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プロローグ

 そこは限られた人間しか入ることの許されない場所。


 部屋の奥には巨大な円卓あった。そこにはただ一人、ローブを纏った老人が座っている。


「人造魔導師ナミリ・ハドール。そなたを国外追放処分とする」


 老人は部屋にある扉の方を見つめた。視線の先には二人組の姿がある。


「司令官、どうかお考え直しください」


 扉の前に立つ白衣の女性が老人に訴えた。


「ならん。魔獣の脅威に対抗するために作られた兵器、それが『神器』。そして『神器』を扱うことができるのは人為的に生み出された人造魔導師だけなのだ。ならば、その『神器』に適合できない人造魔導師など不要!」


 広く薄暗い部屋に、老人の声が響く。


「……今しばらくの時間を頂ければ、必ずやナミリを『神器』に適合させて見せます」


「くどいぞ、テトラ博士。近年増え続ける魔獣被害。結果の出せない研究に使う時間も資金もない」


 テトラと呼ばれた女性は老人の言葉に俯く。


「確かにナミリは『神器』を使うことができません。ですが、彼女の収納魔法はあらゆる作戦に有益な──」


「収納魔法など基本の魔法。人造魔導士ならば誰でも使うことができる」


 老人の視線が、テトラの後ろに控える少女に向いた。彼女こそが『神器』を使うことができない人造魔導士、ナミリ・ハドールである。


「この無能を廃棄処分としないだけありがたく思え」


 老人の理不尽な言葉。しかし、テトラはその言葉に反論することができない。


「これ以上、無能に関わる時間はない。すぐにここから立ち去れ」


 ほとんど追い出される形で二人は部屋から退出した。


 そして部屋から出てすぐに、テトラはナミリを抱きしめる。


「ナミリ、ごめんなさい。私が未熟だったばかりに、アナタをこんな目にあわせてしまった」


 テトラの目には涙が浮かんでいた。


「結果を出せなかったのは私の問題です」


 今にも泣きだしそうなテトラに対して、ナミリの表情は変わらず、感情を読み取ることができない。


「荷物をまとめに行きます」


「ナミリ、ごめんなさい……ごめんなさい……」


 背に泣き崩れる存在を感じながら、ナミリは歩き続ける。


 しばらくした後、ナミリは自室に着いた。彼女はそこへ入るなり、素早く扉を閉めて鍵をかける。


 そして彼女は息を大きく吸った。


「うおおおおおおおおお! 解放されたああああああああああああ!!」


 彼女の顔は歓喜に満ちていた。


「追放万歳! 私は自由だ!」


 魔獣が現れれば各地へ討伐に駆り出される日々。魔獣が現れずとも、一日の大半を訓練と人体実験で過ごさなくてはならない。


 ナミリが所属しているのは休日どころか、まともな食事さえないブラックな組織だ。


 そんな組織を離れることができるなど、上機嫌になるに決まっている。


 ナミリは勢いよくベッドへ飛び込んだ。


「追放されたらー、美味しいものを食べてー、綺麗な景色を見に行ってー」


 すでに彼女は追放先の国へ思いをはせている。その心は幸せに満ちていた。


「まっててね、私の平穏な生活!」


 彼女は喜びに心を躍らせ続けた。その後、組織が研究に使った費用を借金として、彼女に押し付けていることを知るまでは……。





 そして現在、とある施設の一室にナミリはいた。


「あー、いま思い出しても腹が立つ。勝手に人を人体実験して、なんで私がその費用を支払う必要があるんだか」


 借金のせいで資金集めに奔走することになったナミリ。絶望的な金額に彼女は日々、追い詰められていた。


 しかし彼女はある時、不思議な力を持ったウサ耳の少女と出会う。その少女のおかげで、なんとか借金返済の目処が立った。


 目処が立っただけで、まだまだ借金は残っているのだが。


「……さてと」


 ナミリのもとへ、とある仕事の連絡が入った。


 内容はスタジアムに襲撃を仕掛けたギャングから、VIPを救出すること。報酬は高額。


「魔獣から人々を守ってた私が、ギャング相手とはいえ、人間と戦うことになるとはね」


 ナミリは『クロス』と呼ばれる魔法の杖を手に取った。これは彼女が使う、今の武器である。


「それじゃあ、行きますか」


 組織に追放された人造魔導士、ナミリの新たな戦いが始まる。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


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