第百二十九話 アンダスタン?
「ちゅうコトは、次の目標は『神威魔力強化』カンストやな!」
目をキラキラさせるモカに、俺は首を横に振る。
「いや『神威知性強化』を先に手に入れる。そしたら魔法を使うだけで『神威魔力強化』と『神威知性強化』の両方レベルが上がる」
「なるほどなぁ。無駄な戦いは極力避けるワケやな」
とモカが納得してトコで、次の扉を開く。
今回の敵は。
オリハルコンクラブ
レベル 50億
経験値 20億
攻撃力 10億
防御力 100億
やたらと防御力が高い、ワゴン車サイズのカニだ。
「まずは斬って斬って斬りまくって『神威斬撃強化』をカンストさせるぞ」
俺はそう言うと、オリハルコンクラブの足を全部斬り飛ばした。
さすが攻撃力600億の鮫王大通連村雨。
オリハルコンの甲羅が豆腐のようだ。
なんて考えてると。
《『神威斬撃強化』がLv2になりました》
《『神威斬撃強化』がLv3になりました》
《『神威斬撃強化』がLv4になりました》
《『神威斬撃強化』がLv5になりました》
《『神威斬撃強化』がLv6になりました》
《『神威斬撃強化』がLv7になりました》
《『神威斬撃強化』がLv8になりました》
《『神威斬撃強化』がLv9になりました》
いきなり『神威斬撃強化』が8もLvアップした。
どうやら足を8本斬ったから、8つアップしたみたいだ。
よし、コレなら思ったより早くカンストしそうだな。
と、そこで。
「そういやそうやった。『神威斬撃強化』を手に入れとったんや!」
モカがそう言いながら攻撃に加わってきた。
足を全部失ったから、オリハルコンクラブはもう動けない。
だからモカは落ち着いて浅い斬撃を繰り出す。
一方俺は、足が再生しかけたら、また斬り飛ばす、を繰り返す。
この繰り返しにより俺とモカは、直ぐに『神威斬撃強化』をカンストさせた。
後はミニガンをマジックバッグから取り出し掃射して止めを刺す。
そして部屋の奥の宝箱から『神威知性強化』を取得すると。
「よし。これで魔法攻撃したら『神威魔力強化』と『神威知性強化』をLvアップさせるコトが出来るぞ」
というコトで次の扉の前に立った。
が、そこでモカが俺に聞いてくる。
「そういやロックにぃ。今気づいたんやけど、ウチもロックにぃも攻撃魔法なんぞ取得しとらへんけど、どないするん? 呪符は作るんにⅯP使うけど、魔法攻撃やあらへんし」
「ああ、生活魔法の清潔を使うんだ。清潔は僅かだけどゾンビにダメージを与えるから」
「そうなん!? いや、そう言われたらダメージ与えるんは当然かも?」
モカが首を傾げてるけど。
「とにかく扉を開けると同時に、モカはカールグスタフを発射してくれ。そして動けなくなったゾンビを『清潔』で攻撃する。『神威魔法強化』と『神威知性強化』がカンストしたらミニガンとカールグスタフで止めを刺す。アンダスタン?」
「イエッサー!」
というコトでミッション開始。
今度の扉の先にいたのは。
ギガントアリゲーター
レベル 50億
経験値 20億
攻撃力 50億
防御力 50億
20メートルもある巨大なワニだ。
え? ナンで海にワニがいるんだって?
そりゃワニは川だけに生息するワケじゃないからだ。
実際、海でワニに襲われた、という報告がある。
だからダンジョン竜宮城にワニがいても不思議じゃない、ってワケだ。
その攻撃手段は本物のワニと同じで、噛み付きと尻尾による打撃。
なんだけど、まともに戦う気なんてない。
ドッカァン!
モカがカールグスタフを発射。
穴だらけになったギガントアリゲーターに清潔の魔法をかけまくる。
そして『神威魔力強化』と『神威知性強化』がカンストしたトコで。
ドッカァン!
モカが2発目を発射、ギガントアリゲーターに止めを刺した。
そしてココで手に入ったのは『神威ⅯP強化』
これで『神威ステータス強化』スキルを全部手に入れたコトになる。
ただ、1つ問題が。
「そういやロックにぃ。『神威ⅯP強化』の他に『神威HP強化』も手に入れとるけど、どうやってカンストさせたらエエん?」
モカが行ったように、この2つのスキルは戦いじゃLvアップしにくい。
でも方法はある。
だから今は。
「それは後で教えるから、とにかく先に進もう」
エントランスに戻るコトにした。
そしてエントランス正面の階段を上がると、そこも広い通路になっている。
幅は10メートルほどで、奥行きは80メートルほど。
天井の高さも10メートルほどだ。
その正面に見えるのは扉というより門という感じの大扉。
通路と同じく、縦・横10メートルのサイズだ。
「長い廊下やな。この屋敷、こないに広いと逆に不便とちゃうんやろか?」
そう言いながら階段の最後に1段に足をかけたモカに、俺は忠告する。
「モカ。カールグスタフを構えておいた方がイイぞ」
「うぇ? ちゅうコトはいきなりタイプの罠?」
「ああ、教えておこうかな……」
というコトで。
俺はモカに、この階段を上がり切った瞬間、何が起こるか説明した。
「うわ~~、エゲつな~~。それを知らんと階段を上がって生き残れたモン、おるんやろか? ちゅうかウチやったら間違いなくアウトな件やで」
モカは小さく溜め息をついてから。カールグスタフを構え直した。
「よっしゃ、覚悟を決めたで! ほならロックにぃ。3,2,1で最後の階段を上がるけどエエかな?」
俺にチラリと視線を向けるモカに俺は答える。
「いつでもイイぞ」
そしてミニガンを構えた俺に、モカはコクンと頷くと。
「さあ、かかってきぃや!」
最後の1段を上り切った。
その瞬間。
バァン!
通路の先の巨大扉が開き。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!
扉の向こうから、無数のウニが飛び出してきた。
2023 オオネ サクヤⒸ