第百十話 3億ぅぅぅぅぅぅ!!?
カメに乗って竜宮城に到着すると同時に乙姫に。
「限界突破Lv4を手に入れに来た」
と言うと、広間を埋め尽くす魚人がゾンビと化して襲い掛かってきた。
ついでに言うと魚人ゾンビは疾走型ゾンビ。
ラクーンシティーのゾンビと違って、全力疾走で襲い掛かってくる。
そんなゾンビの群れと戦う事になったモカは。
「どひぃいいいい!」
ちょっと愉快な悲鳴を上げたけど。
タンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタン!
アライグマシティーの経験は無駄じゃなかったらしい。
マシンガン並みの発射速度で魚人ゾンビの頭を撃ち抜いていった。
とはいえゾンビの数は、広間を埋め尽くすほど。
弾倉1つ撃ち尽くしたくらいじゃ、減ったように見えない。
ちなみに今、俺とモカは交代でゾンビを撃ち倒している。
モカは弾を撃ち尽くすと。
「リロード!」
そう叫ぶから、俺は弾倉を交換するモカの前に出て。
タンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタン!
迫りくる魚人ゾンビを撃ち倒していく。
モカは、その間に弾倉を交換して戦いに備える。
そして俺が全弾撃ち尽くして。
「リロード!」
と叫ぶと、モカは俺と入れ替わって魚人ゾンビ迎撃開始。
俺はその間に弾倉を交換して、またモカの「リロード!」に備える。
もちろん、普通の人間に出来るコトじゃない。
速さ99999999の俺とモカだから可能な戦法だ。
こうして俺もモカも、22の弾倉を撃ち尽くしたトコで。
「はぁ~~、やっと全部倒したわ」
モカが深~~い溜め息をついた。
そこでモカは、今になって気付いたらしい。
「ああああああああ! よう考えたら大通連の千斬飛刃を使うとったら楽勝やったんちゃうん!?」
そう叫ぶと、マジックバッグから10倍強化大通連を取り出した。
「この大通連を振るっとったら、数秒で全滅出来たんや! ナンでこないに簡単なコトに気が付かなんだんやろ~~」
と頭を抱えるモカに、俺は一言。
「大通連で戦ってたら、数秒で魚人ゾンビに食われてたぞ」
「へ? な、なんでなん?」
ギョッとするモカに、俺は広間の一画を指さす。
説明の為に、1匹だけ残しておいた魚人ゾンビだ。
「じゃあモカ。あのゾンビを大通連で倒してみるんだ」
「そりゃ」
俺が言う通り、モカが飛刃を放つと。
ザン!
魚人ゾンビの首が切断されて宙に舞う。
「ほら、千斬飛刃やったら楽勝やんか」
そう言うモカの目の前で。
がし。
魚人の体が、落下してくる自分の頭をキャッチ。
頭を首に戻すと、再びこっちに向かって駆けだす。
「な!? そんならこうや!」
モカは驚きながらも、10の飛刃を放って魚人ゾンビをバラバラにするが。
「どないなっとんねん!」
魚人ゾンビは、あっという間に元通りになって襲い掛かって来る。
そこで。
タン!
俺が頭を打ち抜くと、魚人ゾンビは地面に倒れて動かなくなった。
「分かったか? 魚人ゾンビは首を切断しても、体をバラバラにしても直ぐに再生して襲い掛かってくるんだ。しかも全力疾走でな。そして倒す手段は、脳に銃弾を撃ち込む。これだけだ」
俺の説明に、モカが心の底から嫌そうな顔になる。
「なんで限界突破Lv4のダンジョンが、そないな仕様になっとるんやろ……ゾンビでなくてもエエやん……」
ごめん、俺が竜宮城をそんなダンジョンにプログラムした。
というか、実はゾンビ仕様以外のダンジョンも沢山ある。
でもゾンビアクションサバイバルゲームが好きだから竜宮城にしたんだ。
てなワケで、モカ。
悪いとは思ってるけど、俺の趣味に付き合ってくれ。
だってアライグマシティーでは、武器弾薬を手に入れただけ。
それじゃ物足りないんだ。
でも良いコトもあるって、モカに教えておこう。
「あのな、竜宮城では凄く高性能の武器が手に入るんだ。他のダンジョンにトライするより遥かに戦力アップ出来るぞ」
この俺の一言で。
「ホンマ!?」
モカが目を輝かす。
「ホンマにエエ武器や防具が手に入るん?」
「ああ。それに高価換金アイテムも山ほど手に入るぞ。大量のゴルドも。なにしろここは『竜宮城』なんだから」
「やったでぇ!」
とモカがガッツポーズをとったトコで。
パラパパッパッパパ~~
恒例のファンファーレが脳内に響き。
《累計経験値が400億646万3781になりました。レベルが2978になりました》
俺はとんでもなくレベルアップした。
それもそのはず。
魚人ゾンビのステータスは。
レベル 9999
経験値 6000万
HP 9000万
基礎攻撃力 2500万
基礎防御力 2500万
つまりダンジョン「鬼が島」の大嶽丸より基礎ステータスは上なんだから。
ま、経験値は大嶽丸より低く、6000万しかない。
でも弾倉22個分=660匹分の経験値は396億。
レベルが超大幅アップするのも当たり前だ。
もちろん、モカも超絶アップしてるハズ。
と、視線を向けてみると。
「ロ、ロックにぃ、コレ見てんか!? ウチのレベル、3046になっとるんやけど、ナンかの間違いやろか!?」
モカがステータスをオープンにして、大声を出した。
「さっきまでウチのレベル、594やったんやで! なのに今表示されとるレベルは3046や! ひょっとしてウチの目、変になってもうたんやろか!?」
「落ち着けモカ。それでイイんだ。ほら、俺のステータスだって、爆上がりしてるんだから」
俺がステータスオープンと口にすると。
「ホンマや! ロックにぃのレベルも2978になっとる! はぁ~~、ホンマに良かったわ、ウチの見間違いやのうて」
俺のステータスを何度も見直してから、モカが大きく溜め息をついた。
「でもダンジョン『竜宮城』の入り口をクリアしたダケで、こないにレベルアップするなんてビックリやで」
まだ自分の目が信じられない、といったモカに俺はニヤリと笑ってみせる。
「まだビックリするコトがあるぞ。倒した魚人ゾンビをよく見てみるんだ」
「へ?」
不思議そうな顔になりながらも、モカは俺に言われた通りにする……と。
「ああ! 魚人が魔石に変化した!」
モカは大声を上げて、魔石に駆け寄った。
「うわ、こないにキレイな魔石、初めて見たで」
目をキラキラさせて魔石を眺め込むモカに。
「それは竜宮城の魔石っていうんだけど、売値は3億ゴルドを超えるハズだ」
俺がそう教えてやると。
「さ、3億ぅぅぅぅぅぅ!!?」
モカは絶叫して、その場に固まったのだった。
2023 オオネ サクヤⒸ




