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   第四十六話  呪符の作り方を説明しましょう!





 もしも京の都を覆う妖気が1つに集まったら、とんでもない妖怪になる。

 このムサシさんの指摘に、グラッグさんの表情が鉄に変わる。


「それだけは、ギルドの総力を挙げて阻止しないとな」

「うむ。少しでも早く、妖気を減らさねばならない」


 ムサシさんはグラッグさんにそう答えると、俺に視線を向けた。


「だからロックにも、少しでも多くの妖怪の始末を頼みたい。もちろん、そこのお嬢ちゃんにもな」


 そしてムサシさんは顔を歪めると。


「本来なら命に代えても守るべき児童と幼子に、妖怪を退治させる。警備部門責任者として、これほどの恥はない。しかし京の都に暮らす民の為に、お願いするしかないのだ。誠にすまない」


 俺とモカに深々と頭を下げた。

 ムサシさんもグラッグさんも、ホントにイイ人だな。

 京の都に人の為というより、ムサシさんとグラッグさんの為に頑張ろう。

 あ、金の小鳥亭のダンガさんの為にも。


 となれば、グズグズしてる場合じゃない。

 さっさと妖怪を退治しに行こう。

 おっと、その前にコレを聞いておかないと。


「じゃあボクとモカは、どこに行けばイイでしょうか」


 担当地区を決めて妖怪を退治するのが、1番効率が良いハズ。

 なら京の都を知り尽くしているグラッグさんとムサシさんに決めてもらおう。

 というツモリだったんだけど。


「それならワシと共に行こう」


 ムサシさんが、そう言いだした。


「グラッグはギルド本部で全体を把握してくれ。ワシは道案内としてロックとモカに同行する。これなら万が一の事態が発生した場合、京の都の最大戦力を投入できるからな」


 ムサシさんはそう言うと、俺とモカに向き直る。


「では道案内しよう。妖怪退治、よろしく頼む」

「はーい!」


 おっと、モカに先を越されてしまった。

 ま、いっか。


「はい、コチラこそ宜しくお願いします」


 俺は決意を込めて、そう答えたのだった。

 こうしてムサシさんと一緒に京の都を巡回すると。


 ギニャァァァァァァァ!


 猫又は飛び掛かって来たり。


「けほほほほほほほ!」


 天井下がりが突然現れたり。


 ズシィン!


 おとろしが頭上から落下して来たり。


「ひょぁあああああ!」


 鬼婆が包丁を振り下ろして来たり。


 ヒュゥウウウウ!


 カマイタチが切りつけて来たりと、京の都は妖怪で溢れかえっていた。


 その全てを。


「金剛夜叉明王撃!」

「こんごうやしゃみょうおうげき!」


 俺とモカで退治していく。


 ちなみに劣化版金剛夜叉明王撃の呪符の使い方は簡単。

 呪符を敵に向けて「金剛夜叉明王撃」と言うと雷の矢が発射される。

 そして妖怪を貫くと同時に雷が炸裂して焼き尽くす。

 もちろん、稲妻の速度で撃ち込まれる雷の矢を躱せる妖怪なんか存在しない。


「こんこうやしゃみょうみょうげき!」


 たまにモカが噛んでるけど、明王撃は発動しているみたい。

 神様は、細かいコトは気にしないのかな?

 あるいはモカだから、大目に見てくれてるのかも。

 だって5歳の女の子が、人の為に妖怪退治を頑張ってるんだから。


 とはいえ、妖怪、多すぎじゃない?

 普通の人々は、どうしてるんだろ?

 この数の妖怪に襲われたら助からないぞ。

 と、顔に出てたのだろうか。


「人々には簡易結界の符を配った。3日くらいなら、レベル20以下の妖怪から身を守れる筈だ」


 ムサシさんが、そう説明してくれた。


「つまり期限は3日しかないってコトですか?」


 そう俺が聞くと、ムサシさんがかすかな笑みを浮かべた。


「いや、その時はまた、新しい結界符を配れば良い」

「あ、それなら安心ですね。でも結界符も無限じゃないですよね? それに流通も経済もストップしちゃいますから、やっぱり一刻も早く妖怪を退治しないといけませんね」


 俺がそう言うと、ムサシさんは一瞬、目を丸くしたが。


「そういやロックは、この世界では10歳かもしれないが、転生者だったな。よく状況を理解している」


 そう言って、大きく頷いた。


「ならば話しは早い。今日1日で、どれだけ妖気を減らせるか。それによって計画が大きく左右される。ロックに頼るだけなのが心苦しいが、頑張ってくれ」

「任せて下さい」


 俺はそう答えると、眼に入ると同時に妖怪を消滅させていく。

 もちろんモカも頑張っている。

 こうして京の都を駆けずり回った結果。


「ムサシさん、劣化版明王撃の呪符を使い切ってしまいました。これ以上妖怪を退治しても妖気を減らす事が出来ません」


 昼の3時の時点で、1500枚もあった呪符が全て無くなってしまった。

 というコトでギルドに戻ると。


「で、ロックよ。新たに呪符を作るのに手伝えることはあるか?」


 ムサシさんが、そう聞いてきた。


 そうだな、まだ3時だ。

 今から頑張れば、かなりの数を作れるぞ。

 よし、さっそく手伝ってもらおう。


「呪符用の和紙を出来るだけ沢山、用意してもらえますか」

「街の道具屋に売ってるヤツで良いのだな?」

「はい。それで作るのが1番早いので」

「分かった。買えるだけ買ってこよう」


 そう言ってムサシさんがギルドを飛び出して3分後。


「取り敢えず、これだけ渡しておく。残りは部下が届けてくれる」


 ムサシさんは、大型冷蔵庫ほどもある荷物を背負って帰ってきた。

 もちろん中身は全部、呪符用の和紙。

 すごいな……10万枚はありそうだ。


 って、多過ぎです、ムサシさん。

 これ全部、呪符にしてたら死んじゃいます。


 でも、出来る限りのコトはしておこう。

 後で、あの時こうしておけば、なんて後悔したって遅いのだから。

 さて、じゃあ気合を入れて劣化版明王撃の呪符を作りまくるか。


 というコトで、金剛夜叉明王撃の呪符の作り方を説明しましょう!

 まず和紙に、筆で「轟雷」の文字を書きます。

 次にⅯPを5,消費して呪符に仕上げます。

 そして呪符の裏側に、金剛夜叉明王の真言を梵字で書き込みます。

 これで金剛夜叉明王撃の呪符の完成です。


 でも、これじゃ威力が高すぎるので、効果を弱めます。

 方法は簡単。


「神威1万分の1」の文字を呪符に書き込むだけ。

 これで劣化版金剛夜叉明王撃の呪符の完成です。


 なんてコト、1枚1枚やってたら大量生産なんて不可能。

 そこで甲賀イベントで入手したスキル『錬製』の出番。

『錬製』で、完成した劣化版金剛夜叉明王撃の呪符を和紙にコピーしまくります。

 以上。

 劣化版金剛夜叉明王撃の呪符の、超高速製作の手順でした~~。









2023 オオネ サクヤⒸ

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