第百二十七話 ウチ、2つともカンストしたで!
「よっ! ほっ! そら!」
「や! た! えい!」
俺とモカは2人がかりでカッパを攻撃する。
そして攻撃がヒットする度に。
『神威拳撃強化がLv2になりました』
『神威拳撃強化がLv3になりました』
『神威拳撃強化がLv4になりました』
『神威拳撃強化が……』
『神威蹴撃強化がLv2になりました』
『神威蹴撃強化がLv3になりました』
『神威蹴撃強化がLv4になりました』
『神威蹴撃強化が……』
俺の脳内に、スキルレベルアップのアナウンスが響く。
たぶん、というか間違いなくモカの脳内にも響いてるだろう。
しかし、さすがレベル差99億以上。
ヒットするだけでスキルレベルがガンガン上がる。
これが普通のモンスターだったら、ここまで上手くいかない。
数回攻撃したら倒してしまってたろう。
そうなったら経験値を取得して俺達もレベルアップ。
結果、スキルレベルをアップさせるスピードが鈍ってしまう。
でもカッパは高位のゾンビ。
脳を銃で撃ち抜かない限り、絶対に死なない。
つまり何度でも攻撃出来る=スキルレベル上げ放題。
このまま神威強化スキルがカンストするまで殴って蹴ってやるぜ!
というコトでカッパを延々と攻撃していると。
『神威拳撃強化がLv99になりました。これ以上Lvは上がりません』
『神威蹴撃強化がLv99になりました。これ以上Lvは上がりません』
よし、ついにカンストさせてやったぜ!
というコトでモカに視線を向けると。
「ロックにぃ! ウチ、2つともカンストしたで!」
俺に向かってグッと親指を立てた。
よし、ならもうコイツに用はない。
と言いたいトコだけど。
「モカ。ちょっと見ててくれ」
俺はそう言うと、カッパの体をガシッと捕まえた。
ちなみに、カッパは相撲が好き、という言い伝えがある
だから竜宮城のカッパも相撲好き、とプログラムした。
つまりカッパは相撲で挑戦されると相撲で受けて立つ。
というコトで、俺がカッパを投げようとグッと力を込めると。
「クェ!」
カッパも力を込めて、俺を投げようとする。
それを全力で耐えると。
『神威力強化がLv2になりました』
「神威力強化がLv3になりました」
スキル『神威力強化』のレベルがドンドン上がっていく。
もし限界突破Lv4を手に入れてたら俺の力もドンドン上がったハズ。
でも俺は限界突破Lv3を手に入れたダケ。
つまり力はカンスト値からアップしない。
だから『神威力強化Lv』がアップしても力比べは楽にならない。
……楽にはならないけど、カッパとのレベル差は大きいから。
『神威力強化がLv4になりました』
『神威力強化がLv5になりました』
『神威力強化がLv……』
こうして力比べをしてるダケでバンバンLvが上がっていく。
そして。
『神威力強化がLv99になりました。これ以上Lvは上がりません』
そう脳内にアナウンスが響いたトコで。
「モカ、交代だ」
俺はモカにカッパと相撲を取らせる。
「よっしゃ、今度はウチが『神威力強化』をカンストさせたる!」
俺が何をしてたのか即座に理解したモカがカッパに組み付く。
で、モカが『神威力強化』をカンストさせたトコで。
「モカ、交代だ」
俺はモカの入れ替わり、今度は防御態勢を固める。
そして俺に相撲を取る気がないと分かった瞬間。
「クェ! クェ! クククェ!」
カッパが無数の攻撃を打ち込んで来た。
しかし防御に専念している以上、急所に貰うハズもない。
というコトで、ひたすら攻撃を受け続けていると。
《『神威耐久力強化』がLv99になりました。これ以上LⅤは上がりません》
脳内でアナウンスが響いた。
よし、『神威耐久力強化』がカンストしたぞ。
さっそくモカと交代。
そしてモカも『神威耐久力強化』をカンストさせたトコで。
「モカ。1回でイイからカッパを斬っておいてくれ」
「了解や」
ザシュ!
とモカが鮫王大通連でカッパを斬りつけたトコで。
パン!
俺はカッパの頭をFNファイブセブンで撃ち抜いた。
そしてカッパが消滅した後にはスクロールが2つ。
もちろん『神威斬撃強化』のスクロールだ。
「やったで!」
大喜びのモカと共に、俺も『神威斬撃強化』を取得する。
「よっしゃ! じゃあロックにぃ、早くカッパと再戦して神威斬撃強化もカンストさせよ!」
とやる気満々のモカに、俺はカッパが消滅した場所を指さす。
「その前にアレを回収しないとな」
「あ、魔石のコト、忘れとったわ。50億の価値があるんやさかい、しっかり回収しとかんと」
さっそく魔石を披露モカに、俺は首を横に振ってみせる。
「いや、俺が言ってるのはソレじゃない。あと5分ほど我慢しててくれ」
そう。
実はカッパを倒さなくても竜宮城はクリアできる。
それを敢えてカッパと戦ったのは『神威強化』スキルが手に入るから。
そしてカッパと戦うコトにより、手に入れたスキルをカンストできるから。
……ダケじゃない。
2匹目のカッパを倒すとボーナスアイテムが手に入るからだ。
ちなみに10分後というのも罠の1つ。
殆どの者は、カッパを倒した後、さっさと立ち去って気付かないハズだ。
我ながら意地悪な罠だぜ。
おっと、話しを戻そう。
そのボーナスアイテムは。
「あ。なんや宝箱が出現した」
カッパを倒して10分後に出現する宝箱に入ってる。
「さ~~てと、ナニが入っとるんかな~~」
モカは罠の有無を確認してから宝箱を開くが。
「ナンやコレ? レンコンの化けモン?」
宝箱の中身を目にして顔をしかめた。
2023 オオネ サクヤⒸ




