9㎜パラベラムを使用するⅯ17。

 キとクは40S&w弾を使用するⅯ17。

 ケとコは357SIG弾を使用するⅯ17を装備している。

 使用する弾の種類を変えているのは、限りある弾を奪い合わない為。

 そしてⅩⅯ5アサルトライフルを、Ⅿ17に持ち替えた理由は。


「あ~~」


 カールグスタフⅯ3の砲撃を食らっても、まだ動いてるゾンビの頭を。


 パン!


 走りながら撃ち抜くのは、ライフルより拳銃の方がやり易いからだ。

 そして数百メートルを進むと、またジュン達がカールグスタフⅯ3を6連射。

 進路を塞ぐゾンビを吹き飛ばして駆け抜ける。

 邪魔するゾンビの頭を拳銃で撃ち抜きながら。


 ちなみに俺とモカは武器を持ち換えてない。

 今のⅯ4カービンとⅯP7でも簡単にヘッドショットを決めれるからだ。

 こうしてゾンビの群れと正面突破を繰り返し。


「さあ、アレが目的地だ」


 俺は、前方を指さしたのだった。










2023 オオネ サクヤⒸ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ