4話
前回までのあらすじ:火炎放射器を使って、試合を有利に進める管理局チーム
■
ギャングと管理局のラクロスは、互いに無得点のまま続いていた。
現在ボールを持つのは管理局のモチ助。
「うおおおおお、いくぜぇッ!!」
敵ゴールへ最短距離を進む彼女の前に、トリアルが立ち塞がる。
「散れ」
迫り来るモチ助にトリアルがクロスを振るう。
トリアルのクロスには何も入ってはいない。しかし、スイングと同時にクロスから『何か』が放たれた。
「うおっと!」
モチ助がバックステップ回避を行う。
するとモチ助が数瞬前までいた場所に衝撃が走る。
「ほう、分かるのか?」
トリアルの問いにモチ助は自信満々に答えた。
「ああ分かるぜ、何かをやっているなッ!?」
「……」
トリアルの放った攻撃の秘密。その正体はクロスにある。
トリアルが持つクロスのネットには特殊な編み込みが行われている。
この編み込みはスイングによって乱気流が発生させる。
それにより空気がクロスに圧縮されていたのである。
トリアルはこの空気の塊で不可視の攻撃を行っていたのである。
「……まあいい」
トリアルが連続で空気の塊を放つ。
ただの空気ではあるが、圧縮によって鉄球と同等の強度を生み出している。
人体に命中すればただではすまない威力だ。
「悪いがその程度のスピードじゃ、オレには当たんないぜ」
しかし連続で放たれた攻撃、そのすべてをモチ助は軽々と回避してみせる。
圧倒的俊敏性を持ってモチ助はトリアルの横を駆け抜けた。
正面に残る敵はゴール前のギャング一人。
「確かに素早いようだが……」
モチ助の背後からトリアルが話しかける。
「それだけで攻略できるほど、このトリアルは甘くないぞ」
突然、駆けるモチ助に強風が吹きつけた。否、周囲の空気ごとモチ助が吸い込まれている。
「うおおッ!?」
モチ助が振り返ると、トリアルがクロスを高速回転させていた。
モチ助の体がトリアルの方へ引き寄せられる。
正確にはトリアルのクロスに吸い込まれていた。
これはトリアルのクロスによる、気流操作の応用である。彼女は風を操り、モチ助をクロスに吸い込もうとしていた。
「ま、負けねえぞ!」
言葉とは裏腹に、モチ助はトリアルの方へ引きずられていく。
「その小さな体では耐えられまい」
「ちくしょうッ!!」
何とか吸い込みから逃れようともがくモチ助。
だが、抵抗むなしくその小さな体は浮き上がる。
そしてバランスを崩したモチ助のクロスからボールが離れてしまう。
離れたボールは吸い込まれ、トリアルのクロスに収まった。
ボールを手に入れた彼女は管理局側のゴールを見つめる。
「この距離なら充分だな」
トリアルがシュートを放つ。放たれたボールは暴風を纏っていた。
モチ助を吸い込もうとした際に集めた風である。
「うわっ、しんどそう……」
小さな竜巻のようなシュートを見つめ、ナミリは弱気になる。
「いやいや、負けるな私。この戦いは譲れない」
ナミリは何処からか板状の物体を取り出し構える。
それは特殊合金で出来た防弾シールドであるである。
このシールドはナパーム弾が直撃しても傷一つ付かない。
トリアルの放ったシュートとシールドが激突する。
接触は一瞬。
シールドは砕け散りナミリは吹き飛ばされた。
ボールはゴールへと一直線に向かう。
それを遮るモノは何もなく、管理局チームのゴールへ叩きつけられた。
ギャングチームの先制点である。
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