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   第百八十八話  よっしゃ、血ィよこせや!





「つまりアンタにゃ物理攻撃は無効ちゅうコトかいな!?」


 大声を出すモカに、傲慢が胸を張る。


「物理攻撃だけではない。魔法攻撃も無効だ」


 と、そこでモカが首を傾げる。


「別の次元に本体があるさかい、物理攻撃も魔法攻撃も無効なんやろ? そしたらアンタの攻撃かてウチ等に効果無いんとちゃう?」


 というモカの疑問に、傲慢は得意げに答える。


「我が本体は別の次元にあるが、今貴様が見ている体は、我が力によって顕現させた物理的存在なのだ。だからこの体によって、キサマ等にダメージを与えるのは可能なのだ」


 う~~ん、答える必要なんか無いのに、得意げに説明を始めたぞ。

 きっと自慢したいんだろうな。


「貴様がこの体を破壊する事は可能。しかし、この体が破壊されても我が本体はノーダメージなのだ。そして破壊されても我が力を注げば、いくらでも再生可能。10体でも100体でも再生できるのだ」


 そして傲慢は、改めてヒカルちゃんに向き直ると。


「ではかかってくるが良い。そして体力が尽きた時が、貴様の最後だ」


 そう宣言するが、次の瞬間、傲慢は。


 ボッ!


 ヒカルちゃんが放った『8神龍の吐息』により消滅した。

 しかし、傲慢は。


「無駄だ!」


 消滅した空間に同じ姿で出現し、そう叫んだ。

 さっき傲慢が言った通り、本体はノーダメージみたいだ。

 だけど、その直後。


 ボッ!


 ヒカルちゃんが『8神龍の吐息』を放ち、傲慢を消滅させる。

 でもやっぱり。


「無駄だ!」


 そう叫んで、傲慢が再生した。

 と同時に『8神龍の吐息』で再び消し飛ばす。

 けど、またしても傲慢は再生。


「無駄だと言った!」


 平然と、同じコトを言い放つ。

 そんな傲慢に、ヒカルちゃんは溜め息をつくと。


「このまま何度でも消滅させて、本当に無限に再生できるか試してもイイんですけど、それも面倒なので、もう終わりにしますね」


 そう宣言した。

 そしてスキル『武器変化』で太刀を腕から生やすと。


「いきます!」


 ブン! と太刀を振り上げた。

 傲慢は、そんなヒカルちゃんに。


「ふ、何度でも言ってやろう。無駄だ!」


 その場から1歩も動くコトなく、馬鹿にした目を向けた。

 正に傲慢の名に相応しい、尊大な態度だ。

 しかし。


「や!」


 ヒカルちゃんが太刀で斬りつけると。


「ぎゃぁあああああああああああ!」


 傲慢は、悲鳴を上げて地面を転げまわった。


 お? 偉そうだった顔が驚きで歪んでるぞ。

 さっきまでの尊大な態度との落差が大きくて、ちょっと笑える。

 とはいえ魔王最強は自分だ、という矜持からだろう。


「なぜだ!? なぜ我が本体がダメージを受けている!? 我が身に何が起こったというのだ!?」


 傲慢は顔を恐怖に歪めながらも、ヒカルちゃんを睨んで叫んだ。


「キサマ、一体我に何をした!? この体は我が力で作り上げた、操り人形のような物! その操り人形を傷つけられただけなのに、何故、我が本性がダメージを受けている!?」


 必死の形相の傲慢に、ヒカルちゃんが微笑みながら答える。


「トモキ先輩からコピーさせて貰った、スキル『神破斬』の効果です。『神破斬』はその名の通り、神すら切り捨てるスキル。たかが別の次元に隠れたくらいで無効化できるような、チンケなスキルじゃありません」

「神すら切り捨てるスキルだと!?」


 絶叫する傲慢を、ヒカルちゃんが言葉で追い詰める。


「そうです。このスキルの前ではアナタは無力な魔王でしかない。さて、敢えてここで、さっきと同じ事を聞きましょう。まだ戦いますか? それとも降伏しますか? あ、その場合、血を3滴ほど貰いますけど」


 続いてヒカルちゃんは太刀を振り上げた。

 この太刀が振り下ろされたら、間違いなく傲慢の体は両断される。

 もちろん次元の狭間にある本体ごと。

 それを傲慢も悟ったのだろう。

 暫くの間、ワナワナと体を震わせていたが。


「降伏する」


 消え入るような声を漏らすと、ガックリと地面に膝を突いた。

 と同時に周囲の風景は謁見の間に変わる。

 どうやら異空間から帰還したみたいだ。

 パンデモニウム自体が異空間にあるだろ、と言われそうだけど。


 とにかく!

 これで魔王との戦いは終わりだと理解したモカが。


「やったで!」


 満面の笑顔で右手を突き上げてる。


「これで魔王全員のステータスが手に入るで!」


 ま、ここまではカワイイ、と言えなくもないケド。


「よっしゃ、血ィよこせや!」


 鎧から剣を生やして魔王に襲い掛かかるのはやめた置いた方がイイぞ。

 どっちが悪魔か分からないから。

 とはいえ、俺だってステータスアップしたい。

 だからヒカルちゃんが。


「じゃあ血を貰いますね」


 魔王に剣を突き刺す度に、血を舐めさせてもらい。

 

 チク。


「む」


 剣で腕を刺されて、ちょっと顔をしかめた傲慢の血を舐めたトコで。


「やったで! 大幅ステータスアップや!」


 モカが大声を上げたように基礎ステータスは8京4000兆アップした。

 だから俺達のステータスは。


 ロック

 HP      10京1000兆

 ⅯP      10京1000兆

 攻撃力     21京9000兆(基礎攻撃力 19京9000兆)

 防御力     21京9000兆(基礎防御力 19京9000兆)

 装備 無限の鎧(攻撃力・防御力 2京)

 (特殊能力 万斬自在 10里刃 武具顕現

 宇宙樹の泉=30秒でHPⅯP全回復



  モカ

 HP     9京1000兆

 ⅯP     9京1000兆

 攻撃力  18京4900兆(基礎攻撃力 18京400兆)

 防御力  18京4900兆(基礎防御力 18京400兆)

 装備  極限の神鎧(攻撃力・防御力 4500兆)



 ヤマタノオロチ(転生者 ロックの従魔)

 Lv   1京5000兆

 HP   9京7000兆

 ⅯP   9京7000兆

 攻撃力 11京2000兆

 防御力 11京2000兆


 となった。


 う~~ん、さすが魔王のステータス。

 戦う前より遥かに強くなれたぜ。










2023 オオネ サクヤⒸ

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