表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

170/210

   第百六十九話  核爆弾級の地雷を踏み付けやがった





 ところで、今俺が装備している鎧のコト覚えているだろうか?

 ヒカルちゃんと知らずにヤマタノオロチと戦ったトキ。

 手持ちの武具全てを錬成融合して作りあげた、究極の武具だ。

「無限の鎧」という名前で、攻撃力も防御力も2京を誇る。


 とんでもない攻撃力と防御力だけど、更に凄いのは、その特殊能力だ。

 10000の斬撃を自由自在に操る「万斬自在」。

 刃渡り40キロの斬撃を飛ばす「10里刃」。

 錬成融合された武具を生やすコトが出来る「武具顕現」。

 HPとⅯPを毎秒5パーセント回復させる「宇宙樹の泉」。

 そして「万斬自在」も「10里斬」も「武具顕現」も攻撃力は2京。


 どんなチートだよ、と俺でもツッコみたくなる、超絶武具だ。

 その無限の鎧から「武具顕現」によって太刀を腕から生やし。


 スゥ。


「ぎゃぁあああああああああああ!」


 俺はさっき噛み付いた悪魔に、太刀を突き刺した。


 うん、さすが攻撃力2京の太刀。

 何の抵抗も無く、悪魔の体に突き刺さる。

 ってか、マジで全く抵抗を感じさせるコトなく悪魔に刺さったぞ。

 ナニこの切れ味?

 凄すぎてコワい。


 ま、それはそれとして。


「痛ぇえええええええええ!」


 騒ぐ悪魔を無視して、俺は血で濡れた太刀をモカに差し出す。


「この血を指に付けて舐めるくらいなら、出来るだろ?」

「う、うん」


 モカは恐る恐る、指に血を付けて口に入れるが。


「あれ? ロックにぃ、ウチ、全然ステータスアップしてへんよ?」


 不思議そうな目を、俺に向けてきた。


「それはな……」


 俺はモカに説明しようとするが、その前にヒカルちゃんが説明を始める。


「スキル『ステータス捕食』は、口にした相手の攻撃力を手に入れるスキルなんですけど、入手したステータス値が今のステータスに、そのまま上乗せされるワケじゃないんです」

「どーゆーコトなん?」


 首を傾げるモカに、ヒカルちゃんが悪魔を指さす。


「ワタシを例にとって説明します。今、血を舐めた悪魔の攻撃力は3万です。この攻撃力の3万が、血を舐める事によってワタシが手に入れたステータス値です。そしてステータス値の累計がワタシの攻撃力の1割に達した時、ワタシのHPとⅯPと攻撃力と防御力に、そのステータス値がプラスされるんです」

「ヒカルちゃんの攻撃力は2京5000兆やさかい、1割ゆうと2500兆ちゅうコトやな。って、2500兆貯まるまでステータスアップせぇへんの!?」


 目を丸くするモカに、ヒカルちゃんがニコリと笑う。


「そりゃそうですよ。捕食した相手のステータスを自分のモノとするチート能力なんですから、当然、それなりの『縛り』はありますよ」

「やっぱ、そないに甘い話がポンポンある筈ないか~~」


 あちゃ~、と声を歩上げるモカに、ヒカルちゃんが付け加える。


「でも相手の攻撃力値が自分のHP、ⅯP、攻撃力、防御力それぞれにプラスされるんですから効率は4倍とも言えます」

「あ、そうなん?」


 ちょっと表情が明るくなったモカに、ヒカルちゃんが真面目な顔で言う。


「そして今の話はワタシの場合。モカちゃんは人間ですから、敵の攻撃力値は、基礎ステータス全てにプラスされるんです」

「それってHP・ⅯP・力・耐久力・魔力・魔耐力・知性・速さのステータス全部にプラスされる、ちゅうコト?」

「それだけじゃありません。運のステータスにもプラスされます」


 付け加えたヒカルちゃんに、モカは目を丸くする。


「運のステータスも!? 運のステータスを上げるんは至難のワザやてウチ、聞いたんやけど!?」

「はい。だからチートスキルなんです」


 涼しい顔で言い切るヒカルちゃんに、モカがふぇ~~、とため息をつく。


「エラいスキルを手に入れたモンやで」


 そう言ってから、モカがキラ~~ンと目を光らせる。


「ちゅうコトは、倒した後で血を舐めたら経験値とステータス値、両方稼げるちゅうコトやな!」

『ひぃっ!』


 さっそく止めを刺そうとするモカに、悪魔達が悲鳴を上げるが。


「いや、止めを刺す前に、まずはここにいる全ての悪魔の血を舐めてステータス値を貯めよう」


 とりあえず俺はモカを止める。

 まだコイツ等には使い道があるんだ。


「とりあえずコイツはあっちに投げて置いて」

「うぎゃ!」


 俺は今、突き刺して血を舐めた悪魔をポンと放り出すと。


 すぅ。


「あぎゃぁああああ!」


 近くの悪魔に太刀を突き刺した。

 そしてモカ、ヒカルちゃんと一緒に血を舐めると。


「ふぎゃ!」


 また悪魔を放り出し。


 すぅ。


「いでぇええええ!」


 別の悪魔に太刀を突き刺し血を舐めて放り出し、また次の悪魔に……。

 を繰り返して、全ての悪魔に血を舐めたんだけど。


「って、たった7300万しか貯まっとらへんやん」


 モカは不満げだ。


「ウチの攻撃力は1京2900兆やさかい、1割は1290兆や。この調子やとスキルの効果を実感できるまで何年もかかってまうで」


 そんなモカに、ヒカルちゃんがニコッとほほ笑む。


「まあ、塵も積もれば山となる、といいますし。それにパンデモニウムには、もっともっと強い悪魔が居る筈です。本番はこれからですよ。あ、誤解してるみたいですけど、モカちゃんの場合、必要な累計ステータスは基礎攻撃力の1割です。だから6400兆の1割、640兆溜まったらステータスがアップしますよ」

「そうなん? ほなら、それを楽しみに先に進むしかあらへんな」

「はい」


 などとモカとヒカルちゃんが話してると。


「ひゃははははははは!」


 1番最初に太刀を突き刺した悪魔が笑い声を上げた。


「なんや? ついに正気を失ったんかいな?」


 石コロを見る目を向けるモカに、悪魔が鬼気迫る笑みを浮かべる。


「オレ達はパンデモニウムに住まう事すら許されない、最弱の使役悪魔! 悪魔と認められず、魔族と呼ばれる事すらある存在だ! その下級悪魔ですらないオレ達を倒したくらいで調子に乗るなよ!」

「いや、アンタ等程度を倒した程度で、どないしたら調子に乗れんねん」


 気にするそぶりも無いモカだったが。


「ああん!? 大物ぶるんじゃねぇぞぉ! この、どっちが背中だか分からん胸無しが!」

「あぁ(怒)?」


「胸無し」の一言で、モカから殺気が吹き上がった。


 今さらだけど、モカはスリムな体形をしている。

 贅肉のないアスリート体形で、足なんかビックリするほど長い。

 腰はキュッと引き締まってるし、小ぶりなお尻も実に可愛らしいと思う。

 でも15歳だけあって、胸はちょっと控えめ……かも?







 そういやモカは、不機嫌そうな顔で。


「なあ、ロックにぃ。ロックにぃも、あないな胸が好きなん?」


 と、ボン・キュ・ボン美女を指さして聞いてきたコトがある。


「いや、俺はモカみたいなスタイルの方が好きだけど」


 と俺が言葉を選んで答えると。


「へへ」


 急に機嫌が良くなったっけ。

 それ以来、俺は胸の大きさに関する言葉を封印してたケド……。

 この悪魔、核爆弾級の地雷を踏み付けやがった。












2023 オオネ サクヤⒸ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ