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   第七十八話  ちょっと寄り道しよう





 スキル『限界突破』を手に入れていない冒険奢のレベルの上限は99。

 つまりA級冒険者だが、その基礎ステータスは。


 HP・ⅯP              2970

 力・耐久力・魔力・魔耐力・知性・速さ 2475

 攻撃力                4950

 防御力                4950

 魔法攻撃               4950

 魔防力                4950


 となる。

 それに加えて、例えば剣士なら。

『HP強化』『力・耐久力・速さ強化』『斬撃強化』       

 などのスキルを手に入れ、上限のLv9に育て上げると。


 HP・ⅯP      5670

 力・耐久力・速さ   5175

 攻撃力       10350 +武器の攻撃力

 防御力       10350 +防具の防御力


 これがレベル99の剣士の強さになる。


 では『限界突破』によってレベル999に上り詰めた剣士。

 つまりS級の剣士の場合は、どうなるか。

『上位HP強化』『上位力・耐・速さ久力強化』を上限までアップさせると。


 HP        83970

 力・耐久力・速さ  69975


 となる。

 そのステータスは、A級カンスト剣士より遥かに高い。

 でも、限界値99999より遥かに下だ。

 攻撃力と防御力も、18万4950+武器&防具でしかない。


 なので。

 HP400万、攻撃力1270万、防御力1220万の甲冑気。

 HP700万、攻撃力2180万、防御力500万の大嶽丸。

 こんな化け物に、S級冒険者が勝てる筈がない。


 唯一の可能性は、犬・猿・雉の指輪を手に入れるコト。

 しかし謎を解かないと入手不可能。

 だからダンジョン「鬼が島」をクリアした者はいない。

 ましてや闘鬼の最上鎧や大通連を手に入れた冒険者はゼロらしい。


 仮に手に入れたとしても。

 甲賀イベントをクリアしてないと、武器を強化できない。

 つまり俺とモカより戦闘力が上の冒険者はいない……ハズだ。


 しかし今の俺より強いモノなら存在している。

 SSS級ダンジョンや、隠しイベントに。


 あ、ついでに言っておくと。

「鬼が島」がSS級ダンジョンというコトは知られていない。

 もし知っている者がいるとしたら、クリアした者だけ。

 あるいはクリアしなくても大嶽丸を鑑定した者だけだろう。

 そしてこの世界で鬼が島をクリアした、という話しは聞いたコトがない。

 だからとても難易度の高いダンジョンというのが世間一般の認識だ。


 おっと、話を戻そう。

 この世界には俺より強いモノがいる。

 だから世界最強を目指すなら、沢山のイベントをクリアする必要がある。

 これがゲームなら、直ぐに次のイベントにチャレンジしているトコだ。


 でも、この世界はリアル。

 ゲームになかった要素も多い。

 なにより自分の力を100%引き出せているか。

 そう聞かれたらゼンゼンと答えるしかない。

 いきなり『鬼神』により、300万もアップしたステータス。

 その力に、感覚が追いついていないのは明らかだから。


 だから俺は、これからどうするか考えた挙句。

 大幅にアップしたステータスを使いこなす練習をするコトにした。

 大通連村雨と真・闘鬼の究極鎧の修行も兼ねて。


 そして修行なら、目的地はアソコがいいかな。

 というコトで俺は、温羅の街に戻るなり。


「モカ。富士山に行ってみるか」


 富士山、別名『不死の山』に向かうコトにした。


 ところで今更なんだけど。

 ジパングは日本の4倍の広さがある。

 日本本来の自然が残るエリアや様々なゲームエリアを両立させる為だ。

 だから富士山までは、日本の感覚の2倍の距離を旅する必要がある。


「それはエエんやけど、ナンでウチら、こないにユックリ歩いとん?」


 温羅の街を出発してから1時間後。

 今になって、モカがそんなコトを言い出した。


「ウチとロックにぃなら、本気で走ったら1日で到着するんと違う?」

「あのな、モカはスキル『鬼族の覇者』で、いきなりステータスが80万もアップしたんだぞ。今までの感覚で動いたら、人に危害を与えるかもしれない。考えてみろ。もし人にぶつかったら、間違いなく殺してしまうぞ」

「言われてみたらそうやな。もうちょっとでウチ、無差別殺人鬼になってまうトコやったで」


 ブルリと体を震わせるモカに、俺は頷く。


「その通り。だからユックリと歩きながら、体と感覚をアップしたステータスに慣らしていくんだ」


 電動自転車から1000ccのバイクに乗り換えたようなもの。

 いきなりアクセルを全開にしたら、絶対に事故る。

 最初はユックリ走らせ、徐々にスピードとパワーに慣れていくしかない。


 ゲームじゃ必要なかったけど、リアルでは重要な作業だ。

 なんて説明しても分からないだろうな。

 モカは転生者じゃないから。


 ま、いっか。

 たまにはノンビリするのも悪くない。


 とはいえ旅の間、なにもしないワケじゃない。

 早めに宿をとって、モカと一緒に空手の稽古を2時間行う。

 そして風呂に入って、夕食だ。

 宿場町で1番美味しいと聞いたから、この宿にしたけど、大正解。

 すき焼きをメインとした、凄く豪華な夕食だった。


 ちなみに、この世界にも生ビールがある。

 もちろん作ったのは転生者だ。

 だから風呂上りに一杯といきたいが、俺はまだ17歳。

 なので、風呂上りの生ビールは我慢しておく。

 この世界では飲酒の年齢制限はないから、少し悩んだけどね。


 そしてフカフカの布団でグッスリ寝た次の日。

 富士山を目指す旅の2日目の始まりだ。


「へえ。同じジパングでも、こないに違うんか」


 モカが街道を歩きながら、周囲を見回す。

 そういやモカは京の都周辺と、鬼が島への街道しか知らなかったっけ。

 ジパングのコトは俺が教えたケド、実物を見るのは初めてとなる。

 知識を実際に目で確かめるのも勉強だろうな。

 こうしてノンビリと旅をしていた、ある日。


「なぁロックにぃ。街道の右と左でエライ違うんやな」


 モカが街道の左右を見比べて、そう聞いてきた。


「ナンでやろ。完全に別世界なやんけど?」

「それはな、モカ。この街道がエリアの境になってるからなんだ。右側がモンスターが出現するエリアで、左側が戦国エリアだ」


 ファイナルクエストでは様々なゲームが楽しめる。

 その1つが、日本の戦国時代を参考にした戦国エリアだ。


 足軽から成り上がって戦国大名を目指すも良し。

 戦国大名どころか天下統一を目指すも良し。

 戦大将として1国の軍を率いて戦国バトルを楽しむも良し。

 もし自分が戦国の世に生きていたら。

 それを思いっきり楽しめる場所のしてプログラムしたエリアだ。


 ただし、好き勝手にしてイイのは戦国エリアだけ。

 ソレ以外のトコで暴れたら、冒険者ギルドを敵に回す。

 そして下手したら堕天使を派遣されてしまう。

 だから戦国バトルを楽しめるのは戦国エリアだけに限定されている。

 その戦国エリアで俺は「あるもの」を見つけ。


「モカ。ちょっと寄り道しよう」


 予定を変更するコトにした。








2023 オオネ サクヤⒸ

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