人の視線に質量があれば死んでいた
昼休みである……。
今日の午前中は非常に疲れた……。
案の定、3人で登校した姿はバッチリ目撃されていた。
まあ、ほぼ高校の関係者しか使わない駅だからね!
おかげで視線が突き刺さること針山の如し。
目が語っている。
どういう事か説明せよ、と。
そんなことね、俺が知りたいよ。
教室の中どころか廊下からも視線が突き刺さってくる。
迂闊にトイレにも行けやしない。
「では行きましょうか」
転校生が俺の席までやってくる。
とても良い笑顔だ。
なぜ俺の席に来たのだろうか。
答えは簡単。
俺が一番逃げそうだから。
「はい……」
観念して弁当をカバンから取り出しているとイケメン幼馴染もやってきた。
「で、どこで食う?」
行きましょうか、とか言っていたので、どこか行くあてでもだろう。
「そうですね……、どこか静かに話を出来るような場所はありませんか?」
……。
え、本気で言ってる?
どこに行こうが絶対に誰かしら聞き耳たててるよ。
「いや、俺達もそんなに詳しくはない」
俺が絶句しているとイケメン幼馴染が答えた。
その答えに転校生は少し悩む素振りを見せた。
ふむ、出来れば人に聞かれたくない話、と。
「じゃあ見晴らしのいい所でいいだろ。誰かが近づいてきたら黙ればいいし」
もういっそうのこと堂々といこうぜ。
もう中庭のベンチとかでいいじゃん。
食べにくそうだけど。
「そうですね……。そうしましょう」
転校生も納得したので行動開始だ。
それにしてもイケメンと美少女の間に挟まる俺って何なんだろうな……。
移動中に会話らしい会話はない。
何故か2人とも俺の後ろをついてくる。
なるほど、言い出しっぺが場所まで案内しろってことね。
いいだろう。
好奇の視線に晒されながら移動して中庭のベンチに到着した。
俺が一番先に到着したので一番端に座る。すると、転校生、イケメン幼馴染の順番に座った。
ベンチに座ると各々が弁当を広げ始める。
とりあえずは弁当を食べるらしい。
とてもどうでもいことだが、転校生の弁当ちっさ!
そんなので足りるのかよ。
転校生はその小さな弁当をちまちまと食べている。
「……どうかしましたか?」
俺が見ているのが気になったのか転校生がこちらを見て言った。
そりゃ気になるか。
「いや、そんな弁当で足りるのかな、っと思って」
転校生は俺の弁当と自分の弁当を見比べる。
「友永くんのお弁当はとても大きいですね」
いや、転校生の弁当が小さすぎるだけだと思う。
妹の使っている弁当箱の方がまだデカい。
「雅尋は体がデカいからな」
反対側からイケメンが言う。
「私からしたら滝川くんのお弁当箱も大きいと思いますよ」
転校生がイケメンの弁当箱を見て言う。
まあ、そうだろうね。
・作中溢れ話
主人公は弁当箱と言っているが、実際にはデカいタッパーである。
イケメン幼馴染は普通の弁当箱。