第七十五話 中ボスの立場ないやん
鬼を倒しながら第1ステージを進んでいく。
しかし目標は、あくまで強化スキルを育てるコト。
できるだけ俺自信のレベルは上げないように気を付ける。
え? どうしてレベルを上げないのか、って?
そりゃあレベルを上げてもステータスは少ししか上がらないからさ。
レベルが1つ上がったとき、HPとⅯPは30しかアップしない。
力・耐久力・魔力・魔耐性・知性・速さに至っては、たった25だ。
レベルが低い時は、このレベルアップに伴うステータスアップは大きい。
でも今の俺にとって、それほど魅力的なモノじゃない。
それよりスキルによるステータス強化の方がズット魅力的だ。
そしてレベル差が大きいほど、スキルはアップしやすい。
だからレベルを出来るだけ上げないように戦う。
もちろん攻撃しているダケじゃ耐久力や魔力、魔耐力がアップしない。
なので俺は。
「ほい」
ふわっ。
襲ってきた隠形鬼の攻撃を空手の技で受け流した。
完璧に受け流したらノーダメージだが、少しダメージを追うように調節。
これによって耐久力と防御力の強化スキルをアップさせる。
ついでにHPが減ったぶんを甲賀の特効薬で回復。
HP強化スキルのレベルアップを狙う。
そして魔力と知性をアップさせる為に、生活魔法の火を放つ。
もちろんレベル2000の隠形鬼を生活魔法で傷つけるコトは出来ない。
でも魔法攻撃回数としてカウントされる。
そして減ったⅯPも甲賀の特効薬で回復。
これによって魔力と知性とⅯP強化スキルがレベルアップする。
と、何度も受け流しと魔法攻撃を繰り返した結果。
超HP強化 Lv9 (HP + 81万)
超ⅯP強化 Lv9 (ⅯP + 81万)
超力強化 Lv9 (力 + 72万)
超耐久力強化 Lv9 (耐久力 + 72万)
超魔力強化 Lv9 (魔力 + 72万)
超知性強化 Lv9 (知性 + 72万)
超速さ強化 Lv9 (速さ + 72万)
超拳撃強化 Lv9 (拳撃 + 90万)
超蹴撃強化 Lv9 (蹴撃 + 270万)
超防御力強化 Lv9 (防御力 + 90万)
俺の強化系スキルは、こうなった。
次はまだ強化していない、魔耐力と斬撃を超強化Lv9にするか。
というコトで、俺はサクッと隠形鬼を倒すと、風鬼を探す。
お、いたいた。
じゃあ始めるか。
というコトで俺はヤマセミロングを手にすると。
「そりゃ」
風鬼の背後に瞬間転移して斬撃を放つ。
もちろんヤマセミロングじゃあ、大した傷を負わせるコトは出来ない。
でも攻撃回数は稼げる。
これにより斬撃強化スキルがレベルアップする、というワケだ。
と同時に。
バシュ!
風鬼が放つカマイタチを、皮膚をかすめる程度で食らう。
つまり魔法攻撃を食らって魔耐力強化スキルのアップを狙う。
こうして超斬撃強化Lv9と超魔耐力強化Lv9を入手したトコで。
「しゃ!」
俺は急所を1突きして風鬼を倒す。
よし、これ以上ザコと戦う必要はなくなった。
さっさとボスキャラを倒しにいくか。
というコトで土蜘蛛や赤鬼たちを千里眼で躱して先に進み。
「さぁて、さっさと倒すか」
俺は第2ステージの中ボスの前に立った。
牛頭鬼
レベル 5500 経験値 3500万
HP 50万
基礎攻撃力 55万
防御力 40万
装備 上質の金棒(攻撃力40万)
何度見ても、S級冒険者でも生きて帰れるか分からないステータスだ。
でも俺の10倍強化極鬼包丁の攻撃力は2000万もある。
だから。
ざしゅ。
瞬間転移からの1撃で、簡単に勝てた。
「うわぁ。そないに簡単に倒してもうたら、中ボスの立場ないやん……」
モカが牛頭鬼に同情の目を向けている。
うん、そんなトコもモカの良いトコなんだろうな。
ま、それはそれとして。
「牛頭鬼からはナンのスキルも得られないし、ドロップもしない。そんなヤツに時間をかけても仕方ないさ。さっさと次に行くぞ」
「ホンマ哀れやな」
俺は、まだ気の毒そうな目のモカを連れて第3ステージに進む。
が、第3ステージでは、必要なスキルを既に取得している。
だから俺は、一気に第3ステージを駆け抜け。
レベル 7000
経験値 7100万
HP 400万
基礎攻撃力 320万
基礎防御力 270万
装備 闘鬼の最上鎧(防御力950万&攻撃力950万)。
実質攻撃力 1270万
実質防御力 1220万
というステータスの持ち主である甲冑闘鬼との戦いに挑む。
うん、流石のステータスだ。
SS級冒険者でも1撃で倒せる攻撃力。
SS級冒険者でも突破できない防御力。
よくもこんな無理ゲーを仕込んだもんだ。
って、プログラムしたのは俺なんだけど。
でも俺がプログラムしたんだから攻略法も知り尽くしている。
だから犬と猿に助けてもらう必要はない。
指輪も、それを察知しているのだろう。
「なんでや? 犬と猿が出てけへん?」
モカが言ったように、指輪は俺の指にハマったまま。
つまり、もう勝ち方まで決まっている。
後は、それを実行するだけだ。
え? どうやるんだ、って?
モカが戦った時にヒント、いや正解を教えたのを忘れたのかな?
え? さっさと言え? はいはい。
つまり甲冑闘鬼の攻撃はステータス任せの雑なモノ。
躱そうと思えば躱せるので、カウンターを合わせればイイ。
まあ、普通のSS級冒険者じゃあ躱せないだろうけど。
そしてカウンターを合わせても、闘鬼の最上鎧に跳ね返されるだろうけど。
でも俺の空手の技術なら躱せる。
そして俺の10倍強化極鬼包丁の攻撃力は2000万。
闘鬼の最上鎧の防御力を上回っている。
だから俺は。
「ぬぅううううん!」
甲冑闘鬼が、いきなり放ってきた渾身の1撃を紙一重で躱し。
シュパン!
10倍強化極鬼包丁で甲冑闘鬼の首を切り飛ばした。
と言うと楽勝だったと思うかもしれない。
でもゲームとリアルは違う。
もしも躱すのに失敗したら命がない戦いだったんだ。
けっこう冷や汗ものの攻防だったよ。
だから俺は。
「ふぅ~~~~~」
甲冑闘鬼との戦いを終え、大きく息を吐いたのだった。
2023 オオネ サクヤⒸ