第二百四話 断罪の剣だ
ロック
HP 2000該
ⅯP 2000該
攻撃力 9000該(基礎攻撃力 4000該)
防御力 9000該(基礎防御力 4000該)
装備
鎧袖一触(攻撃力・防御力 5000該)
(特殊能力 万斬自在 10里刃 武具顕現
宇宙樹の大泉=3秒でHPⅯP全回復
投擲必中=投げたら必ず標的に命中する
自動帰還=標的を貫いた後、自動的に手元に戻る)
モカ
HP 1000該
ⅯP 1000該
攻撃力 6000該(基礎攻撃力 2000該)
防御力 6000該(基礎防御力 2000該)
装備 天下無双(攻撃力・防御力 4000該)
ヤマタノオロチ(転生者 ロックの従魔)
Lv 300該
HP 3000該
ⅯP 3000該
攻撃力 6000該
防御力 6000該
(首の長さ150km、首の直径10kmメートル。
胴体の直径80kmメートル。全長は2000km)
これが、千手観音がアップさせてくれた俺達のステータスだ。
素晴らしいステータスだが、人の世界で生活できるステータスじゃない。
ついでに言えば、鎧まで名前が変わってパワーアップしてる。
鎧袖一触の名の通り、触れたダケで全てが砕けそうだ。
もちろん人間なんか跡形もなく消し飛ぶだろう。
……俺、社会復帰できるのか?
と困惑する俺に、千手観音が与えてくれた解決策。
それがスキル『自主規制』だ。
ステータスを十分の1にする 『自主規制1』
ステータスを百分の1にする 『自主規制2』
ステータスを千分の1にする 『自主規制3』
ステータスを万分の1にする 『自主規制4』
ステータスを十万分の1にする『自主規制5』
といったスキルを取得して、力ステータスに対して効果をオンにする。
すると、俺の力ステータス値は20億に。
これは今までの経験によって、十分にコントロールできる数値だ。
おっと、速さステータス値にも『自主規制1~5』をオンにして、と。
よし、これで普通の人に迷惑を掛けなくて済むぞ。
そして『自主規制』だから、その気になれば瞬時に解除できる。
実に便利なスキルだ。
しかし千手観音によると、このスキルを持つのは俺達だけらしい。
まあ、そりゃそうだろう。
このスキルが必要な程の力を持つ者など、俺達以外にいる筈がない。
などと俺が考えていると。
「ちょっと聞きたいんやけど、この世界の地獄は、なんで機能しとらへんのや?」
行則が千手観音に、そう声を上げた。
「とんでもない悪党が、直ぐに生まれ変わって好き勝手な人生を送っとる。こないなコトが起きるなんて、地獄はどうなっとんや?」
この行則の発言に。
「この無礼者が!」
「菩薩様に、何と言う口の利き方を!」
「口を慎め!」
「悪魔ごときが!」
五大明王が怒りの声を上げるが。
「明王に相応しい話し方をお願いしますね」
この千手観音の言葉で、ピタリと口を閉じた。
そんな明王達に頷いてから、千手観音は優しい目を行則に向ける。
「確かに貴方の言う通りです。しかし貴方の故郷である地球でも、地獄を作ったのは、かなり後の事なのです。いくら教えを説いても救いようのない人間がいる。そんな人間の為に、仕方なく作りあげたのが地獄なのです」
千手観音は、そこで小さく民息をついてから話を続ける。
「しかしこの世界は、出来てから、まだ260年足らず。まだ教えを説いたら救われるのではないか。悪人だと決めつけて地獄に落とす前に、まだやるべき事が残っているのではないか。と教えを広めている段階なのです」
「つまりまだ地獄を創る気はない、ちゅうこっちゃな」
「はい。まだ、その段階ではないと思っています」
頷く千手観音に、行則はフンと鼻を鳴らす。
「せやったらワシがしとるコトも認めん、ちゅうコトか?」
「いいえ、貴方がやっている事も、決して間違っていないと思います。だから貴方は自分の信念に従って行動すれば良いと思いますよ」
「それを聞いて、ちょっと安心したで」
ホッとする行則に、千手観音が付け加える。
「でも、どんなに前世で悪い事をした者でも、今現在、人を助ける事をしている者は見逃していただけませんか? 前世の罪を償っているのなら、あえて罰を与える必要もないでしょう?」
「……せやな。極悪人が、そないなコトするとは思えへんけど、もしエエコトしとるんやったら、その間だけは手ェ出さんと誓うで」
「ありがとうございます」
穏やかな笑みを浮かべる千手観音に、行則はビッと指を立てる。
「せやけど逆に言うたら、悪いコトしとるヤツには、ワシが地獄をみしたる。その為の道具をお願い出来ひんかな。エエコトしとる極悪人を見逃す、ちゅう約束のご褒美として」
かなり図々しい行則の言葉に、千手観音は穏やかな顔をオーディンに向ける。
「そういった願いは、私より貴方の方が得意ですよね? まあ貴方というより貴方の仲間ですけど」
「ふむ、いきなりだな」
いきなりの千手観音に話をフラれたオーディンは、苦笑するが。
「まあ良い、旧友の頼みだ。あのフェンリルを拘束した魔法の道具=グレイプニルを作りあげた小人達を呼び寄せよう」
そう答えると、バッと手を振り、数人の小人を出現させた。
「おお!」
「オーディン様!」
「お久しぶりです!」
口々に喜びの声を上げる小人達を、オーディンが手で制す。
「すまないが、再会を喜ぶのは後だ。其方たち、この者の望む道具を作る事はできるか?」
「ワシが欲しいのは……」
とオーディンに促された行則が、望みを小人達に伝えると。
「それなら簡単だ」
「オーディン様、オレ達を1度、鍛冶場に戻してください。直ぐに作りあげてみせます」
というコトなので、オーディンは小人達を1度、戻す。
そして。
「お、もう完成したようだぞ」
と、オーディンが再び呼び寄せた小人達は。
「望みの物、断罪の剣だ」
そう言って、5本の短剣を行則に差し出した。




