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   第十三話  オマエ金を持ってるのか?





「ありがとうございます」


 冒険者カードを受け取った俺に、グラッグさんが。


「ところでダンとモーリのヤツ、いきなり旅立ってしまったが……オマエ金を持ってるのか?」


 ちょっと心配そうな顔で聞いてきた。

 へえ、細かな事なんか気にしないような外見なのに、意外と気配りの人だ。

 でも大丈夫。


「今までボクが倒したモンスターの素材は全部マジックバッグに収納してますから暫く生活に困らないと思います」


 俺はそう答えると、グラッグさんに尋ねる。


「これってギルドで買い取ってもらえるんですよね?」


 この質問に、グラッグさんが胸をドンと叩く。


「おう。京の都ギルドの財布がデカいからな。5億や10億の金なら、即金で支払えるぞ。どんなとんでもないモンだろうが安心して出したらいい」


 ラノベならここで、とんでもなくレアな素材を出すトコなんだけど。


「いえ、いくら何でも、そこまで凄い素材は持ってませんよ」


 俺は苦笑すると、手持ちの素材を読み上げていく。


 スライムの核が357個。       

 ゴブリンの魔石が126個。      

 ホブゴブリンの魔石が207個。    

 ゴブリンメイジの魔石が93個。    

 ゴブリンシャーマンの魔石が31個。   

 ヴァンパイアバットのキバと爪が、それぞれ482個。


 これは俺が倒したモンスターから、いつの間にか父さんが集めてくれてた。


 ワイルドボアが398匹。    

 アーマーバイソンが344匹。  

 オークが702匹。       

 オーガが517匹。       


 これ等は、そのまま売れると父さんから聞いたから、丸ごとだ。


 ロックゴーレムの魔核が231個。  

 アイアンゴーレムの魔核が116個。  

 ミスリルゴーレムの魔核が173個。 


 魔核は父さんに教えてもらいながら、俺が採集した。

 うん、魔核採取はリアルじゃやったコトないから勉強になった。


 グレートベアが205匹。   

 カイザーベアが322匹。   

 3つ首ヒドラが129匹。   

 4つ首ヒドラが23匹。    

 ワイバーンが7匹。       


 これは父さんと一緒に倒した獲物だ。    

 ま、最後には、俺1人で倒せるようになったが。


「というコトで、これで全部です」


 手持ちの素材を説明し終わった俺に。


「モンスターのレベルはそこそこだが、数がとんでも無ぇじゃねぇか!」


 グラッグさんは、そう叫んだ。


「おい。今コイツが言った素材の買取価格はいくらだ?」


 そしてグラッグさんが、受付の女の人に震える声でそう聞くと。


「スライムの核が500ゴルド。ゴブリンの魔石が500ゴルド。ホブゴブリンの魔石が1000ゴルド。ゴブリンメイジの魔核が1300ゴルド。ゴブリンシャーマンの魔石が1700ゴルド。ヴァンパイアバットのキバが500、爪が300ゴルド」


 受付のキレイな女の人が、スラスラと答えていく。

 ここまではグラッグさんも笑っていたが。


「ワイルドボアが50万。アーマーバイソンが100万。オークが80万。オーガが130万」


 このあたりから、グラッグさんの額に汗がにじみ出し。


「ロックゴーレムの魔核が40万。アイアンゴーレムの魔核が80万。ミスリルゴーレムの魔核が160万」


 このあたりから顔色が悪くなり出し。


「グレートベアが90万。カイザーベアが150万。3つ首ヒドラが200万。4つ首ヒドラが500万。ワイバーンが800万です」


 受付の女の人が言い終わると、グラッグさんの顔色は真っ青になっていた。

 そしてグラッグさんは。


「つ、つまり全部を買いとると?」


 震える声で、受付の女の人に尋ね。


「33億3586万4500ゴルドになります」


 受付の女の人が、平然とそう答えると。


「33億超えだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 ギルドの建物がビリビリと振動する程の絶叫を上げた。

 が、そこに受付の女の人の冷たい声が響き渡る。


「ギルドマスター。冒険者の個人情報を、本人の許可なく口にするのは冒険者ギルド規定違反です」


 受付の女の人に睨みつけられて、グラッグさんはハッと我に返ると。


「す、すまなかったなロック。ギルドマスターにあるまじき失態だ」


 俺に頭を下げてきた。


「いえ、気にしてませんよ、大した金額じゃないし」


 俺が笑顔で答えると。


「おいおい33億が大した金じゃないって、前世でどんだけ凄いプレイヤーだったんだよ」


 グラッグさんは苦笑した。


 そういや1ゴルド=1円の設定だから、今回の収入は33億円超え。

 俺は今、リアルの世界に生きているんだから、確かに凄い金額だ。

 と俺が納得していると。


「ところでロック。さっき偉そうに言った手前、凄く言いにくいんだが、とても現金じゃ払いきれないんだ」


 グラッグさんが、そう切り出してきた。


「だからギルドに預金してもらえないか? 殆どの店で冒険者カード払いが可能だから」

「へえ、そんなコト出来るんですか」


 前世でのカードと同じか。

 でも俺、そんな事プログラムしてないぞ。


「ああ。キャッシュレスってのは便利だからな。この世界でも普及してんだ」


 そうだよね。

 前世で便利だったモノは、取り入れるよね。

 実際、リアルで33億なんて持ち歩ける筈がない。

 あ、マジックバッグがあるから大丈夫か。

 でもグラッグさんを困らせる気はないから。


「というコトで、どうする?」


 そう聞いてくるグラッグさんに、俺は。


「そうですね。1000万ゴルドを現金で貰って、後は冒険者カードにチャージしておきます」


 こう答える事にした。


「たすかる」


 俺の答えを聞くなりグラッグさんは、ホッとした顔になると。


「じゃあ素材を買い取ろう。付いてきてくれ」


 俺を素材買取り用の倉庫に案内した。

 見た目はそれほど大きくないが、中はかなり広い。

 マジックバッグの同じだ。

 そして全ての素材を倉庫に移し終えると俺は。


「じゃあ冒険者カードに33億2586万4500ゴルドを預金、というコトで」


 冒険者カードにチャージしてもらい。


「そして1000万ゴルドは現金で」


 1000枚の金貨をマジックバッグに収納したのだった








2023 オオネ サクヤⒸ

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