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6話『自我を持つウサ耳』が、選手を襲い捕食する

ギャングチームと管理局チームのラクロスも終盤戦。


 そこには得点を決めて、ご機嫌なモチ助がいた。


「あんなシュートができるなら、早く使いなさいよ」


「うさ耳への理解が足りていないな」


 ナミリにの問いに、モチ助は呆れたように話す。


「『うさ耳シュート』は使いすぎると、うさ耳に自我を乗っ取られるんだ」


「……? よくわからないけど、もう一回ぐらいできるでしょ?」





 次に得点したチームが勝利するラストゲーム。


 最初にボールを持ったのは、ギャングチームのチュートン。


「ここで活躍して、トリアルさまに喜んでもらうです!」


「行かせないぜ」


 チュートンの進行方向にモチ助が現れる。


「お前の相手なんてしないです」


 チュートンは突然屈むと地面に潜り消えてしまった。


 彼女は配下のネズミたちに命じ、コートに穴を掘らせていたのである。


(帽子の女はトリアルさまの技を受けて、もうほとんど動けないはずなのです)


 地中を移動しながらチュートンは考える。


(相手ゴールのすぐ近くに飛び出してシュート! これでトリアルさまの勝ちです!)


 ネズミたちがチュートンを先導する。そしてある地点でネズミたちが上を向く。そこは管理局チームのゴール前であった。


「これで終わりですッ!!」


 地面から勢いよくチュートンが飛び出す。


「オラッ!!」


「ふぎゃッ!?」


 しかし、チュートンの目の前にはモチ助が待ち構えていた。


 想定外の事態に対応が遅れたチュートン。ボールはモチ助に奪い取られてしまう。


「何で分かったですかッ!?」


「オレはウサギの獣人だぞ! 音でわかるッ!!」


「くっ──」


 モチ助を追いかけるチュートンだが、まったく追い付くことが出来ない。


「ああ、トリアルさま……」


 途中にいたギャングの一人をあっさり抜き去り、モチ助はギャング側のゴールを見つめる。


「さあ、勝負だッ!!」


 ゴール前にはトリアルが佇む。


「残念だが、勝負はもう終わっている」


「なにッ!?」


 トリアルの言葉を聞き、モチ助は頭に違和感を覚えた。


 思わず頭に触れると、モチ助の頭から何かが落ちる。


 それはモチ助のうさ耳だった。


 モチ助の片耳が切断されていたのだ。


網球技巧(ラクロスアーツ)飛空刃(ひくうじん)』。風の刃が貴様を刻んだ」


 気流を操り風を使うトリアルが放ったのは風の刃。カマイタチである。


 トリアルはモチ助がギャングの一人を抜く瞬間、この飛空刃を放ちモチ助のうさ耳を切断していた。


「さあ、自慢の耳がなくなったぞ」


 落ちたうさ耳を見つめ、モチ助は震えている。


「……なんだ? 今さら怖じ気づいたのか?」


 トリアルの言葉に無反応だったモチ助は、突然トリアルに背を向けて全速力で走り出した。


(……逃げ出した?)


 身体の欠損に恐怖を覚え、敵前逃亡。別におかしな話ではない。


「結局、貴様も我が敵ではな──ゴハッ!?」


 勝ち誇るトリアルの腹部に謎の衝撃が走る。


「ぐっ……なにが……?」


 トリアルが視線を下げる。そこでは、モチ助から切断されたうさ耳がイモムシのように這っていた。


「なんだコレは……?」


 不可解な状況。しかし、目の前のうさ耳が攻撃してきたのは間違いない。


「トカゲの尾は切り離されても、しばらくは動くが……」


 ウサギの生態に詳しくないトリアルだが、切断された部位が敵を攻撃することなどあるのか。そんな疑問が浮かぶ。


「こいつ、よくもトリアルさまをッ!!」


 這い廻るうさ耳の背後にギャングの一人が現れる。


 彼はクロスを振りかぶると、うさ耳に叩きつけようとした。


「待て──」


 トリアルが制止の言葉を放つが、もう遅い。


「ッ!? なんだコイツはッ!?」


 叩きつけられる攻撃を避けたうさ耳。それは素早く螺旋の軌道を絵描き、ギャングに襲いかかった。


 そしてうさ耳は彼の肩に移動する。


「なにィ!?」


 唐突に、ウサ耳の一部が裂けた。その中には無数のキバと粘着質な舌が覗く。


「あ、アギャーッ!!」


 振り払おうとしたギャングの腕は噛み千切られ、さらに彼の顔を覆うようにうさ耳が張り付く。


「ア、ギ! ギイァァァアアアアアアッ!! あ、あ、……ぎ……………」


 ギャングの悲鳴がスタジアムに響く。しかしその声もすぐに途切れた。


 血溜まりの中に蠢くうさ耳。その質量はギャングの大きさ分、増加していた。


『ゲフッ、……じゅるり』


 血溜まりから顔(?)を上げたうさ耳は舌舐めずりをする。


 その様子を無言で見つめる三人。ナミリ、トリアル、チュートン。


「「「………………」」」



(((喰われたッッッ!?)))


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


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