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   第九話  レベルが7になりました

第百四話まで毎日1話、投稿します





《スキル『暗視』を手に入れました》


 アナウンスが脳内でそう告げ、俺はスキル『暗視』を取得した。


 よし、真っ暗闇の筈なのに、洞窟の隅々まで見渡せるぞ。

『里山の民』は、どんなスキルも取得し易いようにプログラムしてはいる。

 でも必死になると、更に取得が早まるのかもしれない。


 ま、いいや、新しいスキルが手に入ったんだから。

 と喜んでいると。


《スキル『気配察知』を手に入れました》


 もう1つ、スキルを取得したみたいだ。

 これが訓練と実戦の違いだろうか。

 家の裏の森で訓練してた時より、取得スピードが凄く速い。

『里山の民』はスキル取得速度もチートにしてはあるんだけどね。


 ところで。

『暗視』と『気配察知』は、シーフとアサシンが得やすいスキルだ。

 他にも『空間把握』『空間転移』『空間機動』

『気配希薄』『忍び足』『視認障害』『速度強化』『急所探知』

 などがあり、『里山の民』強化イベントの1つに必要なスキルでもある。


『里山の民』強化イベントは多いから、いつ使うコトになるか分からないけど。

 まあイイや、この調子でドンドン手に入れていくぞ!

 目指せ、世界最強!


 と俺がフンスと鼻を鳴らしていると。


「お、ロック。ひょっとして暗視を手に入れたのか?」


 父さんが、そう聞いてきた。


「うん」


 コクリと頷く俺に、父さんはニコリと笑う。


「そうか、こんなに早く手に入れるとは『里山の民』は優秀な職業だな。ならそうだな、俺がバックアタックに警戒しとくから、ロックが先頭を歩け。ここのモンスターは弱い。今のロックなら油断さえしなければ楽勝だ。でも今回の1番の目標はスキルを手に入れる事だから、感覚を研ぎ澄まして進むんだぞ」

「うん」


 俺はそう答えると、ダンジョンの奥へと進んでいく。


 そしてダンジョンといえば、マッピングが基本。

 普通は、紙に道順を書き込みながら進む。


 でも自分で言うのもナンだけど、俺は記憶力も天才的。

 脳内マッピングで十分だ。

 そうやって、全ての分かれ道を順次マッピングしていると。


《スキル『空間把握』を手に入れました》


 またスキルが手に入った。

 空間把握とは、その名の通り空間の全てを把握するスキル。

 つまり罠を察知した上、解除法まで見抜ける、シーフの上位スキルだ。


 やった、またこれで最強に1歩近づいたぜ!

 と喜んだトコで、モンスターの気配を感じた。


「気配察知のスキルのお陰で、こっちが先に発見できたワケか。これは……ヴァンパイアバットだな」


 俺はそう呟くと、ヴァンパイアバットの方向へと駆けだす。


 ヴァンパイアバットとはその名の通り、コウモリ型のモンスターだ。

 中型犬ほどの大きさで、鋭い牙で襲い掛かってくる。

 数は5匹で、曲がり角の先で待ち構えてるみたい。


 そのヴァンパイアバットが見えて来る前に、俺は壁を蹴って天井を走る。

 正面から戦っても楽勝で倒せる相手だが、今回の目的はスキル取得。

 そして今、俺が狙っているスキルはシーフとアサシンのもの。

 だから戦い方も、シーフやアサシンのモノにする必要がある。

 つまり不意打ち、背後からの奇襲といった戦法だ。


 というコトで、奇襲を成功させる為。

 出来るだけ音を立てない様にしながらヴァンパイアバットに接近すると。


 ピュン。


「キィッ!」


 ミスリルダガーの一振りで、ヴァンパイアバット1匹を仕留めた。


 よし、奇襲成功だ。

 この調子でヴァンパイアバットを倒していくぞ。


 ピュピュピュピュン!


「「「「キィッ!」」」」


 残り4匹も、反撃する間も与えず切り捨てる。


「ふう。上手く不意打ちで倒せたな」


 俺は大きく息を吐いた。

 その直後。


《スキル『空間機動』を手に入れました》

《スキル『忍び足』を手に入れました》


 お!

 また1度に2つものスキルが手に入った。

 ヴァンパイアバット5匹を倒したからだろうな。

 スキルは、モンスターを倒すと手に入り易いようにプログラムしたから。


 ちなみに『空間機動』とは、壁や天井を自在に走り回れるスキル。

 そして速さのステータスが高ければ、空中を蹴って走る事も可能だ。

 一方、『忍び足』は、殆ど足音を立てないスキル。

 気配を消しての奇襲には必須のスキルだろう。


 そしてどちらも、シーフとアサシンに必要なスキルだ。

 同時に、何度も言うが『里山の民』強化イベントに必須のスキルでもある。

 これでまた1歩、最強に近づいたぞ。

 よし、この調子でガンガン行くか。


「お、またヴァンパイアバット発見」


 すぐに俺は天井を走って接近する。

 そして前回同様、一気に斬り捨てようとした、その瞬間。


《急所探知のスキルを手に入れました》


 アナウンスがそう告げ、ヴァンパイアバットの額と胸に光の点が浮かんだ。


 なるほど、この「光の点」が急所なんだな。

 って頭と心臓が急所なんて、誰でも知ってるわ!

 とツッコむ人がいるかもしれない。


 でも、いつか急所が何処か分からない敵と遭遇する日がくる。

 あるいは全身鎧を身に付けた敵に遭遇する時が。

 そんなとき、この『急所察知』のスキルが教えてくれるのだ。

 一撃必殺の急所、もしくは最も弱い部分を。

 暗殺に特化した職業=アサシンにとって生死を分けるスキルと言えよう。


 ちなみにアサシンならレベル70を超えないと手に入らないスキルだ。

 おっと、今は目の前の敵に集中だ!

 よし、ミスリルダガーは刺突に特化した武器だし、額を貫いてみるか。


 キシュ!


「ギャピィ!」


「よし、次だ!」


 こうして俺は、モンスターを狩りまくっていると。


《スキル『気配希薄』を手に入れました》


 気配をほとんど感じさせないスキルを取得した。

 奇襲を成功させる為、できるだけ気配を押さえていたからだろう。

 そして物陰に隠れながら不意打ちを繰り返したからだろうか。


《スキル『視認困難』を手に入れました》


 視界に入っても認識が困難になるスキルを入手した。

 元々俺に倒せないモンスターは、ココにはいない。

 ましてや、新たなスキルを手に入れた俺は、無双状態と言えよう。


 とはいえ油断は禁物だ。

 俺は気を引き締めて全力でダンジョンを駆け抜けていく。

 こうして丸1日、ダンジョンを駆け巡った俺は。


『暗視』『気配察知』『空間把握』『空間転移』『空間機動』

『気配希薄』『忍び足』『視認困難』『急所探知』


 のスキルを手に入れ。


 パラパパッパッパパ~~


《獲得経験値が260を超えました。レベルが7になりました》


 レベルアップも果たしたのだった。







2023 オオネ サクヤⒸ

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