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   第百一話  コレ撃ちやすい!





 いきなりアライグマシティーに転移して。


『!』


 ゾンビを目にしたヤタガラスの団、全員が息を呑んでいた。

 しかし声一つ漏らさない。

 見事に感情をコントロールしているな。

 訓練の行き届いた、優れた兵士ばかりのようだ。

 しかも、次の行動も速い。


「第一、第二、第三、第四補給小隊! バリケードを並べろ!」


 補給小隊4つの兵=200人が木製の簡易柵を巨大な正方形に並べた。

 ちなみに簡易柵は、カがマジックバックから出したモノだ。


「第五、第六、第七、第八補給小隊! バリケード強化!」


 次の200人が、並べた柵をつなぎ合わせ、しっかり固定する。

 どうやら補給兵は優れた工作兵でもあるらしい。

 これでヤタガラスの団2000人が駐屯できる場所が確保された。


 あ、補給部隊について説明しておこう。

 補給中隊(500人)=10小隊

 補給小隊(50人) = 5分隊

 分隊  (10人)


 という人数構成だ。

 ちなみに、この時代に歩兵という概念はない。

 でも転生者としての知識により、歩兵と呼んでるんだって。


 おっと現場に目を戻そう。

 バリケードが完成すると同時に。


「第一、第二、第三、第四歩兵中隊! 配置に付け!」


 4つの歩兵中隊1200人が、バリケードの4辺に並ぶ。

 ついでに説明しておくと。


 ヤタガラスの団(1500人) = 5歩兵中隊

 歩兵中隊(300人)     = 6歩兵小隊

 歩兵小隊(50人)      = 5歩兵分隊

 歩兵分隊(10人)


 このような人員構成となっている。

 そして。


「第九、第十補給小隊! 弾薬補給態勢を整えろ!」


 100人の補給兵が、歩兵中隊の後ろに弾薬補給場所を設置する。

 これでゾンビ迎撃態勢が整った。

 こうして安全を確保したところで。


「第一から第八補給小隊! 食堂とトイレを設置!」


 基地としての設備を整えていく。

 一方、歩兵はというと。


「ゾンビを発見すると同時に発砲せよ!」

「ゾンビ、来ました!」

「撃て!」


 タン! タン! タン! タン! タン!


 もうⅯ16A2の練習を始めていた。

 そんな状況の中。


「ロックにぃ。トラックの運転を教えてくれる言うたよね?」

「分かった。この臨時基地を出る許可をジュンに貰ったら、教えてやるよ」

「ひゃっほーー!」


 というワケで、ジュンの許可を取り。

 俺とモカは、ヤタガラスの団と別行動をとるコトにした。

 そして数分後。


「うひょぉおおおお! 運転ちゅうんは簡単なんやな!」


 モカは大喜びでⅯ939を運転していた。


 軍用品の多くは、素人でも扱いやすい様に作られている。

 簡単な訓練で使えるようじゃないと、戦場では使い難いからだ。


 もちろん訓練が必要なモノもある。

 戦闘機や戦闘ヘリなどは、しっかり訓練しないと動かすコトすら出来ない。

 あるいは戦車砲や迫撃砲など、訓練しないと標的に当たらない。


 でも軍用トラックは違う。

 特にこのⅯ939はオートマ仕様なので運転は簡単。

 アクセルとブレーキとハンドルを操作するだけだ。

 交通法を覚える必要がないから、それだけで運転できる。

 ま、あとは慣れだな。


 というコトで、モカに運転を任せたら、直ぐに慣れた。

 そして今は、オモチャを与えられた子供みたいに楽しんでいる。

 時々ゾンビが出現するが。


「そりゃ!」


 グシャ!


 モカはゲーム感覚で轢き倒していく。

 というか、もう『ゾンビ轢き殺しゲーム』になってるな、コレ。

 別にソレで問題ないんだけど、もう1つ、やっておきたいコトがある。


「なあモカ。拳銃の練習もしておくぞ」

「なんで? ウチはⅯP7で十分やで」


 首を傾げるモカに俺は説明する。


「ビルの中でゾンビを撃ったから分かったと思うけど、狭い廊下や室内なら小さな拳銃の方が、圧倒的に使い易い。そうだろ?」

「そらそうやろな。なんぼⅯP7が小さいゆうても、拳銃と比べたらズット大きいに決まっとる」

「だろ? そして、コレが1番重要なコトなんだけど、近いうちに俺とモカだけでアライグマシティーに戻ってきてクリアを目指そうと思うんだ」

「ナンでソンなメンドイことを? 今クリアしてもうたらエエやん」


 首を傾げるモカに俺は続ける。


「本格的にクリアを目指すとなると何日もかかってしまうからな。それに今すぐチャレンジするワケじゃない。けど練習しておいたら次にチャレンジした時、状況によってⅯP7と拳銃を使い分けながら戦える」


 そして俺がマジックバックから取り出したのは。


 FNファイブセブン

 全長   208mm

 重さ   645g(空マガジン装着)

 使用弾薬 5・7×28mm弾 

 装弾数  10/20/30発

 有効射程 50m       反動=パラベラムより30%減


 この拳銃は、Ⅿ17より口径が小さい。

 でも使用弾丸5・7×28mm弾は、防弾チョッキも撃ち抜く。

 超一流の性能の拳銃だ。


「あ、コレ撃ちやすい!」


 モカも気に入ったみたいだ。


「とはいえ練習するのは拳銃の使い方と弾倉の取り換え方と、マジックバックから拳銃と弾倉を取り出すコトだけだけどな。命中させる練習は本番で行うから」


 というコトで、ちょっと拳銃の練習をして、ジュン達のトコに戻ると。


 タン! タン! タン!


 歩兵部隊がゾンビを相手にⅯ16A2の練習をしている最中だった。

 ちなみにゾンビは、音に良く反応する。

 だからバリケード設置の音で集まり。


 タン! タン! タン! タン! タン! タン! タン!タン! タン!


 ゾンビを撃ち倒す銃声で、更に集まってきているみたいだ。

 ところで覚えているだろうか。

 レベル2になる為に必要な経験値は12。

 レベル2から3にアップする為の必要経験値は30。

 そして普通のゾンビの経験値は1。

 つまり12+30=42匹のゾンビを倒せば、当初の目標達成。


 だから弾倉を撃ち尽くしたら、最後列に下がって後ろの人に場所を譲ってる。

 そして弾倉に弾を込める練習をして順番を待つ。

 こうして交代を繰り返し、僅か半日で全員がレベル3になってしまった。

 これなら、もっと練習してレベルをアップさせてもイイ気がするけど。


「欲をかくと碌なことが無い。目的を達成した以上、予想外のトラブルが起きる前に撤退するぞ」


 ジュンの一言で戦国エリア帰還が決定。

 レベル3の兵2000人と共に雑賀の里に戻るコトになった。


 とはいえ、魔法陣を潜った先は雨傘神社に固定されている。

 なので、雑賀の里には徒歩で戻るしかない。

 でも全員がレベル3になったから、機動力は桁違いにアップしている。

 だから戦国エリアではあり得ない短時間で、雑賀を里に戻ったのだった。









2023 オオネ サクヤⒸ

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