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   第百三十二話 面白そうなモン、全部持って行こ!






 ステータスは限界突破Lv3の限界値を超えた分はカットされる。

 でも装備した武具の攻撃力と防御力は、そのまま反映される。

 だから俺とモカの攻撃力と防御力は、とんでもない数値になった。


 普通なら無双状態なんだけど、残念ながらココはゾンビが支配する竜宮城。

 そしてゾンビは、脳を銃で撃ち抜かない限り倒せない。


 なのでさっさとクリアして、超絶アップしたステータスを楽しもう。

 と言いたいトコだけど、その前にやっておくコトが。


「モカ。今の俺達の攻撃力なら他のケースも破壊できる。だから気に入ったモノは全部、手に入れておこうぜ」

「そういやそうやな。ほなら面白そうなモン、全部持って行こ!」


 というコトで、モカは30ほどの武具をマジックバッグに収納し。


「もうイイのか、モカ?」

「うん、ウチはコレで十分や。なんせ武器と鎧の予備に、予備の予備に、予備の予備の予備まで手に入れたさかい」

「なら残りは俺が貰うぞ」


 一方俺は、残った武具全部をマジックバッグに放り込んだのだった。


「よし。これで竜宮城でやるコトは終了だ。後はラスボスを倒して限界突破Lv4を手に入れるダケだな。というコトでモカ。これから最短ルートでラスボスの間に向かう。それでイイか?」

「もちろんや! ちゅうか、いくらスキルのお陰で地上と同じに動けても、やっぱ水の中ちゅうんは落ち着かへん。早く陸に戻りたいわ」

「そうか。ならショートカットだ」


 俺はエントランスに戻り、床に敷かれた絨毯の中央を四角く切り裂く。

 そして切り裂いた絨毯を取り去ると。


「隠し扉かいな」


 モカが呟いたように、扉が現れた。


「じゃあモカ。ラスボスの間に直行するぞ。覚悟はイイか?」

「覚悟はエエけど、やっぱラスボスも銃で頭を撃ち抜かへんと倒せへんの?」

「もちろんだ。なにしろゾンビだからな」

「はぁ~~、せっかく超強力な武器が手に入ったちゅうのに、銃しか効かへんのかいな、ホンマ残念やわ~~」


 モカは大きなため息をつくと、俺に聞いてくる。


「で、ロックにぃ。銃は何を装備しといたらエエの?」

「そうだな。ⅯP7かFNファイブセブンか、どっちか好きな方でイイぞ。なにしろ今回の戦いは、ビックリする程あっけなく終わるからな」

「あっけなく? ラスボスやのに?」

「ああ。だから好きな武器を使ったらイイ」

「よう分からへんけど、そんならFNファイブセブンにしとくわ」


 モカがFNファイブセブンを手にしたトコで。


「じゃあラスボスの間に直行するぞ」

「うん!」


 俺は隠し扉を開き、その先に描かれた転移の魔法陣に足を踏み入れる。

 その直後。


「ナンや、ここ。本だらけや」


 モカが呟いたように、俺達は図書館のような空間にいた。


 というか、図書館そのもの。

 俺達の目の前には、貸出手続きのカウンター。

 背後にはギッシリと本が収めた書架がズラリと並んでいる。

 広さは100メートル四方。

 俺がそうプログラムした。


 そして、貸出手続きのカウンターに座っているのは。


「龍人?」


 モカが言ったように龍人だ。

 そのステータスは。


 海王龍人(魔石=500億)

 レベル    1000億

 経験値     800億

 攻撃力    1000億

 防御力     900億


 カッパの10倍以上の強さだな。


「なあロックにぃ。ラスボスなんやさかい、コイツ強いんやろ?」

「ああ。攻撃力は1000億で、防御力は900億だ」

「カッパの20倍やん! あっけなく倒せる敵やないやん!」


 モカが大声を出したトコで、海王龍人は俺達をジロリと睨むと。


「図書室で騒ぐな」


 低い声で、そう言った。

 が、その直後、海王龍人は意外なコトを言い出す。


「今なら見逃してやる。さっさと図書室から出ていけ」


 普通、ラスボスの間からは逃げられない。

 しかし唯一、竜宮城のラスボスだけは撤退を勧めてくるのだ。


 ちなみに戦わない、という選択肢を提案してくるラスボスは他にもいる。

 部下になったら世界の半分をやる、とか色々なコトを言い出すヤツもいる。

 でも、それは罠。

「うん」と答えると同時にバッドエンドを迎えるコトになる。


 でも海王龍人の言葉は嘘じゃない。

 無事に竜宮城を後にするコトが可能だ。

 しかし竜宮城に挑んだ最大の理由は限界突破Lv4を手に入れるコト。

 そして限界突破Lv4は、海王龍人を倒さないと手に入らない。


 もちろんステータスが低かったら、何度でもやり直しただろう。

 ステータスをカンストさせる為に。

 だけど俺とモカは、既にステータスをカンストさせてる。

 というか、限界突破Lv3のせいでステータスを活かせない状態だ。


 つまり限界突破Lv4を手に入れないで撤退する、なんて選択肢は無い。

 だからもちろん俺は、こう答える。


「イヤだな。お前を倒してスキル『限界突破Lv4』を手に入れてみせる」

「そうか、愚か者め。せっかく無事に帰れるチャンスを無にした事を後悔しながら死ぬが良い」


 そう言った海王龍人に、モカがFNファイブセブンを突き付ける。


「死ぬんはオマエや!」


 叫ぶと同時にモカは。


 パンパンパンパンパンパンパン!


 FNファイブセブンを連射した。

 が、その銃弾は。


 コココココココン。


 海王龍人の眉間に当たってから、小さな音と共に地面に落下した。


「ふむ。そんなモノで、竜宮城のラスボスを倒せるとでも思ってたのか?」


 海王龍人の言葉に、モカがガバッと体ごと俺に振り向く。


「ロックにぃ! あっけなく倒せるんやなかったん!? 話しがちゃうやん!」


 モカが焦った声を上げたトコで、海王龍人が静かに告げる。


「しかし、これ以上発砲されて本が傷んでも困る。なのでお前達には静かなる死を送るとしよう」


 そして海王龍人は、四角い箱を手の平に出現させた。


 色は艶やかな黒で、大きさはノートパソコンくらい。


「キレイな箱やけど、そないなモンでナニをする気や?」


 モカの疑問に、海王龍人がニヤリと笑う。


「玉手箱、という言葉を耳にした事はないか?」

「玉手箱? 開けたら煙が出て、浦島太郎が一瞬で爺になった、ちゅう、あの玉手箱のコトかいな」

「ほう、良く知っているではないか。なら、この玉手箱を投げつけられたらどうなるかも想像できよう? 一瞬で年寄りになるがよい」


 海王龍人はそう言うと、玉手箱を投げつけてきた。









2023 オオネ サクヤⒸ

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