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   第五十一話  これからもよろしくな





 ステータスは高いが、青行灯の体の構造は人と同じにプログラムしている。

 だから俺の正拳突きで、青行灯は首の骨を砕かれ。


「そ、そんな……」


 目を見開いて、それだけ口にするとドサリと地面に倒れた。


 とはいえ、さすが最強の妖怪。

 まだ絶命していない。

 でも息絶えるのは時間の問題。

 数分後には、只の屍になっているだろう。


 でも、これで終わりじゃない。

 ただ倒しただけじゃ妖気は残ってしまい、新たな妖怪を生み出してしまう。

 だから俺は青行灯を思いっきり空高く投げ上げると。


「金剛夜叉明王撃!」


 10倍強化金剛夜叉明王撃を青行灯に撃ち込む。

 これが戦いだったら、青行灯は金剛を防御しただろう。


 しかし、今の青行灯は瀕死の状態。

 成す術もなく、金剛夜叉明王撃により消滅していく。

 こうして青行灯が消え去るのを眺めながら、俺は大きく息を吐く。


「ふう、これでホントに終わったな」


 青行灯は金剛夜叉明王の力によって浄化された。

 つまり百鬼夜行の妖気は全て消滅した筈。

 これでもう、妖怪が発生するコトはないだろう。


 あ、大事なコト忘れてた。

 グラッグさんとムサシさんを回復しないと。


「モカ、グラッグさんとムサシさんを回復してくれ」

「うん!」


 モカは頷くと、甲賀の特効薬をグラッグさんとムサシさんに振りかける。

 お、直ぐにグラッグさんとムサシさんが起き上がったぞ。

 うわ、やっぱ甲賀の特効薬の効果、パネェわ。

 と、そこで。


《妖怪青行灯を倒しました。経験値2000万を手に入れました》


 アナウンスが聞こえた後。


 パラパパッパッパパ~~!


 ファンファーレが鳴り響き。


《獲得経験値が2843万を超えました。レベルが99になりました》


 俺は一気にレベルアップしたのだった。


 って、経験値2000万を手に入れた、って言ったよな?

 でも青行灯の経験値は8000万だったはず。

 というコトは4分の1しか手に入ってないってコトだよな?

 つまり4人で青行灯を倒したと判定された?

 グラッグさんとムサシさん、俺は当然として、あと1人は誰だ?


 と不思議に思ってると。


「ええ、レベル92~~!?」


 モカが目を白黒させながら、大声を上げた。


 なるほど。

 4人目はモカだったのか。

 グラッグさんとムサシさんを回復させたからパーティー認定されたんだろな。

 戦闘後と判定されても不思議じゃないタイミングだったけど。

 でも良かったなモカ、レベルが上がって。


 しかし、モカがレベル92か。

 スキル『究極の忍者』も持ってるし、5歳児のステータスじゃないぞ。

 俺が5歳だった時と比べても、ブッチギリで強いや。

 と、そこで俺は青行灯が持ってた極鬼包丁に気付いた。


「金剛夜叉明王撃が命中したのに浄化されずに残っているってコトは、妖気が形を成したモノじゃないのかな?」


 理屈は分からないけど、強力な武器なのは間違いない。


「せっかくだから、貰っておくかな」


 俺は極鬼包丁を拾い上げると、ⅯPを消費して10倍に強化する。

 刃渡りは40センチほどで、刃の幅は45ミリくらいかな。

 厚みは10ミリを超えているから、サイズ的にはヤマセミロングくらい。

 でも攻撃力は、驚異の2000万。

 凄い武器が手に入ったモンだ。


 しかも鑑定してみると。


 10倍強化極鬼包丁

 攻撃力   2000万

『飛刃』付与。

スキル『飛刃』=攻撃力1600万の斬撃を飛ばす

射程距離=1キロメートル


 と表示された。


 ってスキル『飛刃』って凄い能力だぞ。

 攻撃力が1600万もある、刃渡り1キロの刀を持っているのと変わらない。

 う~~ん、チートだなぁ。


 ってか、強力過ぎて怖いわ!

 ヘタに『飛刃』を発動させると、住民ごと街を壊滅させてしまう。

 普段はマジックバッグに仕舞っておいた方が良いかも。

 でも物凄く強力な武器なので、一応装備しておくか。


 しかし、ホントに凄い武器が手に入ったモンだ。

 こんなラッキー、めったにないだろうな。

 とはいえひょっとしたら、他にも何かドロップしてるかも。

 というコトで、俺が辺りを見回してると。


「残念ながら、ドロップアイテムは、その剣鉈だけみたいだぞ」


 回復したグラッグさんとムサシさんが声をかけてきた。

 ってかスキル『千里眼』で探したら1発だったな。

 ま、いっか。


 それよりグラッグさんとムサシさん、ちゃんと回復したのかな?

 モカのコトは信用してるけど、一応確認しておくか。


「グラッグさん、ムサシさん、怪我の具合はどうですか? 甲賀の特効薬はエリクサー並みの回復力がある筈なんですけど」

「おう、モカちゃんに感謝だな。完全に回復してるぞ」

「その通り。回復役としてもモカは優秀だな。我が警備部門にスカウトしたいくらいだ」


 冗談半分でそう言うムサシさんに、モカが即答。


「やだ。ロックと行く」

「そうか。残念だが、もしも警備部隊で働く気になったら声をかけてくれ。俺より高い給料で雇わせてもらうぞ」


ムサシさんの言葉に、モカより早く俺が答える。


「もしその時が来たら、よろしくお願いします」

「「任せろ」」


 グラッグさんとムサシさんが声を揃えたトコで、モカが口を尖らせる。


「ロックと一緒に行くって言ったでしょ!」


 そんなモカに、俺は微笑みかける。


「でもモカ。ボクはモカに平和に、そして幸せに生きてもらいたいんだ。そしてモカはもう、平和に暮らしていけるだけの力を持ってる。ギルドに雇ってもらって平和に生きていってもイイんだよ」

「やだ! ロックと一緒に行く!」


 そう言うと、モカがギュッとしがみ付いてきた。


 うわ、今更だけど小さいな。

 でも必死さが伝わって来る。

 こんな小さな女の子に頼られるのも幸せかも。


「わかったよモカ。じゃあこれからもよろしくな」


 俺が頭を撫でると。


「うん!」


 モカは、春の陽だまりのような笑顔を俺に向けたのだった。







2023 オオネ サクヤⒸ

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