新学期始めの一発目のイベントといえば、これでしょ!
夏休みが終わってしまった……。
現実は残酷である……。
一生、夏休みが続けばいいのに……。
まあ、暑いのは勘弁だけど。
そんなこんなで新学期である。
始業式は昨日で終わっているので今日から通常授業である。
夏休み明けということでクラスメイトたちは日焼けしているように見えるが、実際のところはどうなのだろうか。
そんな感じでクラスメイトを観察しながら仲のいい連中と雑談していると、予鈴がなったので自分の席に着く。
本鈴がなるまでは暇なので近くの席の奴と適当に話ながら時間を潰す。
うちのクラスの担任は本鈴がなって少ししてからくるタイプの教師である。
今日も隣のクラスの担任が何かを話し始めたタイミングで教室に入ってきた。
しかし、今日はいつもと様子が違った。
担任の先生は夏休み前と変わらず適当な感じのおっさんだが、そのおっさんの後ろを歩いて一人の女子生徒が教室に入って来た。
教室を静寂が支配する。
皆が唖然としているのだ。
担任の隣には、俺の幼馴染に匹敵する容姿をした女子生徒が立っていた。
イケメン幼馴染の容姿に匹敵する人間なんて日本に両手の指の数ほどもいないと思っていたが、まさか同じ高校に転校してくるとは思ってもいなかった。
「日直」
あまりの衝撃に今日の日直が号令を忘れてしまっていた。
まあ、気持ちはわかる。
イケメン幼馴染を見慣れている俺でも素直に感心する容姿なのだから。
なにはともあれ、早く号令しろよ、と思っていたら後ろの席の奴に突かれた。
なんだよ、と後ろを振り向くと。
「お前、日直」
「え」
黒板にかかれている日直の名前を見る。
俺の名前が書かれていた。
「きり〜つ」
俺は何食わぬ顔で号令をかけた。
俺たちの挨拶を受け、適当にうなずくと担任は話し出した。
「転校生だ」
担任は適当に女子生徒の方に人差し指を向けると、そう言い放った。
そんなもん見りゃわかる。
クラス中の意見が一致したと思われる。
転校生の女子生徒も困惑している。
さもありなん。
しかし、この転校生は只者ではなかった。
担任の教師が頼りにならないと判断したのか、自分から自己紹介を始めたのだ。
「諸星 真帆です。よろしくお願いします」
声も良いとかスペック高ぇな、おい。
誰も何の反応も出来ないでいると、教卓の上に置いた何かに目を向けながら担任が適当に拍手をした。
それに釣られて疎らな拍手がクラスメイトから続く。
「あそこの空いてる席ね」
担任の指差した先には、一学期には存在していなかった机と椅子があった。
いつの間に用意されていたのだろうか。
全然気づかなかった。
「はい」
担任の指差す方向を向いていた目が、転校生の返事で一斉に転校生の方へと向く。
鬱陶しいだろうなぁ……。そんなことを思いながら俺の目線もガッツリ転校生を追っていた。
だって純粋に転校生とか気になるだろっ!
容姿とか関係なくさ!
気になるだろ!?
そんな感じで朝のHRが終わった。
・転校生
夏休み明けに主人公のクラスに転校してきた女子生徒。
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群の帰国子女。
父親が外資系の企業に勤める転勤族なので、一つのところに長期間居住した経験がない。
ガチで友達がいない系のCカップ。