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近所の直治さん〜空港お迎え編〜

作者: えむ
掲載日:2021/10/09

座席横の小さな窓から見える空に見飽きたころ機内アナウンスに軽く驚く。

そろそろ着くってわかってるんだけどね、急にガガってノイズと男の人の大きな声が聞こえたらやっぱり驚くよね!


飛行機ってやっぱり席狭いよねー。

好きなところに移れないからなんか身体固くなっちゃう気がするし。

電車で行けたらいいのに、それか車で連れてってくれるとか。


ガコンと衝撃があって身体が前に持っていかれる。

いつも思うけど着いたら即並んで降りてく人ってすごいよね。

のんびり座ったまま通路に並ぶ人の列を見上げる。


そういえば直ちゃんもう空港まで来てくれてるかな?

時間通りに到着したし大丈夫だよね。


昨日急に荷物増えちゃって「空港着いたあと電車大変だー」って言ってたら「ちょうど仕事詰まってて気分転換したいから」なんて白々しい理由で直ちゃんが迎えに来てくれることになっちゃった。

こういうとこ優しいよね。


みんな席別れちゃって帰りのフライトは暇だったなー。

でも先輩と並びだったらずっと話しかけられそうだし、長旅のうえ会話で疲れるよりはよかったかもね。


あ、先輩も並んでる。列が進み始めたね。

ごめんなさい、私は目を逸らします。

話すの嫌なわけじゃないんだけどね、今はいいかなって。


直ちゃんが迎えに来てくれるおかげで荷物ガラガラ引きながら電車乗らなくて済むし、先輩の「送ってってやるよ」も「家族が迎えにきてくれるんで!」でさらっと躱せたし、感謝感謝。

ま、直ちゃんが家族かっていうと実は違うだけど、説明したら余計めんどいしいいよね!


飛行機って降りるのも時間かかるよね。

私ほとんど最後だったから機内にもうお婆ちゃんしか残ってなかったよ。

杖持ってたしサポート待ちかな?


降りる順番待ってる間にみんなには「待たなくていいよ」って返しといたからサッと荷物取って直ちゃん探そう。

どうせ喫煙所だと思うけどね。


荷物も人もとっくに片付いてて係の人も余裕ありそうだったから「喫煙所どこですか?」って聞いてみた。

「もしかしてタバコ吸うと思われる?」とか一瞬ドキッとしたけど不審がられることもなく教えてもらえた。

お父さんのお迎えとか多いだろうしね、そりゃそうか。

よし、とりあえず一番下の階の出口近くなのはわかった!


はい、正解!大正解!

ほんと直ちゃんって行動読みやすいよねー。

喫煙所でボーッと立ってる直ちゃん発見!

でも立ち姿はちょっとかっこいいよね。

全然そんなこと思ったことなかったけど、私の友だちの周りでそんなこと言ってる子がいた。

言われればそうかもってくらいだけどね。


「直ちゃんお待たせ!」

声をかける。

「あ、いーよいーよ!吸い終わるまで待ってる」

こっちに気がついて灰皿に向かう直ちゃんをすかさず止める。

いつも「タバコが高い」ってボヤいてるしお迎え来てもらったのにそれくらい待つよ。


そしたら直ちゃんが「身体に悪いからあっちで飲み物買っておいで」って。

そんな身体に悪いならなんで吸ってるんだか!

荷物を直ちゃんに預けて缶コーヒーを買う。

私はお茶かな。


「はい!ブラックならいいんだよね?」とタバコを吸い終わった直ちゃんに缶を手渡す。

「直ちゃんストップ!」

そしたら直ちゃんがすかさず缶を開けようとした、まじか!

「車乗ってから開けた方がよくない?」って言ったら「そうだな」だって。

もー、しっかりしてよね!

直ちゃんの手が塞がったら荷物持ってもらえないじゃん。


そして「これは自分で持てる!」とコロコロがついた荷物をもらう。

「じゃあ、こっちか」って言いながら直ちゃんが大きい方の荷物を持ってくれる。

うん、ここまで自分で持ってきたんだけどね、私じゃ手が回らなくて持ちにくいんだ。

直ちゃんも荷物抱えた女の子連れて手ぶらじゃ気まずいだろうしね。


私の大きな荷物も直ちゃんが持つと普通サイズだね。

あとをついていきながらキョロキョロしちゃう。

空港のしかも駐車場ってたまにしか来ないから新鮮だよね。

広くて同じ形ばっかりで迷っちゃいそう。


直ちゃんは迷う様子もなくスイスイ進んでいくね。さすが!

そしたら直ちゃんが「飛行機どうだった?」って。

どうって聞かれてもね。

墜落とかせずに帰って来れたよ?

質問が微妙、話題作りのつもりなんだろうけどそれじゃおじさんだよ?


「あ、いや。検査とかさ」

ああ、なるほどね。

「思ってたよりはすんなりだったかな」

そんな他愛もない会話をしてたら車に着いたみたい。


直ちゃんがトランクを開けて「これ横にしても平気か?」なんて言いながら荷物を積み込んでくれる。

お兄さん手際いいねぇ。

私はやることなさそうなのでさっさと助手席に乗り込む。

直ちゃんのこういうとこほんと楽。

お茶をドリンクホルダーに置いてシートベルトを締める。


みんなはもう電車乗ったかな?

先輩は車ってことだよね、この駐車場かな?

先輩も悪い人じゃないんだけどね、送ってもらったら絶対ずっと話しかけられるんだよね。


運転席のドアが開いて直ちゃんが乗ってきた。

そして「シートベルト締めたな?」って言いながらエンジンをかける。


車の感想とか聞かれてもね、わかりませんって。タイヤ4つあれば一緒じゃん。

免許取ったら興味出るのかな?

でも運転はいいや、乗せてもらう方が好き。


直ちゃんの車がゲートをくぐって駐車場の外に出る。

ナビにスマホを繋いでる間に高速乗ったみたい。

動画みながら充電できるし車っていいよね。


助手席の窓の外を景色が流れていく。

直ちゃんは「寝てていいぞ」って言ってくれるし私もそのつもりだったけど、これ結構飽きない。

スイスイ運転する横顔は直ちゃんなんだけどかっこよく見えちゃう。

別に顔は悪くないしね。

集中してる男の人って嫌いじゃない。


動画終わっちゃった。

そういえば車増えてきた?

そろそろ高速終わるのかも。

あ!そうだ!

寄りたいところを思い出しスマホの地図を開く。


「ね!直ちゃん!寄り道していい?」とスマホを突き出したら「運転中だから見れない」って言われちゃった。

そりゃそうだね。

改めて場所を言ったら「たぶん通り過ぎてるからちょっと戻るぞ」っていいながら直ちゃんがナビのボタンを押す。

ごめんね、降りるとこ行き過ぎちゃったみたい。


ナビの画面が変わったので「電話番号?」って言いながらスマホに表示された番号を打ち込む。

場所が見つかったみたい!よかった!

直ちゃんがさらに何度かボタンを押したらナビの画面が地図に戻った。

「やっぱり出口1つ過ぎてるから降りて下道で行くぞ」って。

そんな急がないから全然大丈夫!


直ちゃんはこういうとき怒ったり慌てたりしないから大人だよね。

前みんなで遊びに行ったとき、先輩に寄り道お願いしたら慌てちゃって道間違えちゃって、最後にはなんか怒りだすし大変だったんだよね。

そりゃあ最初に言えなかったのは悪かったけど。

直ちゃんのこういう余裕あって落ち着いた感じは先輩も見習ってほしいな。


高速降りたら進みがゆっくりになって車もすごくたくさん。

「お、こっちか」なんて運転席から独り言が聞こえる。

おー!あそこよくきてるきてる。

車からだとこんな風に見えるんだ、新鮮。

あれ?ここさっき通ったよ?もしかして直ちゃんちょっと迷ってる?

「一方通行だから」だって。

わかんないけど急に寄り道してもらっちゃって悪かったかな。


「ピィーーー!」え?なになに?

大きな音にびっくりしてとっさに運転席の直ちゃんを見る。

直ちゃんが「あちゃ〜」って顔してる?

これ電話かかってきたときに時々する顔だ。

直ちゃんが赤いボタンを押して車を停める。

あ、お巡りさんが旗振ってる。

あれ?わたしたちの方に来るよ?


お巡りさんが運転席の窓をコンコンってノックする。

直ちゃんは窓を開けて何か話してる。

渡してるのは免許証かな?

あ、メガネ外してる。

え、私?


二人とも身分証見せてくださいって。

身分証ってこれでいいのかな?

取り出そうとしたら直ちゃんのメガネが私のところに滑り落ちてきた。

直ちゃんオロオロしてない?

うわー、めちゃ言い訳してる…

あ、「次から気をつけます」だって。

これ電話しながら頭下げてるときと一緒だ。


必死に言い訳してる感じが直ちゃんって感じで、こんだけ落ち着きも余裕もなけりゃ彼女いないわ。

言い訳の甲斐あって違反にはならなかったみたい。

私も最初びっくりしたけど直ちゃんみてたらおかしくなっちゃった。


今日のハイライトは二人の関係を聞かれたときのしどろもどろ直ちゃんで決定!

同じ苗字で助かったね。

私が直ちゃんと同じ苗字なのはうちの家族のおかげだからね!

もし違ってたら直ちゃん今ごろ「直治容疑者」だったかもよ?

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