先輩からの呼び出し? いいえ、俺は帰宅部です。
もうすぐ夏休みである。
早くないかって?
高校一年生の一学期とか、とくに何か起こることなくない?
強いて挙げれば中間テストの点数がヤバくて親に詰められたことだろうか。期末テストは頑張ります。本当です。嘘じゃないです。
なので早く帰りたい。
今はとても勉強をするというモチベーションがあるんだ。
だから助けてください。
先輩から呼び出されるシチュエーションとか望んでいない。
「ふぅん、アンタが友永?」
いいえ、違います。
「はい、そうです」
今だけ改名したい。
「まあ、座りなよ」
これ以上に近づけと?
ご無体な!
「いえ、大丈夫です」
何が大丈夫なのだろうか。この謎を解明すべく調査隊はアマゾンの奥地へと向かった。
「いいから座れ」
苛立たし気に指で机が叩かれた。
ギャルの先輩怖い。
「はい、失礼します」
これ以上の固辞は危険。俺の本能がそう言っている。
ご丁寧にもギャル先輩の座る机と、向かい合わせにされている机に誘導された。
それにしても、どうしてギャルは群れるのだろうか。正面のギャル先輩の他に両サイドにもギャルの先輩は配置されている。
クソっ。座っているから立っている先輩に見下されている形だ。立っていれば俺の方が目線が高いのにっ。そうなれば見上げてくる形になってかわいいのにっ。
そして正面に座る先輩はとても偉そうに座っている。この人がボスに違いない。
「あの滝川と一番仲がいいらしいじゃない」
あの滝川とは誰のことだろうか。アナウンサーの人?
「いえ、付き合いが長いだけです」
あの局でやっている番組にはだいたい出ているからな。
「ならアタシの言いたいことはわかるよね」
やはりそうか。
「もちろんです」
サインが欲しいんですね。まあ任せてください。簡単なミッションでは無いが、不可能でもない。何故なら滝川アナは奴の従姉妹だからな!
「そう、もう行っていいよ」
そう言うと俺から興味を無くしたようにスマホを弄りだした。
俺はこれ以上の要求を突きつけられる前に退散する。
意外にもサイドにいたギャル先輩が、呼び出された教室のドアを開けてくれた。
良く統率されている。
優れたボスに違いない。
廊下に出た俺はすぐさまイケメン野郎にメッセージを送る。
『お盆の時期になったら化けて出るので寿司を準備しておけ』
スーパーの寿司なんて用意していたら食中りを起こす祟りを御見舞いしてやるからな。覚えておけよ!
奴からのメッセージの返信はすぐに来た。
『わかった』
奴は何故か高校に入ってから告白を全て断っている。
どうやら俺の命日は近いらしい。
・ボスギャル先輩
高校に入学したイケメンを見初めたギャルな先輩。
主人公の名字を作中で初めて口にしたキャラである。
割と物語の中心に絡んでくるキャラとして生まれてきたが、書いている内に意外と打たれ弱いという属性がついてしまった乙女。
ちょっと堅めな親と、バーを複数店舗経営している兄がいるという設定がある。
切れ長な目にスラリとした高身長なイメージ。
髪型はゆるふわロングのおしゃれ天パだと思う。
学年でも五本の指に入る美人なCカップ。