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   第九十五話  あれはタワーマンションだよな?





「ヒャッハーーー!」

「ひゃっは―――!」


 俺とモカが、調子に盛ってゾンビを撃ちまくっていると。


「ワタシ等も楽しませてもらうか」


 ジュン達もゾーンに入ったらしい。

 狙撃速度を一気に上げた。


 そしてゾンビを全て撃ち尽くしたトコロで。

『レベルが4に上がった!』

 カキクケコが声を揃えた。


 ゾンビの経験値は1でしかない。

 でも、地面に倒れているゾンビの数は500を超えている。

 これだけ倒したんだから、レベルが上がるのも当然だろう。


「ワタシは、あと少しでレベル6になりそうだな」


 ジュンも嬉しそうにしている。

 でも、これだけは確認しておくか。


「弾は、どれだけ残っている?」


 俺の質問にモカが答える。


「ウチは弾倉が32で、弾薬箱が2つや」


 つまり30発弾倉が32と、1000発入り弾薬箱が2。

 合計2960発か。

 まだまだ余裕だな。


「ワタシは20連弾倉が20で、弾は500かな」


 ジュンとカキクケコの残弾は同じ位だった。

 安心できる数じゃないけど、予備の武器を持ってるから心配いらないか。


「じゃあ、このまま進もう。まだ弾薬は節約しなくてイイみたいだし」


 俺がそう言うと、モカがイイ笑みを浮かべる。


「まだまだ撃ちたらへん。次の戦いが楽しみや」


 それはジュンもカキクケコも同じらしい。

 言葉を口に出さないけど、モカのセリフに頷いている。


 ま、それは俺も同じ。

 もっともっとアクションサバイバルホラーを楽しみたい。

 というコトで。


「じゃあ、このままゾンビが出たら銃で撃ち倒すってコトでいいかな?」


 俺がジュンにそう尋ねると。


「もちろんだ」

「「「「「喜んで」」」」」


 ジュンとカキクケコが一斉に頷いた。


「というか、こちらからお願いしたいくらいだ。なにしろ新しい銃に慣れると同時にレベルアップが図れる」


 うん。ホントに嬉しそうだ。


「なら、このままゾンビサバイバルガンシューティングを楽しむか!」


 俺が拳を天に突き上げると。


「「「「「「「おう!」」」」」」」


 モカもジュンもカキクケコも拳を突き上げる。

 モカはともかく、思ったよりノリのイイ連中だな。

 でも、もちろん文句なんか無い。

 同じゲームを楽しめる仲間が出来て、俺もノッテきた。

 なんてワクワクしてると。


「お。ロックにぃ、団体さんのお着きやで」


 モカアが弾んだ声を上げた。

 うん、東京都民の数は1千万オーバー。

 いくらでもゾンビが湧き出てくる。


「よし、とことん楽しもう」


 俺はそう言った時には既に。


 ドゥ! ドゥ! ドゥ! ドゥ! ドゥ! ドゥ!


 ジュンとカキクケコはⅩⅯ5を撃ちまくっていた。

 って、これは負けてられないぞ。


「モカ、俺達もやるぞ!」

「了解や!」


 ギクシャクした動きで襲い掛かってくるゾンビの頭を狙って撃つ。

 撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ。

 よし、かなりⅯ4カービンに慣れてきたかな。(力加減も)

 ゾンビを撃ち倒す速度が、少しずつアップしていってる。

 でも、このままズット練習しているワケにもいかない。


「ゾンビを倒しながら、少しずつ進むぞ」


 俺はそう言って、ゾンビを撃ちながら歩き出す。


 って、アレ? 的を外してしまったぞ。

 歩きながら撃つコトが、こんなに難しいなんて、新たな発見だ。

 でも逆に言えば、移動しながら敵を仕留める技術は必要不可欠。

 ならココで練習して、移動しながらの射撃を習得してやろう。

 と、ホロサイトの覗いて撃とうとするが。


「あ、こりゃダメだ」


 足を踏み出す度にホロサイトが大きく揺れて、狙うどころじゃない。

 う~~ん、どうしたモンかな?

 とりあえずホロサイトで狙うのは止めてみるか。

 体感を頼りに、銃口をゾンビの頭に向けて引き金を引いてみる。


 ボシュ!


 ビシッ。


 おや、上手く命中したぞ。

 そうか、この感覚か。

 下手に狙わず、銃口をゾンビの頭に突き付ける感じで撃つ。

 Ⅿ4カービンの射程距離は500から600メートル。

(弾は、もっと遠くに届く。でも800mくらいから威力が落ちるらしい)

 その500メートル先を狙うなら、こんなやり方は通用しないだろう。


 でも100メートル程度の距離なら、これでイイみたいだ。

 ってか、新しい撃ち方が出来るようになるって楽しい!

 よし、今度は移動速度を上げて撃てるようになってやろう。

 いや、より遠くを狙撃できるように練習した方がイイかな?

 ま、どっちか1つにする必要もないか。


「どっちにも挑戦だ!」


 俺はそう言い放つとⅯ4カービンを撃ちまくる。

 的を外しても構わない。

 次で命中させればイイんだから。


 ファイナルクエストじゃあ、俺の射撃は世界一。

 遠距離狙撃成功記録でも、近距離殲滅数でも世界記録を持っていた。

 でもリアルじゃ、この程度。

 とはいえ、どんどん上達しているのが、自分でも分かる。

 よーし、燃えて来た。

 ココでも世界一を目指してみるか。

 と気合を入れたトコで。


 ドン! ドン! ドン! ドン!


 ジュンがキャリコを撃ち始めたコトに気が付いた。

 いや、ジュンだけじゃない。

 カキクケコも予備の武器か拳銃を使っている。


「ⅩⅯ5の弾倉が無くなったのか?」


 俺がそう聞くと、ジュンが頷く。


「全員は同じ武器を選んだのは失敗だった。弾数はともかく、弾倉が足りない」


 当然だけど、弾を撃ち尽くしたら弾倉を取り換えて射撃を続ける。

 戦闘中に、1発ずつ弾倉に弾丸を装填するヒマなんか、ある筈が無い。

 つまり弾を装填した弾倉が無くなった瞬間、銃は役立たずになってしまう。


 まあ、まだ心配する段階じゃないとは思う。

 でも予備武器にはサイレンサーが付いてない。

 このままだと銃声を聞きつけたゾンビが、際限なく集まってくるだろう。

 そうなったら、本当に弾切れの心配が出てきてしまう。

 なら。


「この近くに隠しポイントがある。そこに行くぞ」


 俺はそう言うと、ゾンビを撃ち倒しながら進んで行き。


「あのビルに入るんだ」


 高層ビルの入り口を指さす。


「あれはタワーマンションだよな? でも、こんな超高級マンションだと、セキュリティーがシッカリしているから入れないんじゃないか?」


 戸惑うジュンに、俺はニッと笑ってみせる。


「付いてきたら分かるさ」


 もちろん超高級マンションだから、前に立っても自動ドアは開かない。

 でも俺は暗証番号を知っている。

 俺がプログラムしたんだから。

 だから簡単に入り口の自動ドアを開けると。


「さ、早く入って」


 俺は皆を招き入れ、ゾンビが侵入して来る前に自動ドアを閉じた。









2023 オオネ サクヤⒸ

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