「電子レンジ」「カメラ」「三角形」
我が家の電子レンジは何かがおかしい
普通に冷凍パスタや昨日の残り物とかを温める時はちゃんと温めてくれるのだが、三角形の物を温めようとすると奇妙な現象が起こる
最初に気づいたのは数ヶ月前のことだ、あの日は確かツイッターで北海道ではコンビニのおにぎりを温めて食べるということを知ったからだ
私は親譲りの好奇心の塊で気になった事は直接調べないと気が済まないタチなのである、早速深夜のコンビニへと向かった
チョイスはレンジと相性の良さそうなシャケ、好物のツナマヨ、それと新商品の深海魚キムチだこの正体不明な感じが私を惹きつける
そのおにぎり三つと目に入ってしまった新商品の納豆カレー味のカップ麺をレジへと運ぶ、全く深夜のテンションとは恐ろしい物だ
会計をすばやく終え、家へと急ぐ何故か二度見してきた店員や、そのまま温めてもらえばよかったことに気づかないフリをしながら鼻歌と共に帰る
ふむ、深海魚キムチ意外といけるな細かく刻んだキムチと深海魚の身のそぼろが米とマッチしていて、かなり美味い、リピートしたくなるが、私が好きになった物はすぐに無くなってしまう事が多いのが悲しいとこだ
それにラベルを見ても”深海魚”としか書かれていないのが私の心をくすぐる、いったい私は何の魚を食べたのだろうか
そういえば、私の母は毎年20種類ほどの新種の深海魚を発見しているがまだ見つかって無い100万種いるとも言っていたな今度詳しい話しを聞いてみるか
やっと家に着いた、我慢出来ずに一つ食べてしまったが大丈夫だろう、まったく深夜のテンションとは(略)
すぐにレンジにおにぎりをぶち込む、最初はシャケからだ、やりすぎないようにちょっとずつ温めようとしていたが扉を閉めた瞬間にレンジが動き出してしまった
操作ミスをしてしまったと思いすぐに取り消そうとボタンを押しても反応しない、何故か時間設定は3分になっているしこのままでは包装のビニールが溶けてしまうかもしれない
扉を開けて取り出そうとすると、まるで鍵が掛かっているかのように開かない、レンジのプラグを抜こうとしてもこちらも抜くことができなかった
そして中が確認出来ないことに気づく、いつもならうっすら見えているはずなのだが、今は真っ暗で完全な闇になっている、スマホのライトで照らしても見れなかった
そんなこんなで気づいたらチーンといつもの軽快な音がなった、レンジの扉に手を掛けるといつものように普通に開いた
恐る恐るおにぎりを手に取ってみる、危惧していたように熱くなりすぎてはおらずビニールも無事だった
想定外のことが起こったが程よく温まっていた、気にしててもしょうがないので普通に開けて食べてみる
一口食べると衝撃が私を襲った、温めたおにぎりが想像以上に美味かったのもあるが、それより何故かシャケおにぎりがチャーハンおにぎりになっていたのだ
海苔には変化が無かったので食べてから気づいた、元々がシャケだったからなのかシャケが入ったチャーハンになっている
入っていないはずの醤油などの風味がするし、さらに卵も入っている不思議な事もあるもんだ、気づいたら全て食べてしまっていた
あの現象の正体は分からないが、あのチャーハンおにぎりがとても美味かったのは事実、食欲に火がついてしまった私はツナマヨおにぎりを躊躇う事なくレンジの中へと入れた
そして3分が経った、おにぎりを取り出し口へと運ぶ、やはりチャーハンおにぎりになっていた具はツナになっており、マヨの風味も感じられた
やはり最初の具が影響しているのだろう、にしても美味い、やめられない止まらないスナック菓子状態だ、こちらも気がついたら食べ終わっていた
落ち着いて考えると深夜に私はおにぎりを三つも食べたことになる、まったく深夜の(略)
数日間私は色んな事を試した、様々な具のおにぎりを買ってレンジにぶち込んでは深夜に食べる日々、ほとんどの物はその具材の美味しいチャーハンが出来るだけだった
ある日私は中がどうしても気になりおにぎりと共にカメラを入れた、私が洞窟探検の時に愛用している小型で高性能のやつだ
しかし、それは失敗に終わったレンジが起動した瞬間映像は途切れ、カメラは壊れてしまい私の懐が寒くなっただけだった
他に特筆すべきことは、丸い形のおにぎりにはこれらの奇妙な出来事は起きなかったということだ
最初に試したのはチャーハンのおにぎりだった、元々がチャーハンならどうなるのかという純粋な興味で、丸いチャーハンのおにぎりをレンジに入れる
結果は前述した通りである、いくら扉を開閉しても起動せず、手押して3分に設定して起動してみたが途中で煙が出てきたので急いで中断した
その後もソーセージや和風ツナマヨ、フォアグラの素揚げなど丸いおにぎりを試したがこちらも奇妙な現象は起きなかった
後は三角形の物ならチャーハン化現象が起きるということだ、丸いおにぎりで現象が起きなかったあと、形が原因では無いかとアタリをつけたのが的中したのだった。
その後は三角形の物を試す日々、6Pチーズ、サンドイッチ、スイカ、自分で三角に握ったおにぎり、全てチャーハンになったが美味しくなるとは限らなかった
それからはひたすらに美味しいおにぎりを探していた、深夜のコンビニに入り浸る日々、いくつもの味との一期一会があった、梨の佃煮、カンガルーの唐揚げなど一度しか食べられなかったものもある
日に日に一度に食べるおにぎりの量が増えていった、この研究の日々で私の体重は増加傾向にある、まったく深(略)
結局この謎の原因は分からなかったが、今ではすっかり慣れたものである、今ではコンビニに行ってる間に電気ケトルでお湯を沸かしておき、買ってきたカップ麺にお湯を入れると共におにぎりを入れたレンジの扉を閉じる
そして3分後にはカップ麺とチャーハンおにぎりの定食が完成する、それを深夜に食べるのが1番美味い、今日はバジル味玉のおにぎりチャーハンと蛇骨醤油ラーメンだ、こんな食事を続けてるともっと太ってしまうがやめられない
まったく(略)
面白いと思いましたら、評価やコメントよろしくお願いします。