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   第百三十話 こないなったらブチ壊す!


 




 俺達に猛スピードで襲い掛かってきたウニのステータスはこんな感じ。


 剣山ウニ(小)

 レベル      3億

 経験値      1億

 攻撃力      2億

 防御力      2億


(小)とあるが、それでも直径3メートルもある。

 しかも、その数は100匹。

 けど、1番厄介なのは、何処までも追いかけて来るコト。


 しかも剣山ウニ(小)が出現した時点で全ての扉がロックされる。

 エントランスの左右の扉も、館の出入口も、だ。

 つまりココで逃げ出しても、あっという間に追い詰められてしまう。


 そして四方八方から、棘だらけの体で体当たりされる。

 最初のうちは躱したり、あるいは防御できるかもしれない。

 でも敵はゾンビだから疲れ知らず。

 いつまでも同じ速度で体当たりを仕掛けて来る。

 最後には防御しきれず、急所に棘を受けてゲームオーバーだ。


 なので正しい対処法は、この場で剣山ウニを全滅させるコト。

 でもⅯ4カービンじゃ、体当たりされる前に倒すコトなど不可能。

 ⅯP7やバレットでも無理だろう。

 つまりノーマルルートで手に入る武器じゃ、この場面を乗り切れない。


 じゃあ、どうやったらこの剣山ウニ100匹を倒せるのか?

 答えは、カッパを2匹倒して手に入るボーナス武器を手に入れるコト。

 つまりカールグスタフとミニガンなら100の剣山ウニを殲滅できる。 


 コレがさっき、モカに説明したコト。

 後は実行するダケだ。

 というコトで。


 ドッカァン! ドッカァン! ドッカァン!


 モカがカールグスタフを撃ちまくって剣山ウニを撃ち砕いていく。

 でも運よく仲間が盾となって砕けなかった剣山ウニもいる。

 そんな剣山ウニを。


 ブォォォォォォォォォォォォォォォ!


 俺がミニガンでなぎ倒す。

 カールグスタフが発射する1100の鉄の矢。

 ミニガンが発射する毎分6000発の弾幕。

 この2つにより、剣山ウニは面白いほど簡単に砕け散っていく。

 そして。


 ドッカァン!


 ブォォォォォォォォォォォォォォォ!


 最後の1匹を撃ち砕いたトコで。


「やったでロックにぃ!」

「ああモカ、お疲れさん」


 パァン!


 モカと俺は笑顔でハイタッチ。

 そして2人同時に、剣山ウニが湧き出てきた扉に視線を送る。


「ロックにぃ。あの扉の先で、ナニがウチを待っとるんやろ? こないにエグい初見殺しの罠が仕掛けられとるんやから、凄いお宝なんやろな。なんやウチ、ドキドキしてきたわ」

「ああ。凄いモンが手に入るぞ。さあ見に行こう」

「うん!」


 俺は、今にも駈け出しそうなモカと共に剣山ウニが出てきた扉に向かう。

 そして扉の先を目にしてモカが呟く。


「ここは……武器庫? それとも博物館?」


 モカの感想も的外れじゃない。

 ここは限界突破Lv4を取得した者に相応しい武具の保管庫だ。


 天界の業物、天界の大業物、天界の銘刀。

 武神の愛刀、鬼神の愛刀、剣神の愛刀、戦神の愛刀、如意棒。

 隕石砕きの弓、山脈斬りの太刀、山脈貫通の槍、山脈砕きの戦槌。

 武神の鎧、鬼神の鎧、剣神の鎧、闘神の鎧、戦神の鎧。

 他にも武神・鬼神・剣神・闘神・戦神の、兜や小手や脛当てなど。

 物凄い数の武具が、透明なケースに入れられて展示されている。


 そんなケースの1つに、モカは駆け寄ると息を呑む。


「……ちょっと見たダケでも、とんでもない武器やというコトがヒシヒシと伝わってくるで。ここにあるモン全部、ホンマに凄い武器やで」


 でも直ぐにモカは、目をキラリと光らせた。


「ロックにぃ! このケース、攻撃力や防御力も一緒に表示されとる! となったら1番強力な武器を手に入れたるで!」


 そしてモカは、ケースを開けようとするが。


「アレ? 開かへん」。


 そう言うと、ケースを調べ始める


「う~~ん、鍵でもかかっとるんかいな? それとも開ける為のスイッチでもあるんかいな? それとも……」


 が、結局分からなかったらしい。


「んぎぎぎぎぎぎぎ」


 モカは力ずくでケースを開けてコトにしたらしい。

 でも顔を真っ赤にして力むコト3分。


「ち! こないなったらブチ壊す!」


 どれほど力を込めても開かない、と悟ったモカはケースを蹴りまくる。


「せい! そら! おら! てい! や! た! りゃ!」


 しかしケースはビクともしない。

 そして数えきれないほどケースを蹴りまくった後。


「あかん……こら無理や……」


 モカは力尽きて、ペタンと床に座り込んだ。


「鮫王闘鬼の鎧を装備しとるんやさかい、ウチの攻撃力は400億を超えとるハズやのにビクともせぇへんって、このケースどないなっとんねん……」


 恨めし気な目でボヤくモカに、俺は教えてやる。


「このケースは神の力じゃないと破壊できないようになってるんだ」

「神の力?」


 首を傾げるモカに、俺はケースの中身を指さす。


「限界突破Lv3程度のダンジョンで手に入る武器じゃ壊せないってコトさ。つまりこのケースを壊せるのは、このケースの中に入ってる武器くらいのもんだ」

「なるほどなぁ、この武器を手に入れたかったら、この武器と同等の武器でケースを破壊せなアカンと……ってケースの中身、渡す気ないんかい!」


 暴れ出す寸前のモカの頭に、俺はポンと手を乗せる。


「だから破壊以外の方法で手に入れるんだ」

「壊さんと? どないして?」

「神の力じゃないと壊せないのは間違いない。でも神の力なら、怖さなくてもケースを開けるコトが出来るんだ」

「その神に力がないんやさかい、困っとるんやけど」


 モカの答えに俺はため息をつく。


「はぁ~~。モカ、忘れたのか? モカはサタンの力を手に入れてるんだぞ」

「あ!!」


 大声を上げるモカに俺は頷く。


「そうだ。限界突破Lv4が手に入るのは竜宮城だけじゃない。なのに敢えて竜宮城を選んだのは、俺達ならこのケースを開けられるからだ。俺はベルフェゴールの力で。モカはサタンの力で」

「ちゅうコトは、神の武器が手に入る、ちゅうコト?」

「そうだ」


 俺が答えると同時に。


「いやったぁ――!!!」


 モカは文字通り、飛び上がって喜んだのだった。










2023 オオネ サクヤⒸ

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